国指定重要文化財 吉田家住宅（2010.07.29 小川町）

吉田家住宅は建築念が確定している古民家の中では埼玉県内最古宅で、享保６年（1721）に建設されたものです。



吉田家住宅については、小川町教育委員会から修復調査報告書が発行されており、

私の手元には2冊があります。

吉田家住宅は、なんと手打ちそば屋さんも経営しており、古い家屋の中で、

情緒を楽しみながらおそばを食べられるのです。

私は、食事をした後で訪ねたものですから、大好きなそばを食べることができませんでした。

教育委員会のバックアップもあって、体験教育イベントにも積極的に場所を提供しており、

古民家保存の財源確保戦略のモデルを提供しているともいえるでしょう。

そんなわけで、お昼時に行くとお客さんがものすごく多いです。

家屋は天井の高い１階建ての建物なのですが、奥座敷が中２階になっています。

正面から見た家屋です。





裏から見た家屋。





ゆっくり気ままに見学するなら、お昼時は外すべきですね。

吉田家住宅の周囲の状況も見てみましょう。

吉田家住宅は、小河川の谷沿いに開けた緩やかな傾斜の平地に立地しています。







周囲の山のモコモコ感が異世界的です。

こうした低標高山地の谷合は、水の確保と利用が容易であったため、村落が発達しやすかったのでしょうね。

大河川が近くにあっても、利用するための土木技術がなければ、使えないうえに、迷惑な水になりかねないわけです。





山の間から霧が沸き上がっています。

この川沿いに直進すると、未舗装の山道になってしまいます。

こうした谷あいにあったことから、保存のための調査を行ったときには、強い湿度のため、

床板、根太が激しく痛んでいたそうです。

古民家は行政側と所有者の考えが一致しないと、保存できないわけですから、

保存に理解を示した所有者には敬意を払いたいものです。