「何かがまばたきをすると、
わたしが生まれる。
何かがまばたきすると、
わたしは死んでしまう」
と、ウイリアム・サローヤン
は書いていた。
「何か」とは一体、なんなの
だろう。
夕暮れ、一人で部屋にいて、
「何か」の正体について考え
ると、ぼくは心細くなって
くるのだった。
では、ことばはまばたきする
か?さて、どうだろうか?と、
ことばはまばたきするか、な
んて質問自体が、とてもへん
なのだ。
だが、へんな質問は、まだまだ
ある。
「愛はまばたきするか?」と、
だれかに訊かれたら、ぼくは
何と答えたらいいんだろうか?
愛はまばたきをしなくとも、
ときどきウインクはする。
ウインクは、片目のまばたき
である。
ぼくがきみと二人きりで、
じっと見つめあっているとき
でも、ぼくは少なくとも一分
回に八回も、瞼を開け閉じし
ていることになる。
だが、それはきみも八回も「見
なくなる」のではなく、八回も
「見直す」ことなのである。
ぼくは、まばたきをする。その
あいだに、きみはどんどん成長
してゆく。八回、瞼をひらくた
び、きみは八回だけ大人になっ
ている。
それが、ぼくたちにとって、唯一
の愛の「時刻表」だと、いうこと
になるんである。
※ウィリアム・サローヤン
アメリカの小説家・劇作家
ほんの一瞬でも
私をここからつれさってくれる
あの感覚
たとえば
本のページのにおいや
ヘッドライトの強い印象など
それを常にひきおこしてくれる
あなたが
そうなのです
YouTube
Iris (アイリス) 『小さな声』Lyric Video
“私があの人のためにできることは
特にない
ただ黙って
きれいな気持ちでそばにいるだけ
きれいな気持ちでそばにいるという
作戦
素直という爆弾を投下“
―愛する人に会うための心の準備―
心に化粧をする、つまり相手に好意を
持ってもらいたくて、あの人の好きな
話題はなんだろうとか、
こんなことをいうと嫌われてしまう
かな、などといろいろ心の準備を
していくことです。
「心づくろい」などともいいます。
『源氏物語』の中にも何度か「心
化粧」という言葉が出てきており、
平安時代にすでに使われていた言葉
だとわかります。
化粧というのは、本来神事などで、
神様をお迎えする特別な日にする
ものでした。
ですから、今日はあの人に会える特別
な日というときに、顔だけでなく、心
に化粧をするというのも、かわいい女
心がよく表れています。
留守番電話のメッセージは?メー
ルは、ファックスは、届いていな
かった?あのひとはわたしがここ
に来るということを、知ってい
た?知っていて、日本へ?
こんなことなら、ただ、「来るな」
とひとこと、連絡してくれたら
よかったのに―――。
思いは胸の中を、矢継ぎ早に駆け
抜けていく。けれどもわたしは
何も言えない。
いっそ、憎んでしまえたら、どんな
に楽だろう。わたしの目の前で、まる
で綿菓子のようにふんわりと、幸福を
にじませて微笑むこの人を、嫉妬の刃
で切り刻むように、烈しく憎んでしま
えたら。
「赤ちゃんは、いつ?」
「もうすぐです。予定日はクリスマス
イブ。すてきでしょう?」
時計を見ると、九時十五分過ぎだった。
「そろそろいきます」
胸の奥から、今にも噴き出してきそう
な熱い塊を喉のたりに押し止めた
まま、わたしは彼女に、包みを差し出
した。
「これ、よかったら、食べてください」
「ありがとう。じゃあ、駅まで車まで
送ります」
そう言って、彼女も立ち上がた。
「その必要はないです。タクシーで
行きますから」
「それはバットアイデア。なぜなら
タクシーを呼んで、車を待っている
あいだに、あなたは駅に着けてしま
う」
彼女の運転する車で、駅まで送って
もらった。駅舎の前に車を寄せると、
彼女は車から降りないで、運転席に
乗ったまま、言った。
「楽しい旅を!」
軽くなった鞄を抱えて、わたしは
駅舎の中に入った。
やがて風の中に、細かい雪の結晶
が混じり始めた。
粉雪は風に乗って、空から舞い降
りてくると、そのまま真っ黒な闇
の中に、次々に吸い込まれてゆく。
それは、あまりにも寂しく、あま
りにも寒々しく、厳しく人を拒絶
してるような光景だった。だがそ
れはその孤高ゆえに、美しいと感
じた。
わたしたちはいったい、どんな風
景を、一緒に見たのだろ。
ベンチに腰かかけたまま、わたし
は静かに、両手のひらで顔を覆っ
た。
叩きのめされ、無惨に割れた胸の
中から、悲しみは血液のように、
あとからあとからあふれ出てくる
のに、わたしの目からはひと滴
の涙も、流れ出てこない。
人に泣くことを許さない、そう
いう種類の悲しみも、この世に
はあるのだ。
喜んでいる人へ、幸運はやってくる。
「うれしい」ときには、「うれしい」
と言う人は、
小さな「うれしい」が、大きな「うれ
しい」になります。
さらに、他の人にいいことがあった
ときに喜べる人は、喜びの達人。
いい友だちは、悲しんでいる人と
いっしょに悲しみ、、喜びもいっしょ
に喜べる人。
喜びはそれを祝福する人に伝染し
ます。
いつかあなたのもとに幸運をつれて
帰ってきますよ。