「最大の敵、最大の味方」
「花を花と見て花と見ず」『般若観智』
「花を見る」というのは、自分の立場
から発した行為です。人間の先入観で
そう見えるのであって、実はそうでは
ないかもしれない。とにかく、今自分
が見ているだけがすべてだなどと
思わないこと。
見る私が花そのものになってみて、
はじめて花の真の姿が見えてくる
との教えだそうです。
相手の身になって、ものを見たり
聞いたりしないと、真実は見えて
こない。
正しい判断をするには、物事をあ
るがままに見よと言いますが、
難しいことです。
そこで起こったただ一つの事実で
も、見聞者の心のフィルターを
通ると、その人の主観によって
左右され、見方や受け取り方が
違ったり、単純な問題が複雑に
なることがよくあります。
つまり、自分の損得勘定とか好き
嫌い、かかわりたくないなどと
いう私欲に基づいた判断が、簡単
な問題を紛糾させてしまうのです。
臨済禅師が、「道で仏にあえば仏
を殺せ」と言ったのも、ある意味、
己の心が最大の味方でもあり敵な
のだと教えだと思います。