わたしを名付けないで
娘という名、妻という名
重々しい母という名でしつら
えた座に
座(すわ)りきりにさせないでください
わたしは風
りんごの木と
泉のありかを知っている風
私を区切らないで
- (コンマ) や .(ピリオド)
いくつかの段落
そしておしまいに「さよなら」が
あったりする手紙のようには
こまめにけりをつけないでください
わたしは終わりのない文章
川と同じように
はてしなく流れていく 拡がっていく
一行の詩
わたしを名付けないで
娘という名、妻という名
重々しい母という名でしつら
えた座に
座(すわ)りきりにさせないでください
わたしは風
りんごの木と
泉のありかを知っている風
私を区切らないで
いくつかの段落
そしておしまいに「さよなら」が
あったりする手紙のようには
こまめにけりをつけないでください
わたしは終わりのない文章
川と同じように
はてしなく流れていく 拡がっていく
一行の詩
生きることは「出会うこと」です。
それをおそれて一体何がはじまる
というのでしょう。
旅をしてみる、新しい歌をおぼえ
てみる、ちょっと風変わりなドレ
スを着てみる、気に入った男の子
とキスしてみる、寝てみる、失恋
もしてみる、詩も書いてみる
一つ一つを大げさに考えすぎず、
しかし一つ一つを粗末にしすぎな
いことです。