七田チャイルドアカデミーという幼児教室が地元にありまして。
七田式といえば
『トンデモ本の逆襲』で紹介されていたのを読んでいたので、「あら、ついにトンデモが地元にも」ぐらいの認識しかありませんでした。まあ、トンデモでもやりたい人がいるんならいいんじゃないの~、ってな感じで。教室ができた当時は子供もいませんでしたしね。
ところが先日、その幼児教室の新聞の折り込み広告が入ってきたんですよ。
それを読んで、やっぱり、ちょっと問題あるんじゃねーかなー、という印象を持ちました。
以下、広告から引用します。
一般にはあまり知られていませんが、子供の素質が育つには「才能逓減の法則」というものが働いています。これは誕生に近いときから教育を開始するほど、子供の素質は大きく育ち、遊ばせて育ててしまうと、育つべき素質も失われてしまうという法則です。この事実は障害児の教育において顕著に見られ、障害児の早期教育は今や当然のこととして受け入れられています。遅くから教育を与えたのでは、この子たちが救われないのは明白な事実なのです。
健康児についても同じようにかんがえなくてはなりません。
で、実際、幼児にどんなことやらせてるかというと。
幼児コース(0~6歳)
フラッシュカード・ドッツカード・右脳記憶訓練・速読訓練・素読集等の教材を使用する他、イメージトレーニング訓練によりイメージ力・写真記憶や速読の能力を引き出すことができる右脳と左脳のバランスのとれた教育をいたします。
だそうです。
健常児のお母さんたち、安心してください。
私ゃ、障害児の母ですけどね、障害児は
んなこたぁ、やってません。「才能逓減の法則」なんて聞いたことありません。
そもそも、障害児にたいして必要とされているのは
早期教育じゃなくて
早期療育というものなんですよ。
字を見てもわかると思いますが、”療育”って治療と教育を合わせた言葉でしてね。
まずは合併症などの医療的ケアをしつつ、運動面や生活面、言語などの発達支援をしていくってぇ話でしてね。
まあ、やってることも、それはそれは地道なもんです。
例えば、ダウン症児の場合、筋緊張の低下…まあ、簡単に言えば筋肉が弱くてグニャグニャした感じがする、そういう特徴がありまして、それで首の座りとかおすわりとか歩行とかが遅れる。
なので、
赤ちゃん体操とか、必要な筋肉が動くような遊びをするとか(といっても、本当にハイハイとか普通のことです)そういうことをしていくわけです。
通園施設では生活面でのフォローもしますけれど、保育園や幼稚園でやってることと基本はそんなに変わらないんじゃないかな。
自閉症や脳性麻痺のお子さんの療育についてはあまり知らないのですけれど、障害児の早期療育というのは右脳だとか左脳だとかそんな派手な話ではなくて、もっと生活臭いものなんですよ(笑)
別に早期教育の是非についてどうこう言う気はないんですよ。それぞれの親が判断すればいいことですから。
でも、たいていの健常児の親御さんは障害児の実情を知らないと思います。療育という言葉も。
そういう人が上記のような広告をみれば、『障害児には早期教育が行われている』と思うでしょう。
早期療育と早期教育を混同させるような表記で、障害児の世界では七田式早期教育の有効性が立証されているかのような印象を与えているわけです。
もちろん、早期教育=七田式とは書いていませんが、七田式の幼児教室の広告なのですから、何も知らずに読んだ親御さんは当然そのような解釈をするでしょう。
つまり、わざと読み手が誤解をするように誘導しているとしか見えないんですよね。
誤解をさせて育児不安をあおっているような…。
こういうのって、教育者として誠実さに欠けるような気がするんですがね、どうなんでしょう?