「永瀬清子詩集」
永瀬清子 著
永瀬清子は女性の詩人だ。
母で妻で女である。
その真性さはひとつを囲う。
清らかに、そのいくつものみずみずしく。
隠れながら包みながら暴かれながら。
女性は確かにいて、男性は確かにいて、
性は確かにあり。
性の幅の男女の在り方。
呼び名に呼応し、
性は近くて遠くを夢みる。
だからこそ書き描かざるをえない。
今ある多数と多様性と。
戦いが
幕を下ろし
朱に染まる
陥りがちな
ものたちをひろう
芸術は
生活のなかに
あるという
ことを忘れる
ことはなかれ
芸術は
カタチにすること
感受して
今あることを
享受してみる
いつまでも残る淡色の恋
君は確かに色鮮やかな服を身につけ
激しく可憐な感情を片時も離さず
恋と愛の猫のように
猫のように
猫のように甘え上手で
猫のように淋しそうで
猫のように可愛くて
猫のように意地っ張りで
猫の仕草で
とろけそうな甘い声で鳴いていた
辿り着かない愛に四苦八苦
疲れ果てて毛並みをそろえ
透き通った瞳は獲物を捕らえ
爪を立てる
猫のように