杉野さんはその人に合ったルートを紹介するのが好きでした。
岩場や岩場の駐車場で会うと、いまどこやってるの?〇〇はやった?おもしろいよと
山寝さんに話かけるのが常でした。
そして、山寝さんがRPした報告をすると決まって『やったじゃん すごいじゃん』という返事でした。
あのルートおもしろかったですとの感想には我が意を得たりという感じでにこにこ笑ってました。
私にはグレードが高くトライできないようなルートばかりでしたが
それでも二人の会話は、まさにザ クライマーというものでした。
小学生の頃 夏休みの自由研究で硬券切符のパンチの違いを調べたこと
崎陽軒のシューマイ弁当が好きなこと
映画 フォレストガンプを観ると思わず泣いてしまうこと
千晶さんと知り合ったばかりの頃、苗字の一字が同じだと話かけたこと
クライミングジャーナルでサラリーマンクライマーの特集に掲載された直後に会社をやめたこと
20数年前、セントラルで初めて講習を受けてから数えきれないほど講習を受けさせてもらったのに、
思い出すのはクライミング技術ではなくそんなたわいもないことです。
訃報を聞いてから数日、まだその事実が信じられず悪い夢の中にいるようです。
この写真の日 カサメリで杉野さんに会いました。
充分登れる日だったのになぜこんな空だったんでしょうか。