私の三成のバイブル的な本といえば、これ。
「石田三成」
今井林太郎著 吉川弘文館 1961年
(目次より)
・はしがき
・おいたち
・三成の奉行抜擢
・南征北伐
・朝鮮出兵と三成
・三成のいわゆる「策謀事件」とその真相
・佐和山城主としての三成
・太閤検地と三成
・三成の佐和山引退
・三成の挙兵
・関ヶ原合戦
・三成の最期
・三成の人柄とその教養
・略年譜
・参考文献
・関ヶ原の戦の図
人物叢書シリーズのうちの1冊で、新書の大きさですが布張りのハードカバーです。紙の表紙カバーはすでに破れてしまいましたが…。新装版が出る前のタイプですね。
生い立ちからその最期まで、三成という人物を知るための基本的なことが網羅されています。一方的に三成を贔屓するようなこともなく、著者としてあくまで公平な立場を貫こうとしています。
その当時の研究成果からすれば、精一杯の著書だと思います。
参考文献も、最近の三成本だったら数十冊が羅列されていますが、この本では13冊。それも、半分以上は「太閤記」や「古今武家盛衰紀」のような史料の復刻版。1961(昭和36)年、限られた状況の中での力作だと思います。
今、あらためて読み返してみると、最近の研究によってすでに古くなってしまった説なんかも出ていますが、それでも私にとってはバイブル的な本なんです。
とくに三成の研究者というわけでもない著者の今井林太郎氏(歴史学者・神戸大学名誉教授・大手前女子大学<現・大手前大学>教授)が、この本を著した動機についてはとくに触れられていません。歴史学者としての研究が三成に行き着いたのでしょうか?
まだ三成についての評伝が少なかった時代。三成を書こうとした理由が気になったりします。
今だったら、この人物が好きだとか、子孫だとか、
さて、この本を買ったのは小学校の6年生のとき。
田舎から東京の祖母の家に遊びに来て、そのときに祖母に連れられて大きな書店に行き(田舎の本屋しか知らない私にとって、東京の書店の大きさはビックリでした)、そこで買ったのを覚えています。
「黄金の日日」で三成にどっぷりと嵌まり込んだ少年が、初めて手にした三成の「伝記」でした。
小学校の図書館で探しても、概説書的な本に三成がちょこっと出ているだけだったのに。
あるいは三成が登場するという、それだけのために”敵”徳川家康の伝記を読むという屈辱(?)を味わったり。
まさか三成の伝記があったとは…
見つけた瞬間、ある意味衝撃的で息が詰まるくらいに感激!
あの感動は今も忘れられないんです。
そんなわけで、我が三成の「バイブル」的存在の1冊なのでした。