あいちトリエンナーレ2019(10月14日まで)会場の一つ、名古屋市美術館会場を見てきました。
愛知県美術館での企画展示の1つが中止という事態に出鼻をくじかれたトリエンナーレですが、猛暑の中を熱心なファンが訪れています。
公園から名古屋市美術館の玄関に続く通路に、各国の国旗の模様を印刷したポリエチレン袋を入れたひと抱えほどの円筒型ボックスが、10個余り並んでいました。
これもトリエンナーレの屋外作品。題名は「西洋のゴミ袋」とあり、トリエンナーレのHPなどによると作家はアフリカ諸国とそれらを植民地支配していた国々との関係を作品化してきたそうです。この作品についての説明ははっきりしませんが、題名からはかなり重いメッセージが込められているように思います。
「現代アートはやはり難しい」と思いつつ入館すると、多くの観客が足を止めているコーナーがありました。
社会的、文化的につくられた性別(ジェンダー)間の不公平・不均衡を可視化し、考える場のようです。
職場や街、地域、家庭内、バスや電車内など、日常生活の中でどのような抑圧を感じたり、暴力や暴言、ハラスメントを受けたか、女性たちが匿名で書いた証言や悲鳴がフロアいっぱいに展示されています。
コーナーには机にピンクの用紙が置かれ、何人かの女性が書き込んでいます。立ち止まって読む観客の中心は女性やカップルですが、中高年男性の真剣な様子が印象的でした。
他にも女性の「立ち位置」を問う作品や、母親から自分が人工授精で生まれてきたことを知らされて以来、「選択された生」にまつわる創作を続けているというアーティストの作品なども展示されています。
これまで見たことがなかった表現方法の作品がありました。
壁に15台ほどのスマホが並び「スマホで鑑賞し、シェアもしていただけます」と。若い女性が次々にスマホを向けていました。
ちょっとした「展覧会革命」を見る思いでした。