≪ケイマ、コスミに関する囲碁の格言~『新・早わかり格言小事典』より≫
(2021年9月2日)
今回のブログでは、日本棋院から出版されている工藤紀夫編『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』(日本棋院、1994年[2007年版])に見える、ケイマ、コスミに関する囲碁の格言について解説してみたい。
具体的には次の格言である。
〇ケイマにツケコシ(あり)
〇ケイマのツキ出し悪手の見本
〇「 コスミに悪手なし」「じょうずまっすぐ、へたコスむ」
〇コスミツケには立つ
【『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院はこちらから】
新 早わかり格言小事典―役に立つ囲碁の法則
さて、今回の執筆項目は次のようになる。
ケイマの形に打つときや、ケイマの形があるときは、相手から常にツケコシを狙われていますよ、ご注意なさいということである。
【白1のケイマ】
≪棋譜≫(69頁の1図)
棋譜再生
・白1がケイマである。
☆はたして、これでよかったか?
【黒1のツケコシ】
≪棋譜≫(69頁の2図)
棋譜再生
・黒1がツケコシ。
⇒ケイマを越えて1とツケるから、ツケコシである。
※黒1で2、白1、黒a(10, 十四)はツケコシとは呼ばない。
白2、4なら、黒3、5で戦い。
もう1例、ケイマにツケコシの例を挙げてみよう。
【白1のケイマ】
≪棋譜≫(70頁の4図)
棋譜再生
・白1がケイマ。
☆「ケイマにツケコシ」を知っていれば、見事に決まる。
【黒1のツケコシ】
≪棋譜≫(70頁の5図)
棋譜再生
・黒1、ツケコシである。
・白4と取らせて、黒7までは“技あり”といっていい。
※黒1で2は白1だし、7のカケは5とハワれ、知ると知らぬとでは大ちがい、となる。
(工藤紀夫『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院、1994年[2007年版]、69頁~70頁)
「ケイマのツキ出し悪手の見本」は、「ケイマのツキ出し俗手なり」「ケイマの腹は出るべからず」ともいう。
【俗手:「ケイマのツキ出し」の例】
≪棋譜≫(71頁の1図)
棋譜再生
☆白は本来、a(白4の下)にコスんで守っておかねばならぬ形である。
・なのに黒1が「ケイマのツキ出し」
・白を4と安心させた。
【本筋:「ケイマのツケコシ」の例】
≪棋譜≫(71頁の2図)
棋譜再生
〇「ケイマのツケコシ」で、黒は当然1でなければならぬ。
・白4で5のノビは黒a(16, 十八)に耐えられないから、白は4。
・黒は5とタタいて、気分いいこと、この上ない。
※前図の俗手との差をご覽あれ。
本筋とは、これほどの開きがでる。
(工藤紀夫『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院、1994年[2007年版]、71頁)
「 コスミに悪手なし」
「悪手なし」の所を「妙手あり」「威力あり」とする格言もある。
いろいろ言ってくれるものだが、一方には、「上手(じょうず)まっすぐ、下手(へた)コスむ」などという背反した言い方もあるから、ややこしい。
「一間トビに悪手なし」という比較的古典的な格言があり、それなら「コスミ」だって捨てたものではないゾ――と、新しく創られたものにちがいないと、みられている。
ただ、いつでもどこでもコスめばいいというものでないことは、注意を要する。
(工藤紀夫『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院、1994年[2007年版]、75頁)
「じょうずまっすぐ、へたコスむ」
これも当然、ケースバイケースである。
「まっすぐ」が万能でもなければ、「コスミ」を悪玉と決めつけることもない。
この格言は、次のようなことを言ったものと心得よとする。
【「へたコスむ」の場合】
≪棋譜≫(104頁の1図)
棋譜再生
☆黒の打ち込みに白1と肩を衝いて来た。
・しかるに黒2のコスミ。これが「へたコスむ」に該当する。
・白から3、5を利かされ、左右の白にゆとりを与えている。
※白1と白(11, 十七、つまり白3の下)が、コスミの急所に来ているからである。
【「じょうずまっすぐ」の場合】
≪棋譜≫(104頁の2図)
棋譜再生
〇「じょうず」は、黒1の「まっすぐ」である。
なんといっても、白(8, 十六、つまり黒1の左)の石に対する当たりが強いのが、「まっすぐ」の長所。
・白2のハネなら黒3から9で、黒の好形、攻勢となった。
※前図、黒2のへっぴり腰との差を、とくとご覧あれ。
(工藤紀夫『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院、1994年[2007年版]、104頁)
【コスミツケには立つの例】
≪棋譜≫(75頁の1図)
棋譜再生
・黒1のコスミツケに、白2の「立ち」である。
【コスミツケには立つの別例】
≪棋譜≫(75頁の2図)
棋譜再生
・黒3のコスミツケに、白4も同様である。
※中央なら「ノビ」であるが、三線からノビるケースを「立ち」と呼ぶ。
<注意>
・コスミツケに手を抜くことは、次に、前図は黒2、本図は黒4で、いずれも相手に好形を与えてしまう。
⇒だから、コスミツケには、何も考えずに立つくらいの気持ちがほしいという。
(工藤紀夫『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院、1994年[2007年版]、75頁)
(2021年9月2日)
【はじめに】
今回のブログでは、日本棋院から出版されている工藤紀夫編『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』(日本棋院、1994年[2007年版])に見える、ケイマ、コスミに関する囲碁の格言について解説してみたい。
具体的には次の格言である。
〇ケイマにツケコシ(あり)
〇ケイマのツキ出し悪手の見本
〇「 コスミに悪手なし」「じょうずまっすぐ、へたコスむ」
〇コスミツケには立つ
【『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院はこちらから】
新 早わかり格言小事典―役に立つ囲碁の法則
さて、今回の執筆項目は次のようになる。
・はじめに
・ケイマにツケコシ(あり)
・ケイマのツキ出し悪手の見本
・「 コスミに悪手なし」「じょうずまっすぐ、へたコスむ」
・コスミツケには立つ
ケイマにツケコシ(あり)
ケイマの形に打つときや、ケイマの形があるときは、相手から常にツケコシを狙われていますよ、ご注意なさいということである。
【白1のケイマ】
≪棋譜≫(69頁の1図)
棋譜再生
・白1がケイマである。
☆はたして、これでよかったか?
【黒1のツケコシ】
≪棋譜≫(69頁の2図)
棋譜再生
・黒1がツケコシ。
⇒ケイマを越えて1とツケるから、ツケコシである。
※黒1で2、白1、黒a(10, 十四)はツケコシとは呼ばない。
白2、4なら、黒3、5で戦い。
もう1例、ケイマにツケコシの例を挙げてみよう。
【白1のケイマ】
≪棋譜≫(70頁の4図)
棋譜再生
・白1がケイマ。
☆「ケイマにツケコシ」を知っていれば、見事に決まる。
【黒1のツケコシ】
≪棋譜≫(70頁の5図)
棋譜再生
・黒1、ツケコシである。
・白4と取らせて、黒7までは“技あり”といっていい。
※黒1で2は白1だし、7のカケは5とハワれ、知ると知らぬとでは大ちがい、となる。
(工藤紀夫『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院、1994年[2007年版]、69頁~70頁)
ケイマのツキ出し悪手の見本
「ケイマのツキ出し悪手の見本」は、「ケイマのツキ出し俗手なり」「ケイマの腹は出るべからず」ともいう。
【俗手:「ケイマのツキ出し」の例】
≪棋譜≫(71頁の1図)
棋譜再生
☆白は本来、a(白4の下)にコスんで守っておかねばならぬ形である。
・なのに黒1が「ケイマのツキ出し」
・白を4と安心させた。
【本筋:「ケイマのツケコシ」の例】
≪棋譜≫(71頁の2図)
棋譜再生
〇「ケイマのツケコシ」で、黒は当然1でなければならぬ。
・白4で5のノビは黒a(16, 十八)に耐えられないから、白は4。
・黒は5とタタいて、気分いいこと、この上ない。
※前図の俗手との差をご覽あれ。
本筋とは、これほどの開きがでる。
(工藤紀夫『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院、1994年[2007年版]、71頁)
「 コスミに悪手なし」「じょうずまっすぐ、へたコスむ」
「 コスミに悪手なし」
「悪手なし」の所を「妙手あり」「威力あり」とする格言もある。
いろいろ言ってくれるものだが、一方には、「上手(じょうず)まっすぐ、下手(へた)コスむ」などという背反した言い方もあるから、ややこしい。
「一間トビに悪手なし」という比較的古典的な格言があり、それなら「コスミ」だって捨てたものではないゾ――と、新しく創られたものにちがいないと、みられている。
ただ、いつでもどこでもコスめばいいというものでないことは、注意を要する。
(工藤紀夫『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院、1994年[2007年版]、75頁)
「じょうずまっすぐ、へたコスむ」
これも当然、ケースバイケースである。
「まっすぐ」が万能でもなければ、「コスミ」を悪玉と決めつけることもない。
この格言は、次のようなことを言ったものと心得よとする。
【「へたコスむ」の場合】
≪棋譜≫(104頁の1図)
棋譜再生
☆黒の打ち込みに白1と肩を衝いて来た。
・しかるに黒2のコスミ。これが「へたコスむ」に該当する。
・白から3、5を利かされ、左右の白にゆとりを与えている。
※白1と白(11, 十七、つまり白3の下)が、コスミの急所に来ているからである。
【「じょうずまっすぐ」の場合】
≪棋譜≫(104頁の2図)
棋譜再生
〇「じょうず」は、黒1の「まっすぐ」である。
なんといっても、白(8, 十六、つまり黒1の左)の石に対する当たりが強いのが、「まっすぐ」の長所。
・白2のハネなら黒3から9で、黒の好形、攻勢となった。
※前図、黒2のへっぴり腰との差を、とくとご覧あれ。
(工藤紀夫『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院、1994年[2007年版]、104頁)
コスミツケには立つ
【コスミツケには立つの例】
≪棋譜≫(75頁の1図)
棋譜再生
・黒1のコスミツケに、白2の「立ち」である。
【コスミツケには立つの別例】
≪棋譜≫(75頁の2図)
棋譜再生
・黒3のコスミツケに、白4も同様である。
※中央なら「ノビ」であるが、三線からノビるケースを「立ち」と呼ぶ。
<注意>
・コスミツケに手を抜くことは、次に、前図は黒2、本図は黒4で、いずれも相手に好形を与えてしまう。
⇒だから、コスミツケには、何も考えずに立つくらいの気持ちがほしいという。
(工藤紀夫『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院、1994年[2007年版]、75頁)
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