《フランス語の学び方あれこれ―その1―》
【はじめに】
外国語をもっと勉強しておけばよかったと痛感するのは、何と言っても、海外の現地を訪れた時である。私は2004年5月、フランスを訪れたとき、改めてこのことを感じた。
私とフランス語とのつきあいは、1979年大学2年生のときに遡る。ベトナムに興味をもっていたので、宗主国フランスの言語で書かれた文献が充実していることを知り合いに言われ、正式に授業を受けて、単位を取得した。第一外国語は英語、第二外国語は中国語であったので、フランス語は第三外国語として履修したが、文学部であったので、カリキュラム上、さほど無理せず授業を受けることができた。
卒論、修論では、ベトナムの15世紀の法典をテーマに選んだが、やはりフランス語がいくらか読めて、役立った。1990年代に短大の非常勤講師をしていた時には、有志を集い、フランス語の勉強会を開き、筑紫文耀『エクスプレス フランス語』(白水社、1986年[1996年版])をテキストに学生とともに学習し直したりした。
2004年のパリ旅行の様子は、「パリ一人旅 その1~3」(2009年6月16日付)として、ブログ記事にまとめたことがある。
そのブログ記事はこちらから
さて、前置きが長くなったが、今回のブログでは、フランス語の学習方法について、私見を述べてみたいと思う。あれから40年近く経ってしまったが、語学力はさほど向上していないが、手元にはフランス語学習の参考書はかなりの数が存在する。これらを参考にし、その内容を紹介しながら、これからフランス語を学びたいと思っておられる後学の人、および初級を終えてそのままフランス語から遠ざかっている人に、私なりのアドヴァイスをしたい。とりわけ、フランス語の初級から中級への橋渡しができたらと思う。これが今回のブログのテーマである。
今回は、初級から中級への橋渡しというテーマであるので、初級編の詳述は避けるが、今後、次のような作品をフランス語で読めるようになることを目的としている。
①『星の王子さま』
②『美女と野獣』
③『オペラ座の怪人』
④『ノートル・ダム・ド・パリ』
⑤『レ・ミゼラブル』
⑥『赤と黒』
⑦映画『シェルブールの雨傘』
上記の文学作品に関して、今回のブログでは次のような参考文献を参照したので、紹介しておく。
【『星の王子さま』】
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ(倉橋由美子訳)『新訳 星の王子さま』宝島社文庫、2006年
Antoine de Saint-Exupéry, Le Petit Prince, A Harvest Book Harcourt, INC., 1943[2000].
加藤恭子『「星の王子さま」をフランス語で読む』ちくま学芸文庫、2000年[2001年版]
鳥取絹子『大人のための「星の王子さま」』KKベストセラーズ、2000年
稲垣直樹『サドから『星の王子さま』へ――フランス小説と日本人』丸善ライブラリー、1993年
畑山博『サン=テグジュペリの宇宙――「星の王子さま」とともに消えた詩人』PHP新書、1997年
Le Petit Prince (French)
【『美女と野獣』】
ボーモン夫人(村松潔訳)『美女と野獣』新潮文庫、2017年
滝田りら『フランス語で読む5つの物語―美女と野獣・青ひげ他―』NHK出版、2011年
Jeanne-Marie Leprince de Beaumont, La belle et la bête, Éditions Jérôme Verne, 2016.
【『オペラ座の怪人』】
ガストン・ルルー(三輪秀彦訳)『オペラ座の怪人』創元推理文庫、1987年
Gaston Leroux, Le Fantôme de l’Opéra, Le Livre de Poche, 1959(2014)
Jennifer Bassett, The Oxford Bookworms Library: Stage 1: The Phantom of the Opera,Oxford University Press, 2007.
【『ノートル・ダム・ド・パリ』】
ヴィクトル・ユゴー(松下和則・辻昶訳)『ノートル=ダム・ド・パリ』河出書房、1952年
Victor Hugo(éd. S. de Sacy), Notre-Dame de Paris:1482, Gaillimard, 1974[1994]
鹿島茂『100分de名著 ノートル・ダム・ド・パリ』NHK出版、2018年
池内智佳子『ノートルダムの鐘』扶桑社ディズニートレジャー文庫、1996年
【『レ・ミゼラブル』】
ヴィクトル・ユゴー(石川湧訳)『レ・ミゼラブル 1~4』角川文庫、1998年
ユゴー(井上究一郎訳)『世界文学全集Ⅱ‐6 レ・ミゼラブル』河出書房、1968年
Victore Hugo(tr. Norman Denny), Les Misérables, Penguin Books, 1982.
ヴィクトル・ユゴー(豊島与志雄訳)『死刑囚最期の日』岩波文庫、1982年
辻昶『ヴィクトル・ユゴー』第三文明社、1991年[1998年版]
西永良成『『レ・ミゼラブル』の世界』岩波新書、2017年
鹿島茂『「レ・ミゼラブル」百六景』文芸春秋、1994年[1998年版]
鹿島茂『パリの王様たち――ユゴー、デュマ、バルザック 三大文豪大物くらべ』文芸春秋、1995年
鹿島茂『パリ五段活用―時間の迷宮都市を歩く』中公文庫、2003年7
鹿島茂『文学的パリガイド』NHK出版、2004年
渡辺一夫・鈴木力衛『増補 フランス文学案内』岩波文庫、1961年[1992年版]
【『赤と黒』】
スタンダール(桑原武夫・生島遼一訳)『赤と黒(上)(下)』岩波文庫、1958年[1997年版]
Stendhal, Le Rouge et le Noir Chronique de 1830, Le Livre de Poche, 1997.
スタンダール(前川堅市訳)『恋愛論(上)(下)』岩波文庫、1931年[1990年版]
室井庸一『スタンダール評伝』読売新聞社、1984年
桑原武夫ほか編『現代日本文学大系74 中島健蔵、中野好夫、河盛好蔵、桑原武夫集』
筑摩書房、1972年
【映画『シェルブールの雨傘』】
ジャック・ドゥミー脚本[窪川英水訳]『シェルブールの雨傘』白水社、1994年
シェルブールの雨傘 デジタルリマスター版(2枚組) [DVD]
文学作品はこちらから
本ブログの構想は次のような章立てで叙述していく。
・はじめに
・フランス語と先達
・フランス語テキストから
・フランス語の動詞
・フランス語の叙法(mode)と時制(temps)
・シャンソンとフランス語
・映画とフランス語
・童話とフランス語
・小説とフランス語
・歴史学とフランス語
・日本文化の紹介とフランス語
・フランス語の特質
・おわりに
なお、このブログを、1年5か月にわたる大腸がんの闘病生活の末に、2019年5月18日に永眠した父に捧げたい。大学院に進学することを許してくれたのも父であった。今なおこうして向学心を持ち続けて、勉強し続けられるのも大学院に進んだからである。そして、その進学により、自由な生き方ができたのも、父の寛大さのおかげであることが、ようやく60歳の自分にもわかりかけてきた。
このブログの例文は次の辞書による。
小林路易ほか『アポロ仏和辞典』角川書店、1991年[1993年版]
鈴木信太郎ほか『スタンダード佛和辞典』大修館書店、1957年[1978年版]
電子辞書(CASIO Ex-word DATAPLUS5 XD-A7200)所収の次の辞書
1『小学館ロベール仏和大辞典』小学館、1988年
2『ロワイヤル仏和中辞典』旺文社、2005年
3『プチ・ロワイヤル和仏辞典 第2版』旺文社、2003年
4『オックスフォード仏英辞典(Oxford Hachette French Dictionary Fourth Edition French-English)』Oxford University Press, 1994, 1997, 2001, 2007.
5『オックスフォード英仏辞典(Oxford Hachette French Dictionary Fourth Edition English- French)』Oxford University Press, 1994, 1997, 2001, 2007.
6『PETIT ROBERT仏仏辞典(Le Nouveau Petit Robert de la langue française)』Dictionnaires Le Robert-SEJER, 2008.
フランス語の辞書はアマゾンから
CASIO Ex-word 電子辞書 XD-A7200 フランス語モデル ツインタッチパネル 音声対応 65コンテンツ 日本文学300作品/世界文学100作品収録 "BlanviewR(ブランビュー)カラー液晶"搭載
<パリ旅行の写真~凱旋門~ 2004年5月 筆者撮影>
私のかつてのブログ記事はこちらから
古本、CD、DVD、ゲーム販売のもったいない本舗
【はじめに】
外国語をもっと勉強しておけばよかったと痛感するのは、何と言っても、海外の現地を訪れた時である。私は2004年5月、フランスを訪れたとき、改めてこのことを感じた。
私とフランス語とのつきあいは、1979年大学2年生のときに遡る。ベトナムに興味をもっていたので、宗主国フランスの言語で書かれた文献が充実していることを知り合いに言われ、正式に授業を受けて、単位を取得した。第一外国語は英語、第二外国語は中国語であったので、フランス語は第三外国語として履修したが、文学部であったので、カリキュラム上、さほど無理せず授業を受けることができた。
卒論、修論では、ベトナムの15世紀の法典をテーマに選んだが、やはりフランス語がいくらか読めて、役立った。1990年代に短大の非常勤講師をしていた時には、有志を集い、フランス語の勉強会を開き、筑紫文耀『エクスプレス フランス語』(白水社、1986年[1996年版])をテキストに学生とともに学習し直したりした。
2004年のパリ旅行の様子は、「パリ一人旅 その1~3」(2009年6月16日付)として、ブログ記事にまとめたことがある。
そのブログ記事はこちらから
さて、前置きが長くなったが、今回のブログでは、フランス語の学習方法について、私見を述べてみたいと思う。あれから40年近く経ってしまったが、語学力はさほど向上していないが、手元にはフランス語学習の参考書はかなりの数が存在する。これらを参考にし、その内容を紹介しながら、これからフランス語を学びたいと思っておられる後学の人、および初級を終えてそのままフランス語から遠ざかっている人に、私なりのアドヴァイスをしたい。とりわけ、フランス語の初級から中級への橋渡しができたらと思う。これが今回のブログのテーマである。
今回は、初級から中級への橋渡しというテーマであるので、初級編の詳述は避けるが、今後、次のような作品をフランス語で読めるようになることを目的としている。
①『星の王子さま』
②『美女と野獣』
③『オペラ座の怪人』
④『ノートル・ダム・ド・パリ』
⑤『レ・ミゼラブル』
⑥『赤と黒』
⑦映画『シェルブールの雨傘』
上記の文学作品に関して、今回のブログでは次のような参考文献を参照したので、紹介しておく。
【『星の王子さま』】
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ(倉橋由美子訳)『新訳 星の王子さま』宝島社文庫、2006年
Antoine de Saint-Exupéry, Le Petit Prince, A Harvest Book Harcourt, INC., 1943[2000].
加藤恭子『「星の王子さま」をフランス語で読む』ちくま学芸文庫、2000年[2001年版]
鳥取絹子『大人のための「星の王子さま」』KKベストセラーズ、2000年
稲垣直樹『サドから『星の王子さま』へ――フランス小説と日本人』丸善ライブラリー、1993年
畑山博『サン=テグジュペリの宇宙――「星の王子さま」とともに消えた詩人』PHP新書、1997年
Le Petit Prince (French)
【『美女と野獣』】
ボーモン夫人(村松潔訳)『美女と野獣』新潮文庫、2017年
滝田りら『フランス語で読む5つの物語―美女と野獣・青ひげ他―』NHK出版、2011年
Jeanne-Marie Leprince de Beaumont, La belle et la bête, Éditions Jérôme Verne, 2016.
【『オペラ座の怪人』】
ガストン・ルルー(三輪秀彦訳)『オペラ座の怪人』創元推理文庫、1987年
Gaston Leroux, Le Fantôme de l’Opéra, Le Livre de Poche, 1959(2014)
Jennifer Bassett, The Oxford Bookworms Library: Stage 1: The Phantom of the Opera,Oxford University Press, 2007.
【『ノートル・ダム・ド・パリ』】
ヴィクトル・ユゴー(松下和則・辻昶訳)『ノートル=ダム・ド・パリ』河出書房、1952年
Victor Hugo(éd. S. de Sacy), Notre-Dame de Paris:1482, Gaillimard, 1974[1994]
鹿島茂『100分de名著 ノートル・ダム・ド・パリ』NHK出版、2018年
池内智佳子『ノートルダムの鐘』扶桑社ディズニートレジャー文庫、1996年
【『レ・ミゼラブル』】
ヴィクトル・ユゴー(石川湧訳)『レ・ミゼラブル 1~4』角川文庫、1998年
ユゴー(井上究一郎訳)『世界文学全集Ⅱ‐6 レ・ミゼラブル』河出書房、1968年
Victore Hugo(tr. Norman Denny), Les Misérables, Penguin Books, 1982.
ヴィクトル・ユゴー(豊島与志雄訳)『死刑囚最期の日』岩波文庫、1982年
辻昶『ヴィクトル・ユゴー』第三文明社、1991年[1998年版]
西永良成『『レ・ミゼラブル』の世界』岩波新書、2017年
鹿島茂『「レ・ミゼラブル」百六景』文芸春秋、1994年[1998年版]
鹿島茂『パリの王様たち――ユゴー、デュマ、バルザック 三大文豪大物くらべ』文芸春秋、1995年
鹿島茂『パリ五段活用―時間の迷宮都市を歩く』中公文庫、2003年7
鹿島茂『文学的パリガイド』NHK出版、2004年
渡辺一夫・鈴木力衛『増補 フランス文学案内』岩波文庫、1961年[1992年版]
【『赤と黒』】
スタンダール(桑原武夫・生島遼一訳)『赤と黒(上)(下)』岩波文庫、1958年[1997年版]
Stendhal, Le Rouge et le Noir Chronique de 1830, Le Livre de Poche, 1997.
スタンダール(前川堅市訳)『恋愛論(上)(下)』岩波文庫、1931年[1990年版]
室井庸一『スタンダール評伝』読売新聞社、1984年
桑原武夫ほか編『現代日本文学大系74 中島健蔵、中野好夫、河盛好蔵、桑原武夫集』
筑摩書房、1972年
【映画『シェルブールの雨傘』】
ジャック・ドゥミー脚本[窪川英水訳]『シェルブールの雨傘』白水社、1994年
シェルブールの雨傘 デジタルリマスター版(2枚組) [DVD]
文学作品はこちらから
本ブログの構想は次のような章立てで叙述していく。
・はじめに
・フランス語と先達
・フランス語テキストから
・フランス語の動詞
・フランス語の叙法(mode)と時制(temps)
・シャンソンとフランス語
・映画とフランス語
・童話とフランス語
・小説とフランス語
・歴史学とフランス語
・日本文化の紹介とフランス語
・フランス語の特質
・おわりに
なお、このブログを、1年5か月にわたる大腸がんの闘病生活の末に、2019年5月18日に永眠した父に捧げたい。大学院に進学することを許してくれたのも父であった。今なおこうして向学心を持ち続けて、勉強し続けられるのも大学院に進んだからである。そして、その進学により、自由な生き方ができたのも、父の寛大さのおかげであることが、ようやく60歳の自分にもわかりかけてきた。
このブログの例文は次の辞書による。
小林路易ほか『アポロ仏和辞典』角川書店、1991年[1993年版]
鈴木信太郎ほか『スタンダード佛和辞典』大修館書店、1957年[1978年版]
電子辞書(CASIO Ex-word DATAPLUS5 XD-A7200)所収の次の辞書
1『小学館ロベール仏和大辞典』小学館、1988年
2『ロワイヤル仏和中辞典』旺文社、2005年
3『プチ・ロワイヤル和仏辞典 第2版』旺文社、2003年
4『オックスフォード仏英辞典(Oxford Hachette French Dictionary Fourth Edition French-English)』Oxford University Press, 1994, 1997, 2001, 2007.
5『オックスフォード英仏辞典(Oxford Hachette French Dictionary Fourth Edition English- French)』Oxford University Press, 1994, 1997, 2001, 2007.
6『PETIT ROBERT仏仏辞典(Le Nouveau Petit Robert de la langue française)』Dictionnaires Le Robert-SEJER, 2008.
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CASIO Ex-word 電子辞書 XD-A7200 フランス語モデル ツインタッチパネル 音声対応 65コンテンツ 日本文学300作品/世界文学100作品収録 "BlanviewR(ブランビュー)カラー液晶"搭載
<パリ旅行の写真~凱旋門~ 2004年5月 筆者撮影>
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