幼い頃、母の実家に行く度に見ていたその絵(勿論コピーだけれど)がすっかり好きになり、私が絵に興味を持つ原点になったのかもわからない。
その絵は、ミレーの「晩鐘」だった。
じゃがいも堀りをしている夫婦に、遠く離れた教会から夕方の時を告げる晩鐘の音が聞こえてきた。二人は農作業の手を止めて一日の終わりの感謝の祈りをする。かごの中にはじゃがいもが満たされないまま入っている。
この度、東京の国立新美術館にこの絵を観に行くことになった、と、言うよりも会いに行ったと言った方が良いのかもわからない。
この絵に実際に出会ったのは、パリのオルセー美術館で当時の本を見てみると、中に入っていた旅行の行程表は1999年になっていた。そう、もう15年前のことだった。
まさか再会できるなんて思ってもいなかった。