先日、目黒に出かけました。
目黒駅は品川区に、品川駅は港区にあります。
目黒駅に降りるのは、十何年ぶりです。
随分変わりました。
権之助坂を降りて、
目黒川を越え、
山手通りを越えて、
途中にあったのが、大鳥神社。
大同元年(806年)創建の目黒区最古の神社。
現在の社殿は昭和37年(1962年)に完成したもの。
平成18年(2006年)には鎮座1200年祭が行われました。
目の病の治癒を祈願し、無事治癒した由緒があり、
盲神(めくらがみ)と呼ばれ、
この「めくら」が段々と訛っていき
「目黒(めぐろ)」という地名の由来となったとされています。
大鳥神社を過ぎて、
目的地は、ここ。
ずっと「寄生虫博物館」という名前だと思っていましたが、
正式名称「目黒寄生虫館」。
頭に「目黒」と付くのはなぜなのか。
世界的に珍しい寄生虫の博物館。
2017年に、ソウルの江西区に寄生虫博物館が開館するまでは、
長らく、世界で唯一の存在でした。
その存在は知っていましたが、
行こう行こうと思いながら、ようやく。
1953年、医学博士の亀谷了(かめがい・さとる)さんが
私財を投じて設立した私立博物館であり、
公益財団法人目黒寄生虫館が運営しています。
2フロアだけのこじんまりとした博物館です。
撮影OK。
入場無料。
初代の亀谷館長の方針で、
知識を広めるためには、無料で来てもらって、
自由に見てもらうことが重要だ、ということです。
「お金を取らないことで、こちらも自由に展示できるというメリットもあります」
とのこと。
無料のせいか、結構人が入っていました。
外人さんの姿もちらほら。
どうやって情報を得るのでしょうか。
2022年には、ビル・ゲイツも来館したそうです。
どういう興味だったのか。
寄生虫の写真はネットで調べれば出てきますが、
ここでは実物を見られます。
展示スペースには約300の標本が置かれていますが、
保管している標本や資料は約6万点もあります。
回虫。
最も知られた寄生虫で、
昔の人は体内に1、2匹は飼っていました。
学校で年1回、
海人草(カイニンソウ)という紅藻を煎じた苦い薬を飲まされ、
新聞紙を敷いたトイレで排便すると、
回虫が出てきます。
私はこどもの頃、2回経験しました。
昔は下肥を畑の野菜にかけましたので、
生野菜を食べると、卵が口から入って感染、
それ以外に、下肥をかけた土が風で飛んで、
経口感染する、ということもありました。
今では回虫を体内に持っている人など、まれです。
そういえば、「虫下し」という言葉も、もはや死語ですね。
これが代表的な展示物、
全長8. 8メートルの
長大な日本海裂頭条虫(サナダムシの一種)。
約1メートルずつに折り曲げて展示されています。
40代の男性が排便中、
白いひも状のものが出て来、
駆虫薬を使って、ほぼ完全な形で回収。
感染源は、
男性が3カ月前にマスの刺身を食べ、
そのマスに寄生していた条虫が男性の腹の中に。
沢山の節で出来ており、
節が一つでも腸内に残ると、
そこから再生しますので、
全身を駆虫しなければなりません。
ある研究者は、
わざとサナダ虫を飲んだそうです。
すると、アレルギーなどの症状が消えるといいます。
体内のアレルギー反応要素が、
仕事のない公務員のように過剰に反応していたのが、
サナダ虫を飼うことにより、
そちらに防御機能が働いた結果だとか。
また、ダイエットにもよく、
腸を体内に装備しているのと同じで、
栄養を吸収してくれるのだとか。
ある研究者がサナダ虫を
「きしめん虫」と命名したところ、
名古屋のきしめん店から
「殺しに行くぞ」と脅迫されたとか。
8.8メートルという長さを実感してもらうために、
同じ長さの紐が標本の横に設置されており、
それを手に取ることができるようになっています。
入館料を徴収しないかわりに、
募金をつのります。
わずかですが、寄付をしました。
ショップでグッズを販売しており、
サナダ虫をデザインしたTシャツなど。
いつ着るのでしょうね。
キーホルダーは個性的な3種類の寄生虫がデザインされています。
その他文房具(定規、クリアファイル、ボールペンなど)、
手拭い、マグカップ、トートバッグ、ポストカード。
ある会社は、新人社員の歓迎行事として、
ここに連れて来て、
その帰り道に、
きしめんを食べさせるのだとか。
ホントかね。
今だったら、パワハラに認定されるのでは。
東京には、まだ知られざる博物館や美術館が沢山あります。
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