[映画紹介]
前作「スパイダーマン:スパイダーバース」(2018)は、
実写版からコミックに回帰、
CGアニメとは異なる、
アメリカン・コミックがそのまま動き出したような革新的映像表現で、
まさに天才の所業、と思わせた。
評価は高く、その年のアカデミー賞の長編アニメーション賞を受賞。
本格的なマルチバースを描いた作品だった。
マルチバース・・・マルチ(複数)とユニバース(宇宙・世界)を合成した造語 で
自分のいる世界とは別に他の世界が複数存在するという
理論物理学のこと。
多元宇宙と訳される。
シリーズの「2」に当たる本作は、
そのマルチバースを更に深く追究する。
前作から1年後。
ピーター・パーカー亡きあと、
スパイダーマンを継承した高校生マイルス・モラレスのもとを、
別次元のスパイダーウーマンである
グウェイン・ステイシーが再訪して来る。
彼女は、自分の住むユニバースで、
ピーター・パーカーの死の犯人として、
父親である署長にその正体を知られて、
マイルスの住むユニバースに逃げて来たのだ。
マイルスは、空間をあやつる怪人との闘争をしていたが、
グウェインと共に、
各次元のスパイダーマンのひしめく
スパイダー・ソサエティに接触する。
そこでマイルスは、
愛する人と世界を同時に救うことはできないという、
スパイダーマンの課せられた悲しい宿命を知り、
運命に反抗することを決意する。
結果、マイルスはソサエティ全体を敵に回す羽目になり、
追われたマイルスは、
運命を変えるために、
自分のユニバースに戻って来る。
しかし、そこは誤った着地点で、
悪人となった自分自身と対決することになり・・・
少しでも居眠りしたら、先を理解するのは不可能となる。
事実、私は公開日、ほんの少し眠ったばかりに、
ソサエティが何かも知らず、
なぜマイルスが追われるのかも理解せず、
最後のくだりもわけが分からず、
もう一度観ることになった。
ああ、ここで眠ったのだな、
理解できなくなったのも無理はない、
と恥ずかしい話。
何だか、背景の色合いが前作と違うな、
と思ったら、
今作ではユニバースごとに異なるアニメーションスタイルを取り入れているのだという。
どこまで凝るんだ。
前作同様ストーリー展開、キャラクター、造形美は
一層の進化を遂げている。
なにより、このスピード感は驚異的だ。
まさに、天才の所業。
マルチバースという世界観を
見事に活用した本作。
アメリカでは前作をしのぐ大ヒット。
この複雑な物語を
あのおバカな(偏見です!)アメリカ人が本当に理解しているのだろうか。
監督は、
ホアキン・ドス・サントス
ジャスティン・K・トンプソン
ケンプ・パワーズ
の3人。
どんな分担をしているのか、興味がわく。
脚本は、
デヴィッド・カラハム
フィル・ロード
クリストファー・ミラー
の3人。
グウェンとマイルズの母が魅力的。
音楽も素晴らしい。
2時間20分と長いが、
そのラストに「あっ」と言ってしまった。
続編の「スパイダーマン:ビヨンド・ザ・スパイダーバース」は、
来年3月29日に公開される予定。
5段階評価の「4.5」。
拡大上映中。
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