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映画『アメリカン アンダードッグ』

2023年11月23日 23時00分00秒 | 映画関係

[映画紹介]

「アンダードッグ」とは、
「噛ませ犬」の意。
「噛ませ犬」とは、
闘犬で、訓練のために若い犬が噛みつく相手となる犬。
試合から引退した老犬などが使われる。
転じて、格闘技などで、
引き立て役として対戦させる弱い相手のこと。
いずれにせよ、良い意味で使われない。

この映画は、
NFL(National Football League=
    アメリカのプロアメリカンフットボールリーグ)の


伝説的プレーヤー、カート・ワーナー↓の


下積み時代の物語。

子どもの頃からアメフト選手を夢見てきたカートは、
大学リーグを経てドラフトに期待するが、
どのチームからも指名を受けられず、
ようやくあるチームと契約するが
コーチににらまれて、2日で解雇されてしまう。

生活のため、時給5ドル50セントの
スーパーの品出し係として働いていたが、
やがてアリーナフットボールのチームにスカウトされる。

アリーナフットボール・・・
  アメリカンフットボールを
  ホッケーリンクなどの室内で行えるようにルールを変更したもの。
  フィールドは、縦50ヤードとフットボールの半分。
  プレイヤーは各チーム8人(フットボールは11人)。
  サッカーに対するフットサルみたいなものか。

そこでカートは、QB(クォーターバック=司令塔)として活躍し、
ついにNFLのセントルイス・ラムズから声が掛かる。

そして、
「アリーナフットボール出なんか」
と馬鹿にされながらも、
第1QBの選手のケガで代理出場した試合で
めざましい活躍を見せて
先発QBの位置を獲得、
才能を開花させて成績をあげ、
何度もMVPに選ばれ、
ついには、殿堂入りを果たす。
「スーパーの店員からNFLへ」
「ドラフト外からの史上最高の選手」と言われる。

そのサクセスストーリーを支えたのが、
バツ1で、2児の母のブレンダとの恋。
ブレンダは、夫に捨てられ、
障害を抱えた子供を育てるシングルマザー。

その極貧生活が描かれる。
特に、雪道を車で行く途中でガス欠を起こし、
ガソリンスタンドまで歩いて、
かき集めた4ドル少々だけガソリンを買い求める話は泣かせる。

カートを演ずるのは、「シャザム!」のザカリー・リーバイ


ダークサイドのない一本気な男を魅力的に演ずる。
ブレンダを演ずるのは、
「ヒアノ・レッスン」(1993)で
史上2番目に若い助演女優賞を受賞したアンナ・パキン
いい具合に年を取った。
他にデニス・クエイドがコーチ役で共演。
監督は「君といた108日」のジョンとアンドリューのアーウィン兄弟。 

ブレンダと別れた後、
母親が
「一緒に喜ぶ人がいないと、勝っても意味がない」
とさとす場面、
一端リタイアして復帰したコーチが
カートに、
「その間の経験が、今の私を作った。
ブランクがあったから、今があるんだ。
運命はアンダードッグの味方だ。
それを証明しないか」
と言う場面、


なぜカートに司令塔をさせなければならないかと、問うチーフコーチに
「私の番が来たからです」
とカートが言う場面。
こういうシーンを撮らせたら、アメリカ映画は本当にうまい。

アメリカは野球の国ではなく、
アメリカンフットボールとバスケットの国。
大谷翔平を知らない人も多い。
その国技での伝説的選手に、
こんな時代があったとは。
展開はテンポがよく、
カートを演ずるザカリー・リーバイの爽快な個性もあって、
心地よい「読後感」だった。

Netflix で配信。



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