夢を見た。
理不尽な夢である。
おいらは囚われの身だった。
そして、訳もなく処刑されるという。
理由は分からない。
集団殺人。
多くの人達とともにガス室に入れられた。
何人くらいだったかも分からない。
いっぱいいたのは間違いない。
各人がベットだか布団だかに横たわっている。
おいらも横になっていた。
唐突に、頭上からガスが吹き込まれた。
息苦しい。
毒ガスだ。
横には妻が横たわっている。
間も無く息途絶えるだろうおいらの意識が、
妻に最後の言葉をかけようと手を握った。
もう時間がない。
走馬灯を追う暇ももったいない。
色々と考える間も無く、自然に、そして最後に
おいらの口は、
○○(妻の名前)、今までありがとう
の言葉を紡いだ。
妻はもう振り返る力も無かったが、
彼女からの最後のメッセージは
さようなら、○○(おいらの名前)
既においらには言葉を返すことはできなかったが、
この段階でおいらの悲しみが弾けた。
目が覚めた。
大きく息を吸った。
夢であったことに感謝。
横で眠っている彼女の頬にそっとキスした。
本当にいままでありがとう。
これからもよろしく。
そう呟きながら。

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