3月11日の地震。あの地震が起こったのは、午後2時半過ぎ、のことでした。
このようにあらためて書いてみると・・・「ということは?」とピンとこられる方も多いのではありませんか?
そうです その時間は、小学生の下校時間。
高学年の6時間授業であれば、学校内にいる時間ですが、低学年で、もし5時間授業で下校となっていれば、生徒達はちょうど学校を出て、帰路につく時間だったのでした。
ほとんどの私立小学校の生徒達は、バスや電車等の公共機関を利用し、登下校しています となると、彼らは電車の中やバスの中、駅に向かうためや駅から自宅への道を歩いている・・・という時間帯に、あの大きな地震に遭遇したことになります。
ここまでお読みになって、あらためて「私立小学校を考えていたけれど・・・もう、そんな危険なことはさせられない」と、ゾワゾワと寒気のする思いになられた保護者の方もおいでになるかもしれませんね。
確かに、今回の地震により、首都圏でも長い間、余震が続きました。
そういうことから、多くの私立小学校では、3月11日以降、余震そのものへの不安だけではなく、登下校時に利用する公共機関への心配等もあり、地震後は3学期の授業を再開することなく、なし崩し的?に終業式、春休みに突入という決定をされました。それだけ、住居に密着した公立小学校とは全く異なる心配事があることは事実です。
危機管理という名のもとに、どの私立小学校でも、いろいろな災害を想定し、教職員と保護者が機会を設けてはシミュレーションはしていたはずです。しかし、これだけ大きな地震があるまでは、やはり「絵に描いた餅」的な、現実味を伴わないシミュレーションだったことでしょう。
しかし、こうして現実となった今、学校側は、今まで以上に「細分化された対策」を作成され、「もし」に備えられていることと思います。
あの日、私の教室「幼児教室マナーズ」の卒業生達も、私立小学校の在学生として、地震に遭遇しました。
* 歩いている時に地震に遭遇した子ども
* 電車の中にいた子ども
* 学校を出たばかりの子ども
* 乗換駅で電車を待っていた子ども・・・
いろいろな状況の中で「子ども達」は地震に遭遇し、その後は、本当に涙ぐましい努力をし、「知恵を絞り、自分の頭で考え、行動した」のでした。
まわりの大人に道を聞きながら、長い間歩いて学校に戻った子ども・・・この子は、家に戻ることを考えるよりも、学校に戻るほうが距離は近い、と判断したのでした。
電車が止まってしまった途中駅で外に出て、何とか公衆電話を探して、自宅に何度も電話をして、無事を知らせようとした子ども・・・降りたこともない見知らぬ駅でしたが、構内の長蛇の列の公衆電話に並ぶよりも、外に出れば、きっとすいた公衆電話があるだろう、と判断したのだそうです。
同じ電車に乗っていた制服をきた他校の生徒に声をかけ、一緒に行動しようと相談した子ども・・・中の誰か一人でも親と連絡がつけば、数名が一緒であることを伝えられる、と判断したのだそうです。
これはみな、低学年の子ども達の話です。当日、私立小学校に通う多くの首都圏の子ども達の「知恵」の極々一部、でしょう。
これで、おわかりになりましたか?
ポイントを見失ってはいけません 大事なことは、「我が子が、どのように自分の頭で考え、持てる経験と知識から知恵を絞り、その場でどう対応できるか?」ということ・・・それがポイントです
各私立小学校が今回の経験から、今まで以上にさまざまな事象を想定し、預かっている大切な生徒達に「万全を期す」ことは、すでにわかっていることです。在校生を大切にしない学校など、あり得ません
だからこそ、本当のポイントは・・・「我が子がどう対処するか?」ということ。
確かに、近所の公立小学校に通うより、さまざまな危険性やリスクは高いことは事実です。しかし、その高いリスクを冒しながらも通わせるだけの「教育環境」が私立校にはあります。
だからこそ、多くの保護者の方が、「私立小学校」をお考えになり、また、現実に多くの子ども達がそのリスクと危険性と背中合わせで毎日、登下校をしているのです
小学校受験の鍵は、「ペーパーテストでいかに高い点数を採るかだ」などと、いまだに真剣に信じている保護者がいるとしたら?
そんな受験準備をし、上手く入試をクリアしたとしても、実際に通い始め、今回のような災害に見舞われたとしたら、どれほどのことが考えられるでしょうか?
ペーパーを子どもの背丈ほどの高さまで積み上げ、それを全部解かせること・・・それが受験準備だと信じていたら?
きっとそんな親の元で受験の準備をしている子ども達は、かわいそうなことに、今までの両親との生活の中で、「知恵を働かせる」「自分で考え、判断する」ことの必要性や重要性さえ教えられずに育っていることでしょう
今回の地震を機に、あらためて、「子どもに必要なことは何か?」「私立小学校に求めるものは何なのか?」をご両親で、十分に考えてください