まさおレポート

梅原猛講演メモ

日本には、1万年以上続いた縄文時代がありました。森があり海がある島国に、東日本を中心として狩猟採集文化である縄文文化が栄えたのです。狩猟採集文化は、生きとし生けるものとの一体感を持っています。山や川も木や植物や魚も、みんな人間のように生きているものだという考え方です。日本人の名字に山上や山尾など、山が付いているものが多いのは、山も生きているという思想から来ています。川合という名字は、二つの川がぶつかって一つの流れになる、それは川のセックスであり、神聖な場所なのだということを表しています。山も川も生きているという思想です。

翡翠の原石
 縄文時代から弥生時代にかけて、一番の宝物はヒスイの勾玉でした。ヒスイは白の中に緑色がチラチラしていますが、それは雪の中から植物が顔を出す様子を連想させます。そういう植物の命のシンボルがヒスイなのです。その石から勾玉を作る。梅原末治という考古学者の説によれば、初期の勾玉はことごとく、鳥や魚や獣など動物の形をしていたそうです。ヒスイは植物の命、勾玉は動物の命を表しています。縄文時代および弥生時代の人たちは、植物の命、動物の命こそが神だとして、崇拝していたのです。

ヒスイの勾玉
草木国土悉皆成仏の思想
奈良仏教はほぼ中国仏教そのまま平安時代平安仏教は最澄の天台宗と空海の真言宗二つを合体させた天台密教 円仁や円珍 比叡山天台密教の本山 天台本覚思想
鎌倉時代法然の浄土宗、親鸞の浄土真宗 栄西の臨済宗、道元の曹洞宗 日蓮の法華すべて天台本覚論
縄文時代以来の伝統的な思想

能と天台本覚思想

 この天台本覚思想を最も明確に表現するのが能 世阿弥は河原者 最下層の民の悲しみ

源氏物語
「善知鳥(うとう)」青森県の外が浜 善知鳥の親が「うとう」と呼ぶと、土の中にいた子供が「やすかた」と答える 猟師が「うとう」と言うと、「やすかた」と子が答える。そして、猟師はその子供を殺して親を殺す。こういう最下層の民、外が浜の猟師の悲しみ

 親鸞は、悪人正機説 能の中でも悪獣成仏「鵺(ぬえ)」

「砧(きぬた)」妻は夫恋しさに狂い死 夫が悪いことをしたと言って妻の霊を呼び出す 妻の霊は「今は愛欲地獄に落ちて、地獄の獄卒がむちを打つような苦しい生活をしている」と地獄の苦を語り、「私は一生懸命砧を打ったのに、どうしてあなたにそれが聞こえなかったのか」夫を思って打った砧の音が法華経の読経の声に通ずる 妻は成仏できる

日本人の名字に山上や山尾など、山が付いているものが多いのは、山も生きているという思想から来ています。川合という名字は、二つの川がぶつかって一つの流れになる、それは川のセックスであり、神聖な場所なのだということを表しています。

翡翠の原石
 縄文時代から弥生時代 ヒスイは白の中に緑色 雪の中から植物が顔を出す様子 石から勾玉 ヒスイは植物の命、勾玉は動物の命 縄文時代および弥生時代 植物の命、動物の命こそが神

「白楽天」唐の詩人・白楽天を、住吉明神が老漁師の姿に化けて迎えます。
詩を詠むのは人間に限られ、特に中国ではインテリだけのもの 日本では日本人すべてが歌を詠む。しかも、人間ばかりか鳥や獣も歌を詠むという話になります。『古今和歌集』の序文には、ある人が死んでウグイスになって歌を詠んだ、ある人は死んでカエルになって字を書き歌を詠んだという話が伝えられています。そればかりか、自然の音、松に風が当たる松風の音も波の音も、歌だと言うのです。その結果、白楽天が議論に負けて、中国へ逃げ帰る
インド仏教 衆生とは人間と動物に 釈迦は歩くときもアリを踏みつけないように下を向いて歩いた 日本では、衆生に植物も入る 中国の天台思想にあります。これは道教の影響を受けた 日本文化の根底に「草木国土悉皆成仏」という縄文文化以来の伝統 俳句
 西洋思想は自然との共生の思想ではなく、自然支配の思想 ソクラテス、プラトン 人間にはヌース(理性)があり、その意味で他の動物より優れており、他の動物を支配する権利を持っている 受け継がれてキリスト教

キリスト教でも、人間は神の似姿である理性を持 人間は他の被造物を支配する権利を神によって与えられている デカルトの哲学「我思う、ゆえに我あり」理性に対して立つのが自然世界

西洋諸国はその文明を使って西洋以外の国を植民地
旧来の国家主義思想をどうしても克服できない
西洋近代思想を批判して新しい文明の原理を作ること「文化的野蛮人」

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