☃ 奄美大島に雪 ☃
上空に強い寒気が入り込み、日本列島は25日からこの冬一番の寒さ。鹿児島県の奄美市ではみぞれが降り115年ぶりの降雪となった。佐渡島に次ぎ面積5位の奄美大島は、日本のガラパゴスと呼ばれ、2011年に世界遺産に。私は3年前の2月、この島を巡った。
♦ この島に40あるとうトンネルの7つをぬけてなお昼さがり
♦ トンネルの闇こそよけれ薄闇はひととき我を考える葦に
観光バスで島を巡り、トンネルをくぐりまたトンネルを、ときどき椰子の木々の彼方にひろがる海原が素晴らしい。トンネルの薄闇のなかで瞑想し、トンネルを出れば南国の景色。
♦ 台風に倒れしソテツ幾百も左右に獣の屍のごとし
バスで巡っていると私は島にいることを忘れる。山の斜面には倒れた木々、奄美大島は台風がしばしば通過する、逞しいソテツも台風には負けるのだ。倒されてたソテツの屍。
♦ この辺りか隕石落ちし処とは一万年前のことにしあれど
3年余前、ロシアに隕石らしい石が落下し話題に。そのころ私はこの島の旅をしたので
観光バスのガイドさんが奄美にも隕石が落ちたらしいとう処へ案内してくださった。
♦ 隕石の色かも奄美大島の紬の糸の不思議な色は
♦ 着ることのなきまま箪笥に横たわる母の形見の大島紬
母は私にキモノを着せたがった。ジャジャ馬の私を淑やかな女にしたかったのだ。でも私は帯をしめることが自分ではできない。母亡きのちはほとんどキモノを着ていない。
♦ 途方もなき弧をひろげゆく海原は、あやまる岬の切り岸に立つ
晴天の2月だった。初夏のような「あやまる岬」から見渡す海原は、地球はホントに丸いのだと私に思わせせた。足許から海原が果てしなく広がる。大いなる弧に、大いなる円に。
奄美大島の湯湾岳の上空では、25日に山頂付近に虹がかかったらしい。
1月26日 松井多絵子