忍び寄る親子共倒れ
「8050問題」、向き合う年代になりました。あと15年たてば、自分は80歳、長男53歳になります。一番不安な点は、収入源を失うことです。生きていくためには、お金が必要です。無収入にならないためには、「自助努力」を怠らないで、体力がある限り働き続けるしかありません。そのためには、健康管理をきちんとするつもりでいます。しかし、いつかは退職するときがきます。そのあとの生活は年金だけでは足らなくなります。高齢化社会のど真ん中で生きていくには、75歳まで働かなければいけないかなあ、と半ば覚悟を決めています。それまでに給料の代わりになる収入源をみつけるつもりです。親子共倒れにならないためにも現金収入はかかすことのできないものです。掲載された記事は氷山の一角、いつ、自分が同じ境遇になるかもしれません。肝に銘じて生きていきます。
朝日新聞#ひきこもりのリアルより
母の死連絡できなかった訳
小学生のころから40年以上にわたってひきこもり状態だった男性(50)が昨年同居していた母(当時76)の遺体を遺棄したとして逮捕された。中年の子と高齢の母親の家庭が孤立してしまう「8050問題」。男性には、母の死を知らせようにも知らせられない事情があった。
布団に横たわった母の顔に、白いタオルがかけられていた。昨年11月、横浜市の実家を訪ねた妹(46)は凍り付いた。兄と母は2人暮らし。父は6年前に他界し、妹は結婚を機に実家を離れていた。
妹が兄のふすまを開けると、兄は体を横たえて窓の方を向いていた。「何をやっているのと憤りがわくとともに、兄が無事でいてくれてほっとした」
神奈川県警に死体遺棄容疑で逮捕された兄は、約2週間後に釈放され、不起訴処分となった。関係者によると死因は判明していないが、死後2週間ほどたっていたとみられている。
母の死後、妹や近くの診療所へ発信した履歴が残っていた。兄が番号を押したものの、つながる前に切ってしまっていたらしい。
連絡しようにもできなかった理由が
兄は幼少期から、特定の状況で言葉を発せられなくなる「場面緘默」で、それが悪化した状態だったとみられる。精神疾患の不安症の一つで、事件後、自閉症とも診断された。
妹によると、兄は幼稚園の頃から外でほとんど話ができず、小学校に入ると不登校になった。やがて家族とも話さなくなり、母とはメモでやりとりするように。関係者によると、警察の取り調べでも兄は、質問なうなずいたり紙に書いて答えたりしたという。弁護人を努めた沢井功雄弁護士は「どこにでもいる中年男性に見えた」
大人になった兄はベランダで野菜を育てていた。父の死後、妹はほぼ毎月実家を訪ねていたが、兄のふすまは閉まったまま。母との暮らしはそれなりに穏やかにみえたが、事件後、母の筆跡のメモが兄の机の引き出しから出てきた。「私やあなたが死のうと思ったときは一緒に死のうね」
母がそこまで思い詰めていたとは気づかなかった、と妹は言う。「私はいつも『大丈夫だから』というばかりだった」
つづく