植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

無いはずの文彭さんの印がまた出現

2022年02月23日 | 篆刻
先日約450年前の中国篆刻の祖「文彭さんの印」の紹介と、独断鑑定を致しました。2個3万円で落札した黒っぽい古印が、本物か否か。その続報であります。ヤフオクでまたしても同様の印が出品されました。Wikipediaでは伝存しないと(誤記述か)される文彭さんの彫った印です。実はその前にも「封書印」として青田石で作られたものが出品されていました。これだけ頻繁に見かけるのが、今に伝わっておらず、まとめられた印譜も存在しないとの記述では、説明が付きません。これは中国語版ウィキの誤訳、というワタシの説は満更でもないのです。

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それで、昨日、最終入札日となったその印をウォッチしておりました。(スクリーンショット笑)

ワタシが先日入手したもの(下の写真)と酷似した亀紐の印でした。

 これがサイズも2㎝角で、違うのは出品中のは朱文(陽刻)で、側款が「三橋」であります。また、ワタシの手元にあるのは「蠟印」付きであります。文彭さんは、三橋、漁陽子、三橋居士などの号を持っているので、署名は同じと思っていいのです。印を捺した紙切れに汚い墨字で「文彭製印」と書かれておりましたから、出品者側ではその由来をご存じであったと思われます。 文彭さんが作ったか贋作者が作ったかは別にして、同じ人物が同じような印材を使って同じ時期に彫った、ということはほぼ確実です。

 そこで10人ほどのウォッチがついておりまして、徐々に入札額も上がっていったのです。ちょいと迷いましたが乗りかけた船、毒食わば皿までとばかり、上限1万円で応札しておいたのです。しかし、すでに二個所有しているので、同じようなものがどうしても欲しいわけではありませんが。

 そして夜中に目が覚めて、結果を見たところ落札額は10,500円で他の方が落札していました。いいのです、負け惜しみでは無く、これに1万円なら、また他の印にしてもいいと思っていたのです。ワタシは、蒐集欲というより、探求心や好奇心の方が先に行くので、これは落札出来なくてもいいのです。10,000円を使わずに済んだと同時に、やはり文彭さんの印は数多く伝承され現存しているのだ、という確信を持ちました。そして、それが1~2万円という値段が相場であろうと確認できたのです。

 蛇足ながら、先日素敵な紐がついた灰白色の印にチェックを入れていました。¥15.000という値札が付いた「楊玉旋」という人の印でしたが、あれよあれよと値段が吊り上がり、なんと落札額70万円でありました。調べてみたら北京故宮博物院に収蔵 されるような清朝時代の彫刻家さんでした。それは実用の篆刻印としてではなく、極めて作品数が少ない「芸術品」として評価されたのでしょう。「¥」表示は、中国では人民元であることも知られています。すると、値札の値段は27万円ということになりますね。

 夜は、ヤフオクで数多出品される印・印材を物色し、昼間は暇さえあればただただ無心に、やみくもに徐三庚さんの印の摸刻を続けております。目を肥やし、腕を磨き、玉石混交の印を大量に集めています。これで寸分たがわず同じ印影のものが彫れるようになったら、いよいよ「篆刻家デビュー」と独り合点しております。間違っても徐さんや文彭さんの「贋作家」にはならないですよ。

コメント (2)
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