夢には二通りある、一つはいい夢 もう一つは悪い夢・・・・そんなのはワタシにとっては嘘であります。
夢の一つは、現実の意識の中で膨らませる、将来に対する「実現困難な」希望や期待であります。卑近な例が「宝くじに当たる」ですね。こんなことがほとんどあるはずもないのに買ってしまうのは、当たった時の事を夢見るからでありましょう。ワタシは、夢が無いので宝くじは買いません。
もう一つの夢は、布団に入ってみる夢、睡眠時にのみ起きる非現実的な現象であります。中には若い美女に囲まれていい思いをするといった喜ばしい夢を見る人もいるでしょうが、ワタシは、そのほぼすべてが悪い夢・ろくでもない夢が際限なく現れます。何かに追いかけられ、悩みを目の前にしてずっとそれに拘泥する、といった感じです。救いは、ほとんど起床後にはあらかた中身を忘れていることです。すごく嫌な夢を見たな、とかけったいな夢だったとか、そんなイメージだけが残滓としてひっかかっていて、寝起きが不愉快なのが毎朝の事であります。
さて、昨日は思いがけず他人さまの「夢」に触れることになりました。
事の起こりは、今日、友人とやる予定の忘年会用のスキ焼肉を買いに行くことでした。郊外にあるK牧場に安くて美味しい和牛を売っているのですが、水曜日が定休日というのをすっかり失念して、現場に到着しましたが、やむなく引き返して平塚では1番だと思う美味しいお蕎麦屋さん「みねもと」にお昼を食べに行ったのです。すると、到着したのが11時で、開店は11時半!。それで、お隣のレクサスの販売店に行きました。7,8年前に、ここで新車を購入したので、行けば美味しい飲み物とお菓子をご馳走になれるのです💖。
タイミングよく、当初からおつきあいいただいた営業のT氏が見えました。すると、開口一番「いろいろお世話になりましたが、来年3月をもって退職します」と仰るのです。聞けば御年57歳になるので、早期退職するのだとか。次の職場のあては全くないものの、前から夢だった「接客」を伴わない現場仕事をやりたいのだそうです。長年、こうるさい顧客の機嫌を取るのが嫌になったと見えて、倉庫みたいなところで一人でオペレーションをするような仕事を探すのだと言っていました。わかる気がします。ワタシは40年近く金融機関に勤務し、朝から晩までお金を扱う仕事でありました。60歳で定年という区切りを迎え、お金には全く縁のないことをやりたいと思ったのです。そこで始めたのがガーデニングと書道・篆刻など、希望通り、いまだにお金には全く縁がありません(笑)。
彼の印象は、人当たりが良く、まじめではきはきした人物なので、どこにいってもちゃんと通用するでしょう。しかし心の中は分かりません。今まで、接客もいやいやながら、表向きは笑顔を絶やさず嫌な顔一つせずにこなしていたのかもしれないのです。それにしても57歳で辞めるというのは相当な覚悟でしょうね。
そして、美味しいお蕎麦を頂いて、仕事場へ戻った私を訪ねてきたのが二十歳のD君でした。一度アポイントがあったのですが、前の用件が押して来てこれなくなったのです。会ってお時間を頂きたい、書道などで相談があると言っていました。D君は当地の出ではなく、高校を卒業してこちらの一流企業の工場へ就職してきたのが2年前でした。彼とは書道チャットを通じて知り合い、篆刻印を彫ってあげたのが縁の始まりでした。ワタシの印を彫ったり園芸をしたりするこの仕事場には2度来たことがあり、篆刻の手ほどきをしたりしました。
で、今回の用件が二つで、一つはお世話になったのでお礼かたがた、自分の書いた作品をプレゼントしたいということでありました。
それがこの二つ
金の地色の紙に「夢」
そしてこれは来年の干支「龍」一文字
いやいや上手で素晴らしい!!!。ワタシは、この年の離れた若者に対しては、いくらか「お師匠」の気分でいたのですが、ワタシよりよっぽど達者であります。少なくとも、篆刻に関してはおりを見て仕込もうと思っていました。相談があると聞いたときも、書道や篆刻を学びたいので協力してくれ、とでも言い出すのかと勝手に思っていました。
ところが、彼が切り出したのが思いもよらない計画でした。なんと自分が書道の師匠として、弟子を集め「教室を開きたい」というのです。田舎から出てきて2年足らず、アパートで独り暮らしの二十歳の男の子が、歳回りに関係なく子供から大人まで希望するなら「書道」を教えたいのだと。お金の為ではないので、最初は赤字も覚悟しているというのです。自分が二十歳の頃を顧みれば、バイトとパチンコと麻雀に明け暮れ、たまに女の子と遊んでいて「なんのビジョンも夢も」ありませんでしたよ。
彼は幼いころから習字・書道にいそしみ、最近では読売系と謙信系の師匠にも師事しているそうです。ワタシなんぞの出る幕はありません。しかし、二十歳で、勤め人をやりながら、レンタルルームを借りて弟子を集めるなどというのは「夢」のような話で簡単に実現できるものではありません。
やれ!とも、やるな!とも言えません。ただ、十分な下準備をし、客観的に相手の方から教えを乞う気になるような「実績・ハク」をつけてからスタートしても遅くないと伝えました。ワタシなんぞ60歳からですよ。慌てないで一歩一歩積み重ねてくれればいいと思います。幸いワタシのところには墨・書道紙・筆などは古いながら売るほどあるので、もし必要なら提供しよう、篆刻印もいくらでも彫ってやろうと思います。
ワタシのLINEグループ中に、彼を含め4人の二十歳前後の才能と情熱ある若者がいます。ワタシは夜に見る「悪夢」くらいしか夢はありません。もしあるとしたら、その4人が立派な書道家になって盛大な合同パーティーを開いてワタシが「祝辞」を述べる、が夢でありましょう。
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