麻生副総理によると北海道のお米がおいしくなったのは、地球温暖化のおかげなんだそうです。寒い地域では美味しいお米が育たず美味しくないことで邪魔者扱いされていたのが、2度気温が上がったので美味しくなったという風に説明したそうです。それにしても、投票間近いこの時期に、農家さんの努力のせいでもなく農協のせいでもない、と言い切って、全国の農家を敵に回す度胸だけはすごい人ですね。そのためか、ネット上ではほとんどのこの「失言報道」はあらかた消されたようで、岸田さんがその発言を陳謝したとのニュースばかり出てきます。
お米が単に暖かいとよく育つというのは誤りです。米作は沖縄のような猛烈な暑さには向かないので、だんだん美味しいお米を作付けする地域の分布が北に向かっているという意見はありますが。いずれにせよ生産農家にすれば、コメ・野菜、作物は、その品種改良を鍵としながら、土壌から肥料、農薬、水質、天候にいたるまで様々な要素によって収量や品質が左右されます。消費者の手に届いて一定の評価を受けるようになるには、数々の試行錯誤と失敗、工夫と品種改良によって長い歳月を費やすということを知るべきなのです。麻生さんのようなお殿様がそんなことも知らないと責めてはいけませんか(笑)。その百姓の努力など知ろうとしないのは当然なのかもしれません。
北海道のゆめぴりかをコチピカリ と言い間違えるのはその真骨頂、麻生さんの発言はお笑い芸人の「ネタ」のようなもので、笑って誰もまともに受け止めない、と高をくくっているのかもしれませんね。百姓は二人いれば2百姓、野球なら200勝になれば名球界入り、などと持ち上げる方が何倍もマシなギャグだと思うのですが。
さて、温暖化と言えば「CO2」削減に触れなければなりません。自称エコロジストのつもりであったワタシとしたことが、とんだ勘違いをしておりました。1997年京都議定書で地球温暖化対策について主導的な役割を果たしたと思っていましたが、以降現在まで20年以上実際はほとんど温室効果ガスの削減はなされていなかったということなのです。「脱炭素」「カーボンニュートラル」 を合言葉に世界の先進国とりわけ欧州の取り組みはきちんと成果を上げています。2020年のEUにおいて再生可能エネルギーによる発電量が初めて化石燃料を上回りました。
そこで、再生可能エネルギー(再エネ)です。地熱、太陽光、風力などの自然から電力を作り、CO2や燃焼による熱を出さないことが最良の対策であります。その、発電量に占める「水力発電」を含めたCO2を排出しない エネルギー源の割合が指標となっています。日本はそれが5年前で約16%、欧州の半分程度で、最低のアメリカと肩を並べています。最悪だと思っていた中国すら25%に達しています。日本は数値目標の達成はおろか、削減できないままほとんど横ばいで、時には後進国からCO2放出量の制限超過分を借りるなどの有様だったのです。
例えば日本では、以前注目されたソーラー発電は、パネルの劣化で10年くらいしか持たない、電力各社が電気を買い取らない、せっかく発電できても蓄電設備が出来ないなどの理由で、敬遠されすっかり忘れ去られました。菅前総理は「2050年までに温室CO2を排出しない 効果ガスの排出を全体としてゼロにする」と声明を出しましたが、今まで何をやっていたのでしょう?安倍さんはマイナス効果ばかりのアベノミクスの成功を喧伝していましたが、こうした不都合な真実には触れようともしませんでした。
京都議定書で目標値を設定しても、そのための法律を作って毎年進捗状況をチェックしながら新たに政策や構造変化を促すことが置き去りになっていたがために、世界から取り残され周回遅れとなっています。「よーし、あと三周したら追い越すからな」と言うだけでなんの手立てもなくその機運も盛り上がりません。
これを「乞食の朝がゆ」=湯(ゆぅ)だけ。「田舎の髪結い」=ゆうだけ(言うだけ)ゆうよ、といいます。
麻生さんの発言を引用するまでもなく、歴代の自民党政権が、脱炭素、CO2削減に本気で取り組んでこなかったのは明白です。彼らは「票にも金にもならないこと」には無関心なのです。自分たちはコシヒカリをたらふく食べているので世界の環境問題などどこ吹く風、国際的な貢献は専用機で乗り付けてお金をばら撒くことしか思いつかないのです。
現在の温暖化による環境破壊・食料危機は危険な状況にあると警告があちこちから発せられています。地球温暖化の原因は、電気を過剰に消費したり化石燃料を燃やすことだけではありません。オゾン層の破壊、海洋汚染で二酸化炭素が取り込まれ亡くなる、アマゾンの焼き畑による熱帯雨林の消失、中国の砂漠化など森林や耕作地の減少、牛のゲップ(これは本当らしい)など様々です。
ワタシあたりが屋上や緑地帯に植物を植え野菜を作り果樹を育てたくらいではどうにもなりませんが、世界のすべての人たちがこのことを知って、自分に出来ることをまずやることから始められるといいのですが。
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