なんと慌ただしい一年であったか、今更ながら実感しております。
振り返ると今年になって、3つのことが新たな経験や挑戦となりました。
今年の元旦から篆刻を始めました。厳密には3年ほど前に一度トライしたのですが、思うようにはいかず数年かけて4本ほど彫ったに過ぎません。書道作品作りに欠かせない落款印を金をかけずに作ろうと思い立って、今年まさに一念発起し、傾注するうちに病みつきになりました。ワタシの人生の中では、大学受験の勉強を除けば(笑)、これほど自分の生活の時間や精魂を傾けて取り組んだことはありませんでした。ヤフオクも、それまでの書道具一辺倒から、9割以上を印材と篆刻道具、篆刻関連書籍にシフトし年間100万円くらいを費やしたかもしれません。(恐ろしくて計算出来ません)
もし50年も前に篆刻に出会っていたなら、今頃いっぱしの篆刻家になっていただろう、と思います。それほどに面白く、またワタシの性分に合っていたと言えます。1年で600本位彫りました。何十人という方に差し上げ、それなりに喜ばれ、中にはそれをきっかけに篆刻を始めた人もいます。数万円ですがワタシの印で代金を頂きました。
来年もまた翌年も篆刻にのめり込んだ日々を送りたいと思います。人が10年かかるものならば、その5倍、10倍の労力と時間をかければ数年で上達できるはずです。また、自営をしている数人の仲間や知り合いには篆刻の取次ぎをしてもらえる手筈となっています。安くて早い上手な印を提供してあげれば、注文する人も、取次ぐそれぞれに手数料が渡せてみんなハッピーになります。
次にチャレンジしたのが、「手打ちそば」でした。これはなんのきっかけも理由もなく、突然、やってみようと思ったのです。蕎麦打ち台は家にある折り畳み机を改造し、ヤフオクで道具を揃え、ネットでそば粉・打ち粉・割粉を買い求めました。先生は勿論YouTube。見よう見まねで廃棄するパンケーキ用の粉で練習し、あとはネットを検索しながら打ちました。ワタシ達が若い頃であれば、材料や道具は売っている所を探して遠くへ買いに行かなければなりません。本を読み実際に蕎麦打ち教室に行かなければ会得出来なかったでしょう。今はそうしたことが在宅のままで、習得し蕎麦を打てるようになるのです。
そして、自分で楽しみにしていた時が来ました。正月休みに帰省して来る子供たち家族みんなに自慢の手打ちそばを振舞うのです。一緒に年越しできる家族や子孫が居て、自分で打ったそばを皆で食べながら新しい年を迎える、そんな幸せはそうはありません。昨日10人前、今日更に10人前を打ちます。家族以外にもおすそ分けいたしますから。
三つめは自治会でありました。ずっと地域活動に無関心であったワタシですが、定年後はいずれ自分の住む町に何かの貢献をしたい、自治会の役も引き受けることになる、と考えていました。今春、何の因果か全く自治会活動未経験で、町内の人も数人しか知らないワタシがいきなり会長にまつりあげられました。28名の理事の大半は老人か主婦あるいは仕事持ちでした。普段時間の自由があって、健康で年齢的にも頑張れるような人はワタシくらいしかいなかったのです。自分が受けなければ、誰かが貧乏くじを引くことになる、と思うと引き受けざるを得なかったのです。
結果としては引き受けるんじゃなかった、病気だとか嘘ついても固辞すべきだった、というのが本音であります。4月から、ほとんど毎日のように自治会の用事用件が発生しました。それが電話一本のこともあれば、数時間の会合であったりします。市役所に赴く、町民と議論する、面倒な書類を作成するなどのこともありました。
忙しいだけならまだ我慢も出来ますが、理事を含めた多くの人たちが自治会に無関心だったり、自分勝手に行動したり、会長にあらゆることを押し付けようとするのに驚かされ悩まされました。10年以上も関与している古参のメンバーは、自分たちが一番よく知っていて偉いのだと勘違いしているのか、好き勝手な言動で自治会活動に齟齬も生じていました。自治会を束ねる自治連の会長の専横にも辟易としております。
残りの任期、あと1年3か月をどう過ごしていくのか、はたしてそれまで耐えられるのか自信がありません。一番の対処策は、流れに逆らわず、何も自分で考えてやろうと思わないこと、自分は無能だから知りませんと職務放棄することなのですが。それは出来ないなぁ
ともあれ、あと十数時間で年が変わります。自分は変わらず、ただ死期が近づくだけの事でもあります。自分が何を為したか、何を残したかは大したことでは無かろうと達観するようになりました。その中で、来年は何に挑戦するのか、それだけが期待であります。
自分に正直に、そして正しく、人にやさしくありたい、と願っております。
そして、大好きな印を彫りながら一日いちにちを意味のある濃密で無駄なく過ごしたいと思うのです。
この一年間、こんな拙文を辛抱強く見ていただいた皆様方に、ただただ感謝申し上げます。
「皆様、よい年をお迎えください。」
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