世界経済と中国経済の現状(その2) (美津島明)
http://www.asahi.com/topics/word/人民元.htmlより引用
今日も、昨日に引き続き、中国経済をめぐってのコメントを、フェイス・ブックに載せました。それに加筆訂正して、以下にアップいたします。
○【中国の視点】プーチン氏にも弱音「ロシア経済は原油急落と中国にやられた」 (FISCO)
http://www.msn.com/ja-jp/news/money/%e3%80%90%e4%b8%ad%e5%9b%bd%e3%81%ae%e8%a6%96%e7%82%b9%e3%80%91%e3%83%97%e3%83%bc%e3%83%81%e3%83%b3%e6%b0%8f%e3%81%ab%e3%82%82%e5%bc%b1%e9%9f%b3%e3%80%8c%e3%83%ad%e3%82%b7%e3%82%a2%e7%b5%8c%e6%b8%88%e3%81%af%e5%8e%9f%e6%b2%b9%e6%80%a5%e8%90%bd%e3%81%a8%e4%b8%ad%e5%9b%bd%e3%81%ab%e3%82%84%e3%82%89%e3%82%8c%e3%81%9f%e3%80%8d/ar-BBoMPaZ?ocid=sf
私は、この記事を読んで、以下のようなことを考えた。
中共は、日米分断を外交政策の基本路線にしている。それゆえ日本側は、対抗措置として、中露分断を外交政策の基本路線とすればよい(日米軍事同盟の堅持・強化は当然の前提である)。安倍首相は、オバマをかき口説いて、親露路線が日米にとって得策であることを納得させ、経済制裁をやめさせ、日本の対露経済援助を認めさせるべきである。オバマには、「日本がロシアに経済援助をするのは、アメリカの覇権の維持のためである」と言っておけばいい。北方領土の「ほ」の字さえも、出してはいけない。アメリカにとって、そういう日本にとっての国内的歴史事情は、関心の埒外であるからだ。野暮はよそう、ということ。
で、中国経済失速と原油価格暴落で経済が弱体化したいまなら、日本の経済援助の申し出を、プーチンは、喜んで受け入れるはずである。つまり、イチコロなのである。
記事にあるとおり、ロシア経済の最大の弱点は、「石油・ガスなど資源の輸出に依頼する体質」である。「愛国者」プーチンの心願は、そういう現状から脱却して自立型国民経済を実現することであると思われる。国民経済の充実による経済成長の経験を豊富に持つ日本にとって、対露経済援助の核心は、そういう心願を抱くプーチンのハートを鷲づかみにするものでなければならない。
そういうことができたならば、日本は、中露の分断を確実に実現できるだろう。それが、日本の安全保障のキモである。
日本は、アメリカに対する属国根性を脱したうえで、属国という現実的ポジションをフル活用すべきなのである。
*とはいうものの、一国の首相が、非公式訪問という形で、のこのことロシアに出かけるのは、絶対にダメである。そんな「北方領土問題の解決をオレの手で」などという底の浅い下心見え見えの行動は、海千山千のプーチンにとっては、飛んで火に入る夏の虫、カモネギも同然である。いともたやすく、お金をむしりとるだけむしり取られておしまい、ということになるのがオチだろう。手順を踏んで公式訪問にこぎつけるまで、じっと我慢すべきである。
○「さよなら中国マネー。三大投資家ジョージ・ソロスも中国を見捨てる」 (MAG2NEWS)
http://www.mag2.com/p/news/142681
日本の仮想敵国は、中共政府が率いる大陸中国です(それに比べれば、北朝鮮の脅威などものの数ではありません)。国際政治経済における中共の地位の向上は、日本の安全保障体制を脅かす主たる要因になります。それは、この数年の対中共体験を素直に振り返ってみれば、ごくふつうの日本人にとって、おのずと明らかなことでしょう。
それゆえ、国際政治経済においてきわめて大きな影響力を持つ国際金融資本が、中共政府にどう向き合おうとしているのかは、日本にとって、国家存亡に関わる重大事です。
その意味で、《国際金融資本の意思を代表するソロス氏が、親中から反中に転じ、中共をつぶしにかかっている》とする当記事は、注目に値します。ましてや、その記事を書いているのが、欧米諸国の「民主主義の衣をまとったプロパガンダ」の洗脳から能う限り自由な立ち位置から国際政治に関する見識を発信しつづけている北野幸伯(よしのり)氏なのだから、なおさらそうです。
小浜逸郎: 日本の対中戦略という観点からは、ソロス氏らの動向が、具体的なロシア支援や、ロシアに対する米の経済制裁緩和への働きかけというように、中露分断に役立ってくれればけっこうなことです。しかし、国際金融資本は金になりさえすれば何でもやるので、北野氏のこのレポートだけではちょっと予断を許さないように感じるのですが、いかがでしょうか。
美津島明 :おっしゃるとおりであると思います。正確に情勢分析をするために、希望的観測はなるべく排するべきですからね。それを踏まえたうえで申し上げると、当記事と、上記の「中共が、アメリカに対して、ドル基軸通貨体制の崩壊を目的とした経済戦争を仕掛けるために、大量の米国債を売りに出している」という趣旨の記事を合わせて読むと、見事に符合する、という事実を指摘しておきたいと思います。むろん、それでも希望的観測はあくまでも慎むべきであるとは思います。中共は、日本に対して、①情報戦(歴史戦)、②経済戦、③武力戦、という三つの戦争を同時並行的に仕掛けてきています。その戦争に勝つために、私たちはあくまでもリアリストでなければならないと、私は考えています。大東亜戦争に続いて、今回の戦いでも敗けてしまうと、今度こそ、日本に関する戦勝国史観は、国際世論において最終的に確定されてしまうでしょう。
○「米国債を大量投げ売り中。中国は一体何を考えているのか?」(MAG2NEWS)
http://www.mag2.com/p/news/141797
記事中の、「バルチック海運指数」なるものを、私はこれまで知りませんでした。世界経済の景気動向を知る有力指標だそうです。それによれば、世界経済の現状は、2008年のリーマンショック時よりも悪い。私は、それを目にして、少なからずショックを受けました。そこまで悪かったのか、ということで。
当論考によれば、このひどい現状を招いているのは、中共政府が、大量の米国債を投げ売りしているからである。つまり中共政府は、ドル基軸通貨体制の崩壊を目指してアメリカに経済戦争を仕掛けている、というわけです(とするならば、世界経済はまだ『底』を見ていないことになります)。もしもこれが事実ならば、中共は、「必敗」です。そう断言して、私ははばかりません。
なぜなら、それは、国際金融資本体制の安定性を著しく損なう振る舞いであって、国際金融資本が、それに対して手をこまねいているとは考えられないからです。国際金融資本の有力者たちは、お金・メディアをフルに活用して、中共政府を全力で潰しにかかるでしょう。先ほどアップしたソロス氏のアンチ・チャイナ発言も、その文脈で受けとめたほうがよいのかもしれません。
中共は、アメリカのみならず、よりによって、国際金融資本を敵に回してしまったようです。習近平は、なんと愚かな指導者なのでしょうか。
http://www.asahi.com/topics/word/人民元.htmlより引用
今日も、昨日に引き続き、中国経済をめぐってのコメントを、フェイス・ブックに載せました。それに加筆訂正して、以下にアップいたします。
○【中国の視点】プーチン氏にも弱音「ロシア経済は原油急落と中国にやられた」 (FISCO)
http://www.msn.com/ja-jp/news/money/%e3%80%90%e4%b8%ad%e5%9b%bd%e3%81%ae%e8%a6%96%e7%82%b9%e3%80%91%e3%83%97%e3%83%bc%e3%83%81%e3%83%b3%e6%b0%8f%e3%81%ab%e3%82%82%e5%bc%b1%e9%9f%b3%e3%80%8c%e3%83%ad%e3%82%b7%e3%82%a2%e7%b5%8c%e6%b8%88%e3%81%af%e5%8e%9f%e6%b2%b9%e6%80%a5%e8%90%bd%e3%81%a8%e4%b8%ad%e5%9b%bd%e3%81%ab%e3%82%84%e3%82%89%e3%82%8c%e3%81%9f%e3%80%8d/ar-BBoMPaZ?ocid=sf
私は、この記事を読んで、以下のようなことを考えた。
中共は、日米分断を外交政策の基本路線にしている。それゆえ日本側は、対抗措置として、中露分断を外交政策の基本路線とすればよい(日米軍事同盟の堅持・強化は当然の前提である)。安倍首相は、オバマをかき口説いて、親露路線が日米にとって得策であることを納得させ、経済制裁をやめさせ、日本の対露経済援助を認めさせるべきである。オバマには、「日本がロシアに経済援助をするのは、アメリカの覇権の維持のためである」と言っておけばいい。北方領土の「ほ」の字さえも、出してはいけない。アメリカにとって、そういう日本にとっての国内的歴史事情は、関心の埒外であるからだ。野暮はよそう、ということ。
で、中国経済失速と原油価格暴落で経済が弱体化したいまなら、日本の経済援助の申し出を、プーチンは、喜んで受け入れるはずである。つまり、イチコロなのである。
記事にあるとおり、ロシア経済の最大の弱点は、「石油・ガスなど資源の輸出に依頼する体質」である。「愛国者」プーチンの心願は、そういう現状から脱却して自立型国民経済を実現することであると思われる。国民経済の充実による経済成長の経験を豊富に持つ日本にとって、対露経済援助の核心は、そういう心願を抱くプーチンのハートを鷲づかみにするものでなければならない。
そういうことができたならば、日本は、中露の分断を確実に実現できるだろう。それが、日本の安全保障のキモである。
日本は、アメリカに対する属国根性を脱したうえで、属国という現実的ポジションをフル活用すべきなのである。
*とはいうものの、一国の首相が、非公式訪問という形で、のこのことロシアに出かけるのは、絶対にダメである。そんな「北方領土問題の解決をオレの手で」などという底の浅い下心見え見えの行動は、海千山千のプーチンにとっては、飛んで火に入る夏の虫、カモネギも同然である。いともたやすく、お金をむしりとるだけむしり取られておしまい、ということになるのがオチだろう。手順を踏んで公式訪問にこぎつけるまで、じっと我慢すべきである。
○「さよなら中国マネー。三大投資家ジョージ・ソロスも中国を見捨てる」 (MAG2NEWS)
http://www.mag2.com/p/news/142681
日本の仮想敵国は、中共政府が率いる大陸中国です(それに比べれば、北朝鮮の脅威などものの数ではありません)。国際政治経済における中共の地位の向上は、日本の安全保障体制を脅かす主たる要因になります。それは、この数年の対中共体験を素直に振り返ってみれば、ごくふつうの日本人にとって、おのずと明らかなことでしょう。
それゆえ、国際政治経済においてきわめて大きな影響力を持つ国際金融資本が、中共政府にどう向き合おうとしているのかは、日本にとって、国家存亡に関わる重大事です。
その意味で、《国際金融資本の意思を代表するソロス氏が、親中から反中に転じ、中共をつぶしにかかっている》とする当記事は、注目に値します。ましてや、その記事を書いているのが、欧米諸国の「民主主義の衣をまとったプロパガンダ」の洗脳から能う限り自由な立ち位置から国際政治に関する見識を発信しつづけている北野幸伯(よしのり)氏なのだから、なおさらそうです。
小浜逸郎: 日本の対中戦略という観点からは、ソロス氏らの動向が、具体的なロシア支援や、ロシアに対する米の経済制裁緩和への働きかけというように、中露分断に役立ってくれればけっこうなことです。しかし、国際金融資本は金になりさえすれば何でもやるので、北野氏のこのレポートだけではちょっと予断を許さないように感じるのですが、いかがでしょうか。
美津島明 :おっしゃるとおりであると思います。正確に情勢分析をするために、希望的観測はなるべく排するべきですからね。それを踏まえたうえで申し上げると、当記事と、上記の「中共が、アメリカに対して、ドル基軸通貨体制の崩壊を目的とした経済戦争を仕掛けるために、大量の米国債を売りに出している」という趣旨の記事を合わせて読むと、見事に符合する、という事実を指摘しておきたいと思います。むろん、それでも希望的観測はあくまでも慎むべきであるとは思います。中共は、日本に対して、①情報戦(歴史戦)、②経済戦、③武力戦、という三つの戦争を同時並行的に仕掛けてきています。その戦争に勝つために、私たちはあくまでもリアリストでなければならないと、私は考えています。大東亜戦争に続いて、今回の戦いでも敗けてしまうと、今度こそ、日本に関する戦勝国史観は、国際世論において最終的に確定されてしまうでしょう。
○「米国債を大量投げ売り中。中国は一体何を考えているのか?」(MAG2NEWS)
http://www.mag2.com/p/news/141797
記事中の、「バルチック海運指数」なるものを、私はこれまで知りませんでした。世界経済の景気動向を知る有力指標だそうです。それによれば、世界経済の現状は、2008年のリーマンショック時よりも悪い。私は、それを目にして、少なからずショックを受けました。そこまで悪かったのか、ということで。
当論考によれば、このひどい現状を招いているのは、中共政府が、大量の米国債を投げ売りしているからである。つまり中共政府は、ドル基軸通貨体制の崩壊を目指してアメリカに経済戦争を仕掛けている、というわけです(とするならば、世界経済はまだ『底』を見ていないことになります)。もしもこれが事実ならば、中共は、「必敗」です。そう断言して、私ははばかりません。
なぜなら、それは、国際金融資本体制の安定性を著しく損なう振る舞いであって、国際金融資本が、それに対して手をこまねいているとは考えられないからです。国際金融資本の有力者たちは、お金・メディアをフルに活用して、中共政府を全力で潰しにかかるでしょう。先ほどアップしたソロス氏のアンチ・チャイナ発言も、その文脈で受けとめたほうがよいのかもしれません。
中共は、アメリカのみならず、よりによって、国際金融資本を敵に回してしまったようです。習近平は、なんと愚かな指導者なのでしょうか。