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美津島明編集「直言の宴」

政治・経済・思想・文化全般をカヴァーした言論を展開します。

フクシマが復旧・復興するための本当の礎(その1) (イザ!ブログ 2013・4・4~7 掲載)

2013年12月12日 03時01分02秒 | 原発
三月十六日に放映された西部邁ゼミナールの内容は、私にとって衝撃的なものでした。それは、ゲストの稲恭宏(やすひろ)氏のお話の内容が、私の放射能に関する蒙を啓くに十分すぎるものであったからです。

稲氏の略歴について。一九六七年栃木県生まれ。東大医学博士。世界ではじめて低線量率放射線医科学・低線量率放射線療法を発見・確立した人だそうです。

詳細については動画をご覧いただくとして、稲氏の話の要点を述べておきましょう。

稲氏によれば、二〇一二年三月に、UNSCEAR(国連原子放射能線影響科学委員会)とICRP(国際放射線防護委員会)が、国連総会で、「フクシマ・東北・日本の放射線・放射能は全く問題がない。日本の放射能に異常はない」という旨の報告をし承認を受けたそうです(これはあまりにも重大な指摘なので、後ほどその詳細に触れます)。またロイター通信は、「フクシマに健康被害はない」という報道をしているとのこと(こういうことをまったく知らなかった自分の不明を恥じると同時に、この重大事をきちんと大きく報道しようとしなかったマスメディアに対して、私は怒りと不信感を禁じえません)。

ICRPは、一九二〇年代からLNT仮説(Liniar No-Threshold Hypothesis 線形しきい値なし仮説)を採用し続けてきたそうです。LNT仮説は専門用語なので、難しく説明しようとすればいくらでも難しく説明できるのでしょうが、われわれ素人にとっては、そういうことをしても何の意味もありません。私の理解によれば、100ミリシーベルト超において見られる、被曝線量と癌発生率の上昇分との比例的な関係を、100ミリシーベルト以下においても想定しておこうという考え方のようです。放射線の影響がまだよく分かっていなかった当時、念のためそういうふうに仮定しておいたほうが安全だろうという発想に基づいて作られた仮説であり、実証されたものではどうやらないようです。

稲氏によれば、LNT仮説は、フクシマ・レベルの一億倍の放射能(エックス線)をショウジョウバエに照射することによって得られたデータに基づくものだそうです。その最大の問題点は、DNA修復機能がなく分裂・癌化しない細胞のデータである点だそうで、それに基づいて、低レベルの放射線・放射能で癌が増えるとして、反原爆運動に政治利用されてきたとのこと。

このように、問題の多い仮説に基づいて、政府は放射能汚染対策を立て続けてきたのです。

「フクシマで白血病や癌が増える。低線量被曝が起こる」とアメリカ在住の中国国籍の科学者がアメリカ人の科学者たちとの共同研究で、われわれ日本人を脅しているそうですが、稲氏は「フクシマの放射線率は、あなたたちが研究している放射線率の一億分の一である。それで、あなたたちの研究がフクシマに何の関係があるのかと言いたい。彼らは、日本弱体化のための情報戦を仕掛けているとしか思えない」と断言します。「放射線の後に『率』の一文字がなければ、その論は誤りであると思ってまちがいがない」とも言っています。

また、氏によれば「フクシマ原発事故で、自然界に存在しない放射性物質が放出された」という報道がまことしやかになされたが、それはまったくのウソで、放出されたのは、すべて自然界に存在する放射性物質であるとのこと。

話は、さらに続きます。以下、列挙します。

・日本の食品の放射線量に関する暫定規制値は、政治的な規制値に過ぎず、日本は世界中から笑われている。
・年間一ミリシーベルトの避難基準・除染基準は、自然放射線量の平均(年間1.4~1.6ミリシーベルト)を下回っている。馬鹿げたこと。二〇 一一年に来日したIAEA(国際原子力機関)は、「日本でやっている除染はほとんど無意味」と言った。
・無意味に厳しい暫定規制値によって、農産物や家畜を大量処分・大量しているが、海外からの輸入品はノー・チェックである。これは、 おかしいのではないか。

だいたい以上のような内容です。30分弱なので、ぜひご覧ください。


反原発と東電叩きはどうなった西部邁ゼミ2013年3月16日放送


話は変わるようですが、私は昨年の五月に、福島県の南相馬市に行って来ました(http://blog.goo.ne.jp/mdsdc568/e/6bb56d289b532f6d182d58dcfa819ce4)。

そのときから、心の片隅で、放射能問題に一定の決着をつけなければフクシマの本当の意味での復旧・復興はないのではないかと思い続けてきました。

しかしながら、私は放射能に関してずぶの素人です。どこをどう突っつけば、自分なりに放射能問題についてそれなりの見解が得られるのか皆目見当がつかない状態がずっと続いてきました。

ところが、今回の稲氏の話を聞いているうちに、その緒(いとぐち)が掴めたような感触を得たのです(錯覚でないことを祈りたい気分です)。それをたよりに、これから手探りで自分なりに、フクシマが復旧・復興するための本当の礎は何なのかについて述べてみたいと思います。どれだけの長さになるのか、いまのところ分かりません。だから、連載の形にします。

ひとつ、ここでお断りをしておくべきかと思われることがあります。私はなにゆえ「福島問題」と書かずに「フクシマ問題」とカタカナで書くのか。それは、当問題が国内問題であることにとどまらず、世界的な広がりを内包している問題であると考えているからです。左翼がよくやるように、福島原発事故を広島・長崎への原爆投下と連動させようとしているわけではまったくないことをお断りしておきます。その詳細については、折に触れて言及することにしましょう。(続く)


*****

インターネットで調べてみたところ、稲恭宏(やすひろ)氏は、毀誉褒貶の渦中の人のようです。その原因は、彼の福島原発問題に関するスタンスが、反原発派・脱原発派あるいは卒原発派の見解と著しく異なるからです。はっきり言えば、彼らと稲氏とは明瞭な対立関係にあるのです。真っ向から激突していると言っていいでしょう。

では、彼の言い分に耳を傾けてみましょう。次に引用するのは、「日本の素晴らしい歴史」というブログを運営なさっているkakinokiさんという方が、稲氏の講演の内容をまとめたものです(一部分、読みやすくするために言い回し等を変えましたが、文意はまったく変えていません)。

先生は、放射線治療の長年の研究から、低線量率放射線療法を開発され、実験により証明されたことを元に発表されています。

それによると、高線量率による被曝と低線量率による被曝とはまったく質が異なります。福島原発における放射線量は、チェルノブイリ事故や広島長崎のような高放射線量のものとは全く異なるのです。福島原発の放射線が、人間が地上で数十センチジャンプする力にたとえるなら、チェルノブイリや広島長崎は、宇宙ステーションに届くようなジャンプになるとのことです。

(中略)低線量率放射線療法によって、先生は多くの患者を治してこられました。もし患者でなく、まったく健康な人に低線量率放射線療法をほどこした場合は、免疫機能が著しく高まり、がんの発生率が低下し、健康増進が実現され、インフルエンザにも掛からなくなります。

(中略)マウス実験でも低線量率放射線療法を施したマウスは毛並みも良くなり、がんも発生せず、寿命も伸びて、普通のマウスよりも体格が良く健康が増進するそうなのです。

先生は、今回の福島原発事故はちょうどこの低線量率放射線療法と同じであり、今後福島県産の野菜や海産物はむしろどんどん食べたほうが健康によいといわれます。今までテレビや原子力委員会で説明してきた専門家と言われる人々は、勉強不足とのことです。数年前の東海村の事故の時も、先生に原発関係のおえらい方々が、先生のところに安全性について訪ねにこられ、先生は施設外では全く問題ないと答え、安全性を保証されたことで事態を収束させることができたそうです。

今回、政府の発表や専門家と言われる人々の勉強不足による嘘の発表とひどい風評に腹を据えかね、発表の講演を行うことにしたとのことです。

福島に行くだけで、健康が良くなり、免疫力が高まります。福島の農水産物、水も大いに食べて飲んだほうが、健康が増進する。先生はそう主張します。
http://blogs.yahoo.co.jp/mozugoe/2968845.html

これだけの強い主張が、脱原発派の神経を逆なでしないはずがありません。私は、稲氏の、この一見矯激そうな議論の成否を判断するだけの知識は持ち合わせていません。しかしながら、稲氏がその学者生命を賭けて論陣を張っていることだけは分かります。彼が、フクシマの復旧・復興のために、無責任な風評被害を招くような言動やそれを助長する科学理論(もどき)と真っ向から対決しようとしていることだけは分かるのです。そのことが分かれば、さしあたり私としてはよしとします。後ほど、稲氏の議論に舞い戻ってきましょう。 (この稿、続く)


*****

稲恭宏(やすひろ)氏のフェイス・ブックをながめていたら、二〇一二年三月、国連総会で正式に承認され議決された国連原子放射線影響科学委員会(UNSCEAR:United Nations Scientific Committee on the Effects of Atomic Radiation)公式学術報告書「日本国放射能異状なし」についての記事「放射線と発がん、日本が知るべき国連の結論」の重要箇所の記載がありました。その重要性に鑑み、和訳の恣意性の有無を検証できるように、原文を併記したままで、以下引用します。とても長い引用になります。しかし、できうることならば、ご熟読願いたいところです。特に重要と思われるところは、赤字で示しました(氏は、自分のHPに無断でリンクを貼られることを快く思っていないようですから、URLの表示はいたしません)。

(1) “UNSCEAR is an independent body of international experts that has met regularly since 1955 and helped establish radiation as the best understood, though weakest, carcinogenic agent in the world through its studies of atomic bomb survivors, the effects of the Chernobyl accident, industrial radiological accidents, and medical radiation treatment.

Many of us have been at them for years to stop procrastinating and prevaricating on something so important that the inaction itself is harmful. This report is a welcome change. The report, approved by the United Nations General Assembly, will now serve to guide all countries of the world in setting their own national radiation safety policies.”

「UNSCEARは世界各国の専門家で構成される独立機関として1995年から定期的に会合を開いている。原爆の生存者、チェルノブイリ原発事故の影響、産業界で起きた放射線による事故、医療現場での放射線治療の研究を通じて放射能への人類の理解を促進するとともに、放射性物質による発がん性が低いことも明らかにしてきた。

専門家の多くは長年、何もしないことが害悪になる重大な問題について、結論を先延ばししたり、言葉を濁すようなことはやめようとしてきた。今回の報告書は好ましい変化だ。報告書は国連総会で承認されたので、今後は世界中の国々が独自の放射能安全策を策定するのに参考にするだろう。」

(2) “Finally, the world may come to its senses and not waste time on the things that aren’t hurting us and spend time on the things that are. And on the people that are in real need. Like the infrastructure and economic destruction wrought by the tsunami, like cleaning up the actual hot spots around Fukushima, like caring for the tens of thousands of Japanese living in fear of radiation levels so low that the fear itself is the only thing that is hurting them.”

「報告書により、世界はようやく正気に戻り、人体に害を与えないことに無駄な時間を費やすのをやめ、実際に悪影響を及ぼす問題、そして本当に注意を必要とする人々に目を向けるようになるかもしれない。例えば津波によって引き起こされたインフラや経済への打撃、あるいは福島周辺の真のホットスポットの除染。さらには、人体に影響を与えない程度の放射線量しか浴びていないのに、被曝の恐怖に怯えて暮らし、まさにそうした不安に心身をさいなまれている何万人という日本人をケアするといったことだ。」

(3) “UNSCEAR’s chair Wolfgang Weiss stated that no radiation health effects had been observed in Japan among the public, workers or children in the area of the damaged nuclear power plants, in keeping with studies already published by the World Health Organization and Tokyo University. Doses of radiation received by people near the damaged power plant were so low that no discernible health effect could be expected.

Ingestion of the short-lived isotope iodine-131, with its well-known risk of thyroid cancer when absorbed in the thyroid glands of children and young people, was the only major radiation-related health effect of the Chernobyl accident on the public. And the Soviets could have prevented that by acting quickly and openly. Of course, the Soviets didn’t much care about the public.

This will not happen in Japan. Iodine-131, with a half-life of only 8 days, decayed away in a few months following the accident and no one was found to have ingested any significant amount.”

「UNSCEARのウォルフガング・ワイス委員長は、『事故のあった原発の周辺地域の住民、労働者、子供たちには、放射能による健康への影響は一切観察されていない』と述べている。これは世界保健機関(WHO)や東京大学が既に発表した研究成果とも一致している。原発周辺地域の住人が被曝した放射線量は非常に低く、識別できるような健康被害が生じることはまったく考えられない。

ヨウ素の放射性同位体で半減期の短い「ヨウ素131」の食物摂取は、子供や若者の甲状腺で吸収されると甲状腺がんを引き起こすリスクがあることで知られているが、これがチェルノブイリ事故が一般市民に及ぼした唯一の重大な放射線による健康被害だ。旧ソ当局が情報を公開し、迅速に行動していれば、この被害は防げたはずだったが、もちろん彼らは一般大衆のことなど大して気にしていなかったのだ。

日本ではこうしたことは起こらない。半減期がわずか8日のヨウ素131は事故後の数カ月で崩壊してしまい、大量に摂取した例は1人も報告されていない。」

(4) “UNSCEAR also found no observable health effects from last year’s nuclear accident in Fukushima. No effects.

 The Japanese people can start eating their own food again, and moving back into areas only lightly contaminated with radiation levels that are similar to background in many areas of the world like Colorado and Brazil.”

「福島事故で「健康への影響無し」さらにUNSCEARは、一昨年の福島の原発事故による識別可能な人体への影響はなかったとしている。「影響無し」としているのだ。

日本人は再び国産の食品を口にできる。放射線による汚染が軽微で、米国・コロラド州やブラジルといった世界各地の自然放射線並みのレベルにとどまっていれば、避難地域への帰宅も始められる。」

どうやら10000字の字数制限にひっかかってしまったようです。重要事項が目白押しで、削除する箇所が見当たりません。残りの(5)~(8)は、次回に回します。(この稿、続く)


*****

国連総会で正式に承認・議決された国連原子放射線影響科学委員会(UNSCEAR)の公式学術報告書「日本国放射能異状なし」についての記事「放射線と発がん、日本が知るべき国連の結論」の続きです。

(5) “This is incredibly important to Japan where national guideline changes have been horribly over-reactive in response to Fukushima, especially for food, using LNT in a way it should not be used.

Accepted global limits on radioactivity levels in foods is 1000 Bq/kg (1,200 Bq/kg in the U.S.). Dominated by cesium-137 and Sr-90, these levels were set by organizations like the IAEA and UNSCEAR after decades of study. Because of public radiation fears broadcast in the press after the Fukushima accident, Japan cut the limit in half hoping it would have a calming influence. But the level of fear remained high, so Tokyo lowered the limits to one-tenth of the international standards.

This has had the unintended consequence of making people even more afraid of what they are eating, moving safe foods into the scary category and limiting food exports, causing even further economic and social damage.

Suddenly, all sorts of normally safe foods are now banned. Wild mushrooms from Aomori Prefecture are now banned because they have cesium levels of about 120 Bq/kg. This cesium has nothing to do with Fukushima, it’s the same type as is in everyone’s food around the world, and it wouldn’t have rated a second look before the accident.

The Japanese people should not be punished for nothing. But these new results and the UNSCEAR reports demonstrate that they are being punished. There was no reason to lower the rad limits on food, especially after the short-lived nuclides have long decayed away. One of the incorrect assumptions was that people in Japan would be eating only contaminated food, which is quite wrong. The international limits were set for very good reasons, lowering them makes no sense except to further hurt farmers and consumers in Japan.”

「これはLNT仮説を誤用して、特に食品について福島事故への過剰反応ともいうべき基準見直しを実施した日本にとって特に重要だ。

世界的に認められた食品中の放射能レベルは1キログラムあたり1000ベクレル(米国の場合は同1200ベクレル/キログラム)だ。大部分はセシウム137とストロンチウム90が占めるが、こうした基準値はIAEAやUNSCEARのような組織が数十年にわたる研究にもとづいて設定している。福島の事故後、国民の放射能への不安が高まっていることがメディアで報じられたため、日本政府は不安を静めようと基準値を従来の半分に抑えた。だが不安が静まらなかったため、基準をさらに引き下げて国際基準の10分の1にした。

この結果、国民は日々口にしている食品にさらに不安になるという意図しない影響が生じ、安全な食品は危険なカテゴリーに入れられ、食品輸出は抑制され、経済的・社会的損害はさらに広がった。

通常であれば安全な食品が、突然、出荷制限の対象になった。青森県産の野生キノコ類は、1キロあたり120ベクレルの放射性セシウムが検出されたため出荷が制限された。このセシウムは福島事故とは一切関係がなく、世界中の人々が食べている食品に含まれているのと同じタイプであり、事故以前はまったく問題にされなかった。

日本人はいわれ無き制裁を加えられるべきではない。だがこのような最近の動きやUNSCEARの報告書からは、日本人が制裁を受けているのは明らかだ。食品の放射性物質の基準値を引き下げる理由はなかった。半減期の短い放射性核種が既に崩壊してしまったことを思えば、なおさらだ。誤った前提の一つは、日本人が汚染された食品しか摂取できないというもので、これはとんでもない見当違いだ。国際的な基準値は確固たる根拠にもとづいて設定されており、それを引き下げることは日本の農家や消費者をさらに痛めつける以外、何の役にも立たない。」

(6) “According to the reports, six Fukushima workers received total doses of over 0.25 Sv (25 rem) during their time fighting the emergency, while 170 workers received doses between 0.1 and 0.25 Sv (10 to 25 rem). None have shown ill effects and most likely never will. Radiation played no role in the coincidental deaths of six Fukushima workers in the time since the accident, who died from accidents, e.g., being crushed by debris or being swept out to sea.”

「報告書によると、福島原発では非常事態に対応していた6人の作業員が0.25Sv(25 rem)を超える放射線を浴び、170人が0.1~0.25Sv(10 ~ 25 rem)を被曝した。このうち健康に悪影響が出た者はなく、おそらく今後も影響は出ないだろう。福島原発で亡くなった6人の死因は、がれきに押しつぶされたり、海に流されるといった事故で、放射能とは一切関係なかった。」

(7) “The advice on radiation in this report will clarify what can, and cannot, be said about low dose radiation health effects on individuals and large populations. Background doses going from 250 mrem (2.5 mSv) to 350 mrem (3.5 mSv) will not raise cancer rates or have any discernable effects on public health. Likewise, background doses going from 250 mrem (2.5 mSv) to 100 mrem (1 mSv) will not decrease cancer rates or effect any other public health issue.

Note – although most discussions are for acute doses (all at once) the same amount as a chronic dose (metered out over a longer time period like a year) is even less effecting. So 10 rem (0.1 Sv) per year, either as acute or chronic, has no observable effect, while 10 rem per month might.”

「自然放射線量が2.5ミリSv(250 ミリrem)から3.5ミリSv(350 ミリrem)に上昇しても、発がん率は上昇せず、認識できるような公衆衛生上の影響は何も起きない。同じように、自然放射線量が2.5ミリSv(250 ミリrem)から1ミリSv( 100 ミリrem)に低下しても発がん率は低下せず、公衆衛生上の問題に一切影響を与えない。

重要なのは、通常の議論は短期間(一度)に強烈な放射線に被曝することを想定しており、同じ量を1年といった長い期間をかけて被曝した場合、影響はさらに小さくなることだ。つまり毎月0.1Sv(10 rem)を被曝すれば影響はあるかもしれないが、年間で同じ0.1Svを受けた場合は、慢性にせよ、急性にせよ認識できるような影響は一切ない。」

(8) “To recap LNT, the Linear No-Threshold Dose hypothesis is a supposition that all radiation is deadly and there is no dose below which harmful effects will not occur. Double the dose, double the cancers. First put forward after WWII by Hermann Muller, and adopted by the world body, including UNSCEAR, its primary use was as a Cold War bargaining chip to force cessation of nuclear weapons testing. The fear of radiation that took over the worldview was a side-effect.

The economic and psychological harm wrought by the wrong-headed adoption of linear no-threshold dose effects for doses less than 0.1 Sv (10 rem) has been extremely harmful to the already stressed population of Japan, and to continue it would be criminal.

Of course, doubling the dose doesn’t double the cancers below 10 rem/yr (0.1 Sv/yr). It has no effect at all. The millions of nuclear workers that have been monitored closely for 50 years have no higher cancer mortality than the general population but have had several to ten times the average dose. People living in New Mexico and Wyoming have twice the annual dose as those in Los Angeles, but have lower cancer rates. These cannot occur if LNT were true, because LNT states this could not occur.

There are no observable effects in any population group around the planet that suggest LNT is true below 10 rem/yr (0.1 Sv/yr) even in areas of the Middle East, Brazil and France where natural background doses exceed 10 rem/yr (0.1 Sv/yr).”

「LNT仮説を要約すると、あらゆる放射線は命にかかわる有害なもので、被曝線量がどれほど低くても人体に有害な影響を与えるとする考え方だ。被曝量が2倍なら発がん率も2倍になる、と。第二次世界大戦後にヘルマン・マラーが提唱し、UNSCEARを含む国際機関が採用したが、その有効性が最も発揮されたのは冷戦中に核兵器実験を中断させるための交渉の切り札として使われたときだ。世界に放射能への恐怖が広がったのは、その副作用である。

0.1Sv(10 rem)以下の被曝に誤ってLNT仮説を当てはめたことによる経済的・心理的負担は、ただでさえストレスを感じていた日本国民には著しく有害で、今後もそれを続けることは犯罪行為といえる。

当然ながら、年間0.1Sv(年10 rem)以下では被曝量が2倍になっても発がん率は2倍にならない。人体への影響はまったくない。数百万人にのぼる原子力作業従事者を50年にわたって綿密に調査した結果、一般人の平均と比べて被曝量は数倍から10倍だったが、がんによる死亡率は変わらなかった。米国のニューメキシコ州とワイオミング州の人々の年間被曝量はロサンゼルスの住人の2倍だが、発がん率はむしろ低い。LNT仮説が正しければ、こうしたことは起こりえない。

地球上のどこを見ても、被曝量が年間0.1Sv(年10 rem)以下のケースで、LNT仮説を裏づけるような識別できる影響が出ている集団はない。自然放射線量が年間0.1Sv(10 rem/年)を超える中東、ブラジル、フランスでさえそうだ。」


われわれ日本人の、放射能・放射線についての一般的なイメージは、率直に言ってしまえば、迷信深い未開人のそれとほとんど変わるところがありません。あけすけに言ってしまえば「少しでもそれを浴びてしまえば、人体はとんでもない悪影響を蒙りかねない。呪わしい悪魔のような存在。それが放射能だ。だから、規制値・基準値は厳しければ厳しいほどいいし、そうでないと安心できない」というのが、一般的な日本人の理屈抜きの放射能観ではないでしょうか。

上記の引用を読めば読むほど、この無知蒙昧でひたすら感情的な放射能観が、フクシマの復旧・復興を阻む最大の障害物である、という思いが強くなってきます。

では、当時の民主党政権やマスメディアはどうしていたのか。また、どうしているのか。私には、彼らは一般国民の、放射能にまつわる愚かしい迷信をひたすら温存・助長してきたとしか思えません。そこには、社会病理的なポピュリズムの心性が働いているように感じられます。彼らは、ノーブレス・オブリージュを放棄した無残な姿を晒していると称するよりほかはありません。その端的な例が、食品中の放射性物質基準値の異様なほどの厳しさです。




http://www.nikkei.com/article/DGXZZO50651160W3A110C1000000/?df=3 より引用

いかがでしょうか。飲用水に至っては、日本は欧米諸国の100倍以上の厳しい基準を採用しています。もっとも基準がゆるい一般食品でさえ、欧米諸国の10倍以上の厳しさです。これが、科学的な知見に基づく合理的な基準といえるでしょうか。引用文中の「世界的に認められた食品中の放射能レベルは1キログラムあたり1000ベクレル(米国の場合は同1200ベクレル/キログラム)だ。大部分はセシウム137とストロンチウム90が占めるが、こうした基準値はIAEAやUNSCEARのような組織が数十年にわたる研究にもとづいて設定している」という見解を尊重するならば(尊重するしかないでしょう?)、日本政府(自民党政権は民主党政権の決定を踏襲しているのですから、基準値に対するスタンスについては一緒くたにされてもしょうがありません)はとんでもない愚挙を犯しているとしか言いようがありません。一般国民の迷信的な放射能観を宥めよう、それに媚びようとしているうちに、こんな馬鹿げたことになってしまったのです。

この愚挙の結果、引用文中にあるとおり「国際的な基準値は確固たる根拠にもとづいて設定されており、それを引き下げることは日本の農家や消費者をさらに痛めつける以外、何の役にも立たない」という悲惨な事態を招いているのです。こんなご無体な基準をそのままにしておいて、福島県の被災者たちに、元通りの生活を営め、自活せよ、と迫るのは土台無理な注文でしょう。つまり、この馬鹿げた食品基準を世界標準にまで緩和することなしに、フクシマの復旧・復興はないのです。 (この稿、続く)


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