呉善花氏の入国拒否について
今朝(7月28日)の産経新聞によれば、韓国出身の評論家で拓殖大国際学部教授の呉善花氏(56)=日本国籍=が韓国への入国を拒否され、日本に引き返していたことが、7月27日に分かりました。韓国にとって反日が国是なのは分かっています。百歩譲って、それが愛国のひとつの形であることを認めたとしましょう。
その上で申し上げます。呉善花氏は、心からの愛国者です。彼女の著書を素直に読んだ者にとって、それは自明のことです。彼女の膨大な著書は、お互いの文化を深く知りあうことで、日韓関係がもっとまっとうなものになることを祈念して書かれたものばかりです。彼女は、できうることならば、その架け橋になりたいと思っているのです。それほどの愛国者はめったにいません。
彼女のそういう姿勢が視野に入らない韓国国民や当局の狭量さには、致命的なものがあります。それに加えて、彼女は今回冠婚葬祭で訪韓しただけなのです。言論活動のために入国しようとしたわけではありません。また、こういう、言論人に対する韓国国家による陰湿な圧力のかけ方・嫌がらせは、今回に限りません。以下の阿比留瑠比氏の記事で、それがよく分かることでしょう。
普段から、やれ民主主義だ、言論の自由だと騒いでいる左翼メディアや知識人は、この事件に怒りの声を発するべきです。韓国当局に対して堂々と異議申し立てをしなければいけません。それができないようであれば、彼らの唱える民主主義や言論の自由の主張は、底の浅い寝言に過ぎません(朝日や毎日は、少なくとも今日の朝刊では、この事件を取り上げていません)。ささやかながらも言論活動に関わる者のひとりとして、私は、今回の件に対して、韓国当局に異議申し立てをします。「正当な理由もなく、言論人・呉善花氏に対して陰湿でレベルの低い嫌がらせをするのはやめろ。彼女に対する入国拒否措置を撤回せよ」と。
ところで安倍内閣は、今回の件に対して、知らんぷりを決め込むつもりなのでしょうか。自国民、それも公人ではなくて一私人が、正当な理由もなく、隣国への入国を拒否されたのですよ。せめて、抗議の意を表する通達くらいは出すべきであると、私は考えます。そうすることによってこそ、安倍内閣がまっとうな人権感覚を尊重する価値観外交を「本気で」展開する気でいることが、国際社会に周知されるのではないでしょうか。それとも、安倍内閣は「本気」ではないのでしょうかね。これは、政府が看過しうるほどに小さな事件ではないと、私は考えます。ナメないほうがいいでしょう。
次に、産経新聞阿比留瑠比記者のFB記事(7月28日)を掲げておきます。韓国当局による呉善花氏に対する嫌がらせ・圧力がけが根深いものであることがよく分かるものと思われます。
今朝の産経新聞(14版~)には、拓殖大教授の呉善花さんが韓国に入国拒否された記事が載っています。実は昨夜はデスク番で午前2時過ぎまで会社にいた私も、この記事を書いたわけではありませんが少しバタバタしました。
で、呉さんと韓国をめぐってどうしても思い出してしまうのが、10数年前の出来事です。当時、まだ韓国籍だった呉さんが、都内で開かれたあるシンポジウムで、出身地である韓国・済州島で暮らしていたころ、「慰安婦の強制連行など一切聞いたことがなかった」という趣旨の発言をした際のことでした。
ご承知の通り、済州島は詐話師、吉田清治が慰安婦狩りをした証言し、後に現代史家の秦郁彦氏が現地調査をしたところ、全くデタラメであることが発覚した場所です。それだけに、韓国当局も神経質になっていたのかもしれません。
私がシンポでの呉さんの発言を産経紙面でちょっと紹介したところ、その日の夜に呉さんから電話がかかってきて、「済州島の実家や親類の家が、韓国の公安に家宅捜索された。何も出てこないのを知っていての嫌がらせだ。どうしよう」という相談がありました。
そのときは、呉さんの意向で記事にはしませんでしたが、まあ、そういう側面のある国なわけですね。あれから10数年経ったというのに、今回もこんなことをしているわけです。なんか、悲しくなってしまいます……。
人の脇腹を突くようなマネは許しがたい。呉善花さん、めげないでくださいね。
〈コメント〉
*Commented by ぱんたか さん
先日のTPP問題始め、ユニークな切り口の論評をとても有難く勉強させていただいております。
朝鮮半島は、歴史始まって以来シナの影響下にあって、自分は“大中華”の一員という認識があるようですから、日本という東夷など程度の低い民族が世界に頭角を現し、剰え短い期間とはいえ自国を統治するなどあってはならないこと、という劣等意識があるのではないでしょうか。
ソウルに長く住んでいる元産経新聞の黒田勝弘さんによると、最近、本音は親日という韓国人が増えているという話もありますので、一概に決めつけることは出来ないでしょうが、子供に対するように、軽く受け流すのがいいように思っています。
いつの日か真実の歴史を学んだ時、赤恥をかくのは彼らですから。
但し、日韓以外の国に“従軍慰安婦”が恰もあったように宣伝するなどについては、日本政府はその都度公式に抗議し、場合によっては外交的・経済的対抗手段をとるべきです。
今回の呉善花さんのことについても同様です。
彼女は日本国民ですから、自国民を護る意味で断固とした処置をとる必要があるでしょう。
菅官房長官は、今日午前の記者会見で「極めて残念」との見解を表明し「事実関係を把握した後、適切に対応したい」とのことですが、今回の東アジアサッカー競技での横断幕のこともありますので、もっと強い対応が必要ではないでしょうか。
それから、阿比留記者のお名前は瑠比さんかと思います。
*Commented by 美津島明 さん
To ぱんたかさん
いろいろと教えていただいて、ありがとうございます。菅官房長官が、この件で記者会見をやっていたなんて、知りませんでした。日韓サッカーでの韓国サポーターの馬鹿な振る舞いについては、さすがに知っていましたよ。やれやれ、です。しかし、嘆いてばかりもいられません。こういうことに関しては、変に「大人の対応」などと寝言を言わずに、ぱんたかさんがおっしゃるように、厳重に抗議すべきでしょう。それでこそ、安倍外交の基本が国際的に周知されます。「とにかく波風立てないのが、いい外交だ」という「百姓路線」が無意味であることはもはや自明ですからね。だから今回は、安倍内閣に、きっちりと言うべきことは言っていただいたいと思うのです。
個人的なことを言えば、私は呉善花さんの年来のファンです。その、我が身を韓国と日本の間に思い切りよく置いて、日本に滞在し続けることによる心境の変化を率直に語る誠実さが、こちらのハートに響くのですね。だから、そういう正直な彼女をいじめる韓国が許せない、というのが、今回アップした文章の感情的な意味での原動力です。本文中でも申し上げましたが、彼女はオーソドックスな愛国者なのです。日韓の真の友好関係を願っている人なのです。今回のことで被った彼女の心の痛手は、察するにあまりあります。
「瑠衣」は「瑠比」の誤りとのご指摘、感謝します。
*Commented by ぱんたか さん
To 美津島明さん
お早うございます。
ご丁寧なコメント、痛み入ります。
呉善花さんは、私も“隠れファン”のつもりでおります。
本当なら、こういう人をこそ韓国は大切にしなければならないと、私はかねがね思っています。
問題は、朝日を始めとする“内なる敵”ではないでしょうか。
これを退治する根本的方法は、まことに迂遠ではありますが、より多くの日本人が“お仕着せの歴史”を脱却して、正しい近現代史を学び直すことだと思っております。
今、『逝きし世の面影』を読みはじめましたが、ザルのような私の頭には難物中の難物です。
*Commented by 美津島明 さん
To ぱんたかさん
> 問題は、朝日を始めとする“内なる敵”ではないでしょうか。
> これを退治する根本的方法は、まことに迂遠ではありますが、より多く の日本人が“お仕着せの歴史”を脱却して、正しい近現代史を学び直す こ とだと思っております。
私も、そのように考えています。いわゆる東京裁判史観を中央突破することを通じて、私たちは、戦前とつながることができるようになるのではないかと思っています。では、どうやって東京裁判史観を中央突破するのか。私の場合は、非力ながらも東郷茂徳の手記とがっぷり四つで取り組むことで、それを果たそうと思っています。どこまでできるのか、まったくわかりませんが、一応、そういう心積もりです。また、コメントをお寄せください。
今朝(7月28日)の産経新聞によれば、韓国出身の評論家で拓殖大国際学部教授の呉善花氏(56)=日本国籍=が韓国への入国を拒否され、日本に引き返していたことが、7月27日に分かりました。韓国にとって反日が国是なのは分かっています。百歩譲って、それが愛国のひとつの形であることを認めたとしましょう。
その上で申し上げます。呉善花氏は、心からの愛国者です。彼女の著書を素直に読んだ者にとって、それは自明のことです。彼女の膨大な著書は、お互いの文化を深く知りあうことで、日韓関係がもっとまっとうなものになることを祈念して書かれたものばかりです。彼女は、できうることならば、その架け橋になりたいと思っているのです。それほどの愛国者はめったにいません。
彼女のそういう姿勢が視野に入らない韓国国民や当局の狭量さには、致命的なものがあります。それに加えて、彼女は今回冠婚葬祭で訪韓しただけなのです。言論活動のために入国しようとしたわけではありません。また、こういう、言論人に対する韓国国家による陰湿な圧力のかけ方・嫌がらせは、今回に限りません。以下の阿比留瑠比氏の記事で、それがよく分かることでしょう。
普段から、やれ民主主義だ、言論の自由だと騒いでいる左翼メディアや知識人は、この事件に怒りの声を発するべきです。韓国当局に対して堂々と異議申し立てをしなければいけません。それができないようであれば、彼らの唱える民主主義や言論の自由の主張は、底の浅い寝言に過ぎません(朝日や毎日は、少なくとも今日の朝刊では、この事件を取り上げていません)。ささやかながらも言論活動に関わる者のひとりとして、私は、今回の件に対して、韓国当局に異議申し立てをします。「正当な理由もなく、言論人・呉善花氏に対して陰湿でレベルの低い嫌がらせをするのはやめろ。彼女に対する入国拒否措置を撤回せよ」と。
ところで安倍内閣は、今回の件に対して、知らんぷりを決め込むつもりなのでしょうか。自国民、それも公人ではなくて一私人が、正当な理由もなく、隣国への入国を拒否されたのですよ。せめて、抗議の意を表する通達くらいは出すべきであると、私は考えます。そうすることによってこそ、安倍内閣がまっとうな人権感覚を尊重する価値観外交を「本気で」展開する気でいることが、国際社会に周知されるのではないでしょうか。それとも、安倍内閣は「本気」ではないのでしょうかね。これは、政府が看過しうるほどに小さな事件ではないと、私は考えます。ナメないほうがいいでしょう。
次に、産経新聞阿比留瑠比記者のFB記事(7月28日)を掲げておきます。韓国当局による呉善花氏に対する嫌がらせ・圧力がけが根深いものであることがよく分かるものと思われます。
今朝の産経新聞(14版~)には、拓殖大教授の呉善花さんが韓国に入国拒否された記事が載っています。実は昨夜はデスク番で午前2時過ぎまで会社にいた私も、この記事を書いたわけではありませんが少しバタバタしました。
で、呉さんと韓国をめぐってどうしても思い出してしまうのが、10数年前の出来事です。当時、まだ韓国籍だった呉さんが、都内で開かれたあるシンポジウムで、出身地である韓国・済州島で暮らしていたころ、「慰安婦の強制連行など一切聞いたことがなかった」という趣旨の発言をした際のことでした。
ご承知の通り、済州島は詐話師、吉田清治が慰安婦狩りをした証言し、後に現代史家の秦郁彦氏が現地調査をしたところ、全くデタラメであることが発覚した場所です。それだけに、韓国当局も神経質になっていたのかもしれません。
私がシンポでの呉さんの発言を産経紙面でちょっと紹介したところ、その日の夜に呉さんから電話がかかってきて、「済州島の実家や親類の家が、韓国の公安に家宅捜索された。何も出てこないのを知っていての嫌がらせだ。どうしよう」という相談がありました。
そのときは、呉さんの意向で記事にはしませんでしたが、まあ、そういう側面のある国なわけですね。あれから10数年経ったというのに、今回もこんなことをしているわけです。なんか、悲しくなってしまいます……。
人の脇腹を突くようなマネは許しがたい。呉善花さん、めげないでくださいね。
〈コメント〉
*Commented by ぱんたか さん
先日のTPP問題始め、ユニークな切り口の論評をとても有難く勉強させていただいております。
朝鮮半島は、歴史始まって以来シナの影響下にあって、自分は“大中華”の一員という認識があるようですから、日本という東夷など程度の低い民族が世界に頭角を現し、剰え短い期間とはいえ自国を統治するなどあってはならないこと、という劣等意識があるのではないでしょうか。
ソウルに長く住んでいる元産経新聞の黒田勝弘さんによると、最近、本音は親日という韓国人が増えているという話もありますので、一概に決めつけることは出来ないでしょうが、子供に対するように、軽く受け流すのがいいように思っています。
いつの日か真実の歴史を学んだ時、赤恥をかくのは彼らですから。
但し、日韓以外の国に“従軍慰安婦”が恰もあったように宣伝するなどについては、日本政府はその都度公式に抗議し、場合によっては外交的・経済的対抗手段をとるべきです。
今回の呉善花さんのことについても同様です。
彼女は日本国民ですから、自国民を護る意味で断固とした処置をとる必要があるでしょう。
菅官房長官は、今日午前の記者会見で「極めて残念」との見解を表明し「事実関係を把握した後、適切に対応したい」とのことですが、今回の東アジアサッカー競技での横断幕のこともありますので、もっと強い対応が必要ではないでしょうか。
それから、阿比留記者のお名前は瑠比さんかと思います。
*Commented by 美津島明 さん
To ぱんたかさん
いろいろと教えていただいて、ありがとうございます。菅官房長官が、この件で記者会見をやっていたなんて、知りませんでした。日韓サッカーでの韓国サポーターの馬鹿な振る舞いについては、さすがに知っていましたよ。やれやれ、です。しかし、嘆いてばかりもいられません。こういうことに関しては、変に「大人の対応」などと寝言を言わずに、ぱんたかさんがおっしゃるように、厳重に抗議すべきでしょう。それでこそ、安倍外交の基本が国際的に周知されます。「とにかく波風立てないのが、いい外交だ」という「百姓路線」が無意味であることはもはや自明ですからね。だから今回は、安倍内閣に、きっちりと言うべきことは言っていただいたいと思うのです。
個人的なことを言えば、私は呉善花さんの年来のファンです。その、我が身を韓国と日本の間に思い切りよく置いて、日本に滞在し続けることによる心境の変化を率直に語る誠実さが、こちらのハートに響くのですね。だから、そういう正直な彼女をいじめる韓国が許せない、というのが、今回アップした文章の感情的な意味での原動力です。本文中でも申し上げましたが、彼女はオーソドックスな愛国者なのです。日韓の真の友好関係を願っている人なのです。今回のことで被った彼女の心の痛手は、察するにあまりあります。
「瑠衣」は「瑠比」の誤りとのご指摘、感謝します。
*Commented by ぱんたか さん
To 美津島明さん
お早うございます。
ご丁寧なコメント、痛み入ります。
呉善花さんは、私も“隠れファン”のつもりでおります。
本当なら、こういう人をこそ韓国は大切にしなければならないと、私はかねがね思っています。
問題は、朝日を始めとする“内なる敵”ではないでしょうか。
これを退治する根本的方法は、まことに迂遠ではありますが、より多くの日本人が“お仕着せの歴史”を脱却して、正しい近現代史を学び直すことだと思っております。
今、『逝きし世の面影』を読みはじめましたが、ザルのような私の頭には難物中の難物です。
*Commented by 美津島明 さん
To ぱんたかさん
> 問題は、朝日を始めとする“内なる敵”ではないでしょうか。
> これを退治する根本的方法は、まことに迂遠ではありますが、より多く の日本人が“お仕着せの歴史”を脱却して、正しい近現代史を学び直す こ とだと思っております。
私も、そのように考えています。いわゆる東京裁判史観を中央突破することを通じて、私たちは、戦前とつながることができるようになるのではないかと思っています。では、どうやって東京裁判史観を中央突破するのか。私の場合は、非力ながらも東郷茂徳の手記とがっぷり四つで取り組むことで、それを果たそうと思っています。どこまでできるのか、まったくわかりませんが、一応、そういう心積もりです。また、コメントをお寄せください。
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