軍国主義というのは、
外交の手段として戦争を重視し政治、経済、教育、文化などのあらゆる活動は、軍事力強化のために行わなければならないとする国家体制や思想をいう。
平和憲法下にある日本で「自分は軍国主義者だ」などと口走れば袋叩きにあったものだ。
しかし自分は軍国主義者だと堂々と名乗った人物がいる。
そう、安倍晋三元首相だ。
2013年9月25日、国連総会の総会へ出席するため訪れていたニューヨークで、米保守系シンクタンク・ハドソン研究所で演説した。
「私を右翼の軍国主義者と呼びたいなら、どうぞ呼んでいただきたい」
中国の軍事費が膨張していることを念頭に、日本の防衛費を増やしたことに対する反論封じの意味があったのだろう。
このあたりから、いまの「軍拡路線」への流れが始まったと言えよう。
経済学者の小室直樹の「軍国主義者」の定義が鋭い。(昭和51年「危機の構造」)
「戦前の日本には、軍国主義者がウヨウヨしていたと錯覚されているが、実は、軍国主義者など一人も居なかったといってよい。
軍国主義者の目的は戦争に勝つことである。ゆえに彼は、戦勝のための条件を整備しなければならない。
軍備その他の戦争能力がもし不十分だとすれば、全力を挙げてこれを充足することを主張するはずである。
そしてもし、経済上の制約などの理由によって十分な戦争能力を整備しえないことが明らかになった場合には、必死になって戦争を阻止するのが軍国主義者の本務である。」
なんとも鋭い指摘である。
そして小室が指摘したこの構造は今も続いている。科学的な分析を疎かにして軍事費の金額の多い少ないで議論する。
そしてその分析の上に立って戦争能力があるかないかの議論をすっ飛ばして、あるいは無視して、遮二無二軍拡路線を突っ走る。
冷静に考えれば、日本は「専守防衛」を国是としていることが、憲法にも沿い実質的にも安全を確保できるだろう。
極めて危険な議論が進んでいると考えるべきである。
一部マスコミがこの議論に加担すると「いつか来た道」を進むことになる。