小沢一郎という政治家ほど毀誉褒貶の激しい人物はいないだろう。
若くして自民党の幹事長になった頃は、「日本普通の国論」を唱えていた。
要するに「新自由主義的」なところがあった。
しかし民主党と小沢率いる自由党が合併する頃(2003年)から、社会民主主義路線に転じた。
その後ずっと一貫してこの路線を走っている。もともとのコアの部分がそうだったのか。
今の自民党からは完全になくなってしまった「保守本流の思想」ー旧田中派的な平等主義的で穏当な保守政党の思想ーは小沢一郎に引き継がれているのかもしれない。
今の自民党は安倍晋三前首相が主導するところの新自由主義と復古調の戦前回帰思想に固められた。
「保守本流」の流れをくむ竹下派や宏池会直系の岸田派はひっそりと息をひそめている。
首相を辞めても第3次安倍内閣が噂されている。自民党は自浄作用のない政党に堕してしまった。
立憲民主党の枝野代表は、明らかに社会民主主義的な再分配重視路線に舵を切った。
この路線は、自民党に今はもういなくなった「平等主義的穏当な保守思想」と親和性が高い。
そして選挙戦術の腕を小沢一郎や中村喜四郎によって得ることが出来れば野党の足腰は強くなるだろう。
小沢一郎は最後の勝負をかける時期が来たのではないだろうか。
3度目の政権交代である。