「敵基地攻撃論」を声高に主張しているのは安倍派を中心とする自民党保守派だ。
岸田首相には自説がない。その時々で声の大きい方に振り子を揺らす。
安倍派以上に声が大きかったのがアメリカのバイデン大統領だ。
敵基地攻撃というのは、まだ武力行使が始まっていない段階で相手に対して攻撃を行うことになる。
もう少し具体的に言うと、敵がミサイルに点火をした段階でこちら側はその策源地にミサイルを撃ち込むということだ。
なんとも危なっかしい議論をしていて見ちゃおれない。
パソコンでゲームをするのとはわけが違うのにだ。
ロシアのウクライナ攻撃を見ていてもわかる通り、
相手の攻撃能力を全滅させられるというのでなければ先制攻撃に意味はない。
だから賢いやり方は、「専守防衛」を宣言して絶対に相手に攻撃は仕掛けませんという方針を貫くことだ。
「専守防衛」を宣言している国に敢えて攻撃を仕掛けてくる国があるとすれば、その国は全世界を相手にすることになるだろう。
憲法9条があるから絶対にどこの国も攻めてこないかというとそんなことはない。
逆に9条を無くせばどこの国も攻めてこないということもない。
憲法の趣旨は、紛争解決の手段として武力行使は行わない。そして万一侵略された場合には自衛し、国際社会の公正と信義(侵略に抗議する)を信頼する、ということだと思う。
安倍政権以降自民党の劣化が著しい。
事実と向き合い、それを国民の前に提示して真剣な議論を野党とかわすという基本を怠った。
数を頼りに(それも国民の20%の支持だけ)説明責任を逃れて自分たちに都合の良いことを国民に押し付ける政党に成り下がってしまった。
社会が安定期に入ると、
私的な利益のことしか考えない矮小政治家と矮小政党の時代に入る。
その時代に政治家が考えるのはもっぱら陰謀と汚職である。
フランスの政治思想家トクヴィル