トランプ大統領が「アメリカファースト」を唱えて、世界秩序の枠組みを大きく破壊した。
気候変動を協議するパリ協定や世界保健機関(WHO)などからの脱退を表明、さらには世界貿易機関(WTO)の活動を事実上骨抜きにするような意向を示している。
デストロイヤーというプロレスラーがいたが、反則技を多用するので悪役として名が売れていた。
トランプも似たようなものだ。本来は悪役であるべき人間が大統領になってしまった。
民主党の大統領候補ジョー・バイデンは、今のところトランプより支持率が高い。
「より良く建て直す(Build Back Better)」と、故郷米東部ペンシルべニア州スクラントンで語った。
「勤労家庭と中流階級に注力する。大金持ちにではなく、一生懸命働くことに報いる」
方向性は良い。私はアメリカの選挙権を持っていないが応援したいものである。
バイデンのイメージは、少し認知症の始まった爺さんみたいだったが、副大統領にカマラ・ハリス上院議員を選んだところで見直した。
ハリス上院議員は予備選でバイデンを鋭く攻撃していた。人種問題でだ。そして黒人女性だ。
要するにバイデンは「懐が深い」のだ。
もう一つ評価したいのは、おそらく弱者に優しいだろう。
それは人生の地獄を見ているからだ。
最初の妻ネイリアさんと3人の子供が乗った車が、交通事故に会いネイリンさんと長女は死亡、2人の息子も重傷を負った。
さらにバイデンに悪夢が重なる。長男ボー氏が2015年46歳の若さで脳腫瘍で亡くなった。
現在のバイデンを見ているとそんな悲劇を感じさせない飄々とした味がある。
トランプによって荒み切ったアメリカ国民を立ち直らせる包容力があるのではなかろうか。
日本人が、特に日本の指導層が失くした感情に「惻隠の情」というのがある。
相手の心情を深く理解することであり、親が子を思う心と同じで、相手の立場に立って、物事を感じ取るという感覚。
ジョー・バイデンに「惻隠の情」の影を見出したのは私だけだろうか?
アメリカ国民が正しい判断をして欲しいと切に思う次第だ。