中村天風に「成功の実現」という本がある。
「どんなささいなことにも、有意注意(自分で意を使って注意する)をしなさい」
中村天風を尊敬している稲盛和夫(京セラの創業者)はこれをかみ砕いて次のように述べる。
正しい判断をするにはどういう状況下にあるかということを鋭く観察する必要があります。物事の核心に触れるまでの鋭い観察がなければならないのです。この鋭い観察を生むのは、神経の集中です。しかし急に神経を集中しようと思ってもなかなかできるものではありません。実は集中するというのは、習慣性があるのです。
実に鋭い指摘である。
普段ボーッとしていて、事が起きてから慌てても遅い、ということだ。
いま大相撲は終盤にかかっている。大関正代は負け越してしまった。聞くところによるとあまり稽古をしないそうだ。
それと誰に対しても同じような取り口で戦っている。注意力と洞察力に欠けるのだろう。
「いつも深く考える」ために良い勉強になるのは、宗教と哲学を学ぶことだと思う。
特に政治家や経営者はそうあるべきだと思うが、発言する言葉に重みのある人が少なくなった。
マンガしか読まない政治家は論外にしても、大部分が「利害得失」の話ばかり。
人を相手にせず、天を相手にせよ。
天を相手にして、己を盡(つく)して人を咎めず、我が誠の足らざるを尋ぬべし。
西郷隆盛