徒然草で吉田兼好が語るように、
「今一きは心もうきたつものは、春の気色にこそあらめ」
ここ数日寒い日が続いたが今日は暖かくなるようだ。樹々の喜びの声や鳥たちのさえずりが好ましい。
ジュンベリーが咲き始めた。おかめざくらは今が満開。
今冬はエゾヤチネズミにかじられて大変な目にあったが、元気に花を咲かせた。
免許証の書き換えの時期がやって来るが、認知症テストやらがあるので「忘れる自由」もなくなった。
現役を離れるということは「いろいろな約束事や目標の責任から自由になる」ということ。
免許を返上すると認知症が進むという説もあり、なかなか思うようにいかないものだ。
クルマバソウ
雑木林の片隅でひっそりと咲いている。でも楚々とした美しさがある。
私は現役を離れる時にひげを伸ばすことにした。
かみさんからは「無精ひげ」はみっともないと言われたが、現代の「隠居」になるための儀式だと、屁理屈をつけて押し通した。
龍源寺住職だった松原泰道老師のお言葉、
「明日のことを思い悩んだところで、明日という日がどうなるかは誰にも分からない。まして生命の保障など。であるならば、明日のことを気にかけて今日を疎かにするより、今日一日だけと思えばどんな苦しいことでも辛抱できるし、一日一日を新しい気持ちで迎えられるわけです」
日ごと春めいてくるこの時期の楽しみは、
たのしみは朝おきいでて昨日までなかりし花の咲けるを見る時 橘曙覧
今日のような温かい春の日には「すべてを忘れて」この瞬間に没入するのも良いだろう。
今代(このよ)にし楽しくあらば来生(こむよ)には虫に鳥にも吾は成りなむ 大伴旅人