《 空想から科学へ 》 奧菜主義革命~ 革命的奥菜主義者同盟非公然ブログ

奥菜恵さんは、精神と肉体の両方から無駄なものをすべて削ぎ落とし、必死に舞台に立っていた

「今度会えるの、2学期だね。楽しみだね」

2007年01月12日 22時36分45秒 | Weblog
嗚呼、今日のタイトル、このセリフをここに写したくて

『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』

のセリフ起こしを続けてきました。感無量。

去年の夏に始めたこの作業も、
ようやっとここに辿り着きました。
まずは、きっかけを作ってくださった柳家小三治師に

感謝。


なずなは夏休み中に別の学校に転校しなければならないという
自分を待ち構えている運命を自覚している。
だから駆落ち(ごっこ)をするに至ったのだ。
それなのにこのセリフ。

典道も駆落ち(ごっこ)に付き合わされる間に、
なずなの抱えている問題に薄々気付いた。
なぜ駆落ち(ごっこ)をするに至ったのか、という事情に。
その彼がなずなから最後に受け取ったメッセージが
「今度会えるの、2学期だね。楽しみだね」

切ねぇ~~~~!
小学生にして、こんなにも切ねぇ体験をしてしまった2人が
この後どんな人生を歩めるというのか!


まっ、このあと典道は
【末端価格1グラム2万円の火薬】
に手を出してしまった“某壱成”の代わりに
「かぐや姫を月に帰すための打ち上げ花火」を
作ることに没頭するようになるんだけれどね。


なずなは……


永遠にあのままだい!
「エイエ~ン!」
「そんなベタな野田秀樹のものまねを…」




「この役はもう二度とできないよ」
「打ち上げ花火」の時、僕は彼女にこんなことを言った。
当時彼女は中学二年の十四歳。彼女の役は及川なずなという思春期の女の子だった。思春期は人生の中でも最も特異で、しかも短い瞬間である。彼女が二度と演じられないと言ったのはそういう意味だった。

思えば彼女は昔からテレビには大人っぽく映る子だった。「打ち上げ花火」のオーディションの時、こんな子がいるけど、とプロデューサーが持ってきたビデオにはシャンプーのCMが入っていて、そこに登場する女の子はどう見ても十八かそこらの立派な「女」だった。
「いや、いくらマセてる役って言ってもこれは行き過ぎでしょ」
ここで終わっていたら彼女との出会いはなかった。まあ、会うだけ会ってみてよ、という一言で僕は奥菜恵と出会うこととなった。初めて見た第一印象は十八どころか、中学二年というものでもなく、小学五年という感じだった。
まあ、こんな正体不明な女の子は他にはいないということだけは確かだ。
高校を卒業して彼女はきっとテレビや写真の中でどんどん成長して行くのだろう。でも実物に会うとやっぱり全然変わらぬ奥菜恵に違いない。
卒業おめでとう。

                        岩井俊二