(1960年)浅沼稲次郎暗殺事件
日比谷公会堂で開かれた三党党首立会演説会で演説中の浅沼稲次郎(社会党委員長)が17歳の右翼少年・山口二矢に殺された。
浅沼はほぼ即死、逮捕された山口も、収容された少年鑑別所の単独室で11月2日に自殺した。
犯人の名前が明かされていることからも分かる通り、少年法の規定を無視して、山口の名は当時実名で報道された。
どんな残虐な事件を起こしても、未成年というだけで匿名にしてしまう昨今のマスコミのスタンスとは大違いだ。
この暗殺事件の詳細を知りたい方には、沢木耕太郎の『テロルの決算』をお薦めする。
浅沼・山口どちらの側にも決して偏ることなく、それでいて、味気ない、悪い意味での俯瞰的描写に陥らず、両者の実像に深く迫った傑作である。
こういうルポ物にありがちな、特定のイデオロギーに貫かれた解釈もされておらず、変にバイアスのかかった視点に毒されることもないので安心して読める。