11月1日(火)16/21℃ 

森の癒し 夏目漱石
夏目漱石が文部省派遣で英国留学をしたのは明治33年9月から2年3か月ほど その間滞在先のロンドンで「神経衰弱」の状態に陥ったことはよく知られています

それは妻鏡子宛への手紙にもその症状や状態が書かれているが、同じくロンドンにいた岡倉天心の弟、岡倉由三郎が「夏目発狂セリ」と文部省へ電報を打ったことでも相当深刻であったようです


現在的に言えばそれはうつ状態、心身の疲弊と置き換えることができます その状態からいかに心癒されたかを推測してみました

それは漱石がスコットランドの知日派の富豪・ディクソン氏から個人的に招待され、森林高原の保養地ピトロッホリーに3週間ほど滞在した時

また定かではないが帰国の船を延ばし、その森での滞在を延長したこと

更に帰国後、随所でこの森の中での体験がいかに良かったかを発出していること

例えば坂本雪鳥著「修善寺物語」に看護者に語る漱石の自然に対する畏敬の念や目を輝かせて語る自然の素晴らしさが筆録されている


1909年発表の「永日小品」の中で、ピトロッホリーの自然に関する描写は漱石が残した随筆の中でもとりわけ美しくかつ詩的です

またその後の作品「草枕」に自然における表現にその体験が継承されているという漱石研究者の話


つまり漱石は意図したわけではないが、スコットランドのピトロッホリーで毎日の森の散策から、自然との交わりの中で徐々にうつ状態から心癒されたものと推察するものです

改めて包容力のある自然の森は、母の胎内に似て安らぎと人間の心身の癒しとなるオアシスだと確信するものです
(人生史 散文から)


上記の写真は全て今朝の千里南公園の散歩道から
秋だね!
