7月28日(金)26/36℃ 

川柳風五七五句集(4)
頑爺の自由律 川柳風五七五句集(4)
頑爺2011〜
㉗
・腹を割り 本音話してまたこじれ
・急行が来たけど普通に乗っていく
・電車待つ人を観察暇つぶし
・ジジババが向き合い歩く医院前
・老い二人 急に抱き合う 震度8
・歳とったな 同級生の合言葉
・男には不能 無能が罵詈(ばり)ことば
・箴言に夫婦は愚痴(ぐち)の吐け場なり
・老いたれば傲慢偏狭なに悪い
・ええ女ええ男とも弱みあり

㉘
・人柄も賞味期限があるらしい
・ケイタイに大声怒鳴る人がいて
・バカにすな怒声の爺へそれ返す
・こんにちは声掛けすれば案山子さん
・お婆さん呼んで振り向きゃお爺さん
・最後には花咲爺じいで死にたいな
・暖かい布団の中が至福なり
・過疎地でもバス停あれば街出れる
・雪の上イノシシ足の乱舞跡
・雪の上 雲上歩く気分なり

㉙
・山歩き また会った人そっぽ向き
・ニュース先ず都会の雪を大げさに
・山頂で小さな悩み吹き飛ばす
・道教え教えた人に道を聞く
・ドングリも大小ありて背比べ
・休日は大きな顔して家を出る
・山歩き 生きているぞとセルフ撮り
・小雪どき小川お喋り春近し
・寒山で幸せを知るホッカイロ
・山柿に食べごろ来たと鳥の群れ

㉚
・頂上で下界の場所にある想い
・山歩き近いトイレは藪の中
・山歩き図書館で会う同じ人
・水ぬるみ木陰の草も顔を出す
・遠くからヒヨドリ騒ぐ山ガール
・杉林 枝すり合わせ花粉まく
・キセキレイ尾っぽピクピクヒコ太郎
・山の中 時々クシャミこだまする
・紅梅を見上げる顔に雪が舞う
・誉められて いい気になって恥さらす
・風呂敷に夢を広げてしまらない
・洗うたび いい日旅立ち髪流れ
・饒舌と無口二人で酒を飲む
・山歩き 足腰鍛えボケ防止
・冬枯れに残り柿食う野鳥かな
・急な雪 囲碁の黒目が白くなり
㉛
・古傷と向かい合うから認め合う
・一言で物知り顔の鼻が折れ
・珈琲のお変わりできる店探す
・速足と遅足二人けつまずく
・憧れの隠居爺ジイになったのに
・聞き違い 思い違いに取り違い
・黄砂舞う 髪に栄養与えるか
・老い先はナビ検索で解るかな
・内緒だが娘の歩き方オレに似る
・句ができた されど手元に紙が無い

㉜
・書きものを探す間に句を忘れ
・性格を夢で知らされ納得す
・メタボ腹 大黒様へあと少し
・大クシャミこれは花粉か黄砂かな
・もの言えば唇痛し口内炎
・夜桜としっぽり濡れる色気なし
・芋食えば腹が鳴るなり放ラッパ
・配色を熱帯魚から教えられ
・頭の中 耳鳴り虫を飼っている
・雨桜 見上げるオレは濡れ落ち葉
㉝
・スマホ見るこれは俺には魔法かな
・いつまでも掘り起こすなよ古い傷
・先逝くは必ず俺と決めている
・思い出と年金だけの老い暮らし
・グータラは煽てられると腰を上げ
・匂うわよハゲより怖い加齢臭
・老いた耳 いいように聞き解釈す
・防災の変換文字は忘妻に
・ヘソクリを持ってみたいな隠すほど
・ミニ服に目玉飛び出し引っ込まぬ

㉞
・並ぶ靴 小さな靴がデカイ口
・待合で一句思いて一人笑み
・拘り症 こだわりとれば頑固だけ
・煽てられ その気になって飛び降りる
・喧嘩すりゃ過去の火の粉が降りやまぬ
・外嵐 雷響き横イビキ
・昔事 思い出違いかみ合わぬ
・思い込み思い違いのよじれ糸
・一言に万も返りて言いそびれ
・生き甲斐は欲と絡まり生き辛い
㉟
・絵を描きてモネの気分の至福どき
・断捨離に想い出服が捨てられず
・老い老いと言えば言うほど老い感じ
・雨降れば集めて速し下水道
・久々に晴れ間見上げてハックション
・認知症全て忘れていいかもね

川柳風五七五句集(5)
頑爺の自由律 川柳風五七五句集
頑爺2012〜
㊱
㊱
・散歩犬 面影ありて振り返る
・古き良き 想い語れば違う人
・良いムード 傍へ寄るほど遠ざかる
・視線浴び 娘は綺麗になっていく
・GWは家の修理をあてがわれ
・ジョーク言う 誰も笑わず知らん顔
・腹立つも極楽トンボについつられ
・よく見ればパンくず運ぶ蟻二匹
・忘れたら 歩いてる内思い出す
・パソコンに漢字教えてもらいつつ
㊲
・このオレがスーパー買い物好きになる
・鍋うどん 辛子蓋開き口火の粉
・芋食えば谷間に響く屁のラッパ
・夢かない万歳すれど夢の中
・狭心症ノンビリせよと医者言うも
・耳鳴りのリズム本日パピプペポ
・関心を欲しさげるほど迷路へと
・諦めと折り合いつけて老いの道
・夫婦とてほどほどの間で息抜きを
・まさか 雪今頃それは殺生な

㊳
・ダックスを見るほどオレによく似てる
・メカ音痴なのに触りてまた壊す
・宝くじ当たった夢も見てみたい
・深い欲 深いつもりが浅い知恵
・診てもらいニトロ処方と狭心症
・ウップンも噴火をすれば沈下する
・バスの旅ジジババツアーみな元気
・ピカピカの親子で埋まる桜下
・夕食は電子レンジにチン呼ばれ
・詳しくはウエブで見てと言われても
・思い出の 昔の手帳 暗号が
・時は金 その金ありて大金持ち
・病院は夫婦同伴多いこと
㊴
・夕歩く 匂い三軒サンマかな
・春寒波 六百円のキャベツかな
・窓映る あの爺どこの野暮かいな
・お互いの寝姿を知る古夫婦
・ニンニクは忘れた頃に指摘され
・髪もなく預金もなくて寝貯めする
・素敵だと言われその気の身だしなみ
・大口は寝ている時はおちょぼ口
・お喋りが気にならない日気になる日
・愚痴喧嘩 仲を取り持つ狸そば

㊵
・口喧嘩 退屈しのぎ老い夫婦
・寝入りばな 横の寝息で目が冴える
・皴(しわ)増えて同じ歳だよサユリスト
・厳冬が暖冬なりて肌あわて
・羨まし理想夫婦に落とし穴
・熟年は どこが熟した皴の数
・大声で歌い出したが歌詞忘れ
・不発弾そろそろ信管外そうか
・カラオケは一人に限る聞く不幸
・ゴキブリに気取った美人飛び上がる
・無駄話し忘れないのもムダ話し
・渋滞に車待たせて桜撮り
・エドヒガン森を彩る紅化粧
㊶
・ウグイスと谷間に響く真似の声
・政治家は口だけ上手い代偽士か
・食いたくも食うに食われぬ二枚舌
・気にかかるミニスカートに春吹雪
・家人留守 静けさを知る家の中
・理不尽は我が家だけではなさそうだ
・医院にも繁盛あれば閑散も
・晴れた朝 新婚さんが干し布団
・奥方は匂い敏感 犬の鼻
・へそ曲げて己が意見を押し通す

㊷
・老年は大志を胸に夢を追う
・ウキウキと山里歩き春息吹
・杉林 恐る恐るにマスク取る
・ウグイスは練習期間ズッコケる
・陽だまりで猿の家族は毛繕い
・こだわりも 根こそぎ消える大津波
・もの固着 価値観変わる大津波
・畦道のオオイヌノフグリよくよく見
・春嵐弱いものみな吹き飛ばし
・見上げれば桜一輪森に舞う
㊸
・森陰で愛の交わり若ツバメ
・山歩きどこもジジババ花盛り
・ヒヨドリのつばみし木蓮いと不味し
・待ちきれずウグイス鳴いて桜咲く
・春が散る桜吹雪が目に入る
・山里に有機肥料の風が舞う
・散る桜 咲くツツジとがハイタッチ
・ヤマフジの美し香り蜂と嗅(か)ぐ
・田舎こそ情緒育てるいい所
・初夏なのに北は雪だとTV言う

㊹
・百歳は あと何年か指を折る
・花惑う 季節異常に人惑う
・春雨じゃ濡れて歩こう傘たたむ
・金自由できた頃には空の上
・ジジババの有効期限はあと僅(わず)か
・山歩き夏の虫かな腹の虫
・鳥たちが種を運んだ花が咲く
・バスの旅 前の夫婦はいがみ合い
・急な雨もらったパンフ傘代わり
・カラオケは青い山脈 老い春だ
・回想は走馬灯にて浮かび出る
・眠れない 三億当たりたらの夢
・ウオーキング徘徊とかと違います
・似合わない それより足が短すぎ
・老眼鏡 頭に忘れ落ちて踏む
・素朴さと野暮との違いオレどっち

㊺
・探し物 何を探すかもう忘れ
・この薬 何に聞くのか聞き忘れ
・予定した買い物リスト置き忘れ
・ニュース見る 違う目で見る美人アナ
・いつまでも いると思うなこのオレも
・濡れ落ち葉 焚火もできず舞いもせず
・イイ男 どうでもイイと言う男
・オレの脳 どうでもイイことよく記憶
・頭では 分かったつもりその場では
・老い頭 迷路益々抜けがたく

*写真は全て千里南公園の散歩道から