ベートーベンと森の癒し Re.
ベートーベンが 20代後半からひどい聴覚障害に悩まされ、一時遺書も書くほどに精神的危機に陥っていたことは知られている
医師の勧めでウイーン郊外のバーデンの森の保養地に滞在した
やがて聞こえない聴覚から人間関係の煩わしさを離れ、農村や田園、森の中での隠遁生活を希望する旨を何度も知人宛の手紙に書いている
また後に「自然が彼の唯一の友であった」と友人が書いているが、ベートーベンの手記にこんな文面がある「私は一人の人間を愛する以上に一本の樹木を愛する「全能なる神よ!森の中で私は幸福である」と
また「森や田園にいれば不幸な私の聴覚を誰も虐めない 一つ一つの樹木が私に向かってハインリッヒ(神聖)と語りかける 森の中の恍惚! 誰がこれら全ての事を表現しようか」といった森と神を讃える言葉の数々が残る
また一人自然観察を好み、実際植物にも相当詳しかったようだ
後にベートーベンの弟子の一人シントラ―は「先生に同行して野原や山や谷や森の中を歩く幸福が数えきれないほど度々私に与えられた 先生の心を魅了したのは自然の諸法則ではなく、むしろ自然の本源的な力であった」(ロマン・ロラン著ベートーベンの生涯から)と述べている
私はこの自然の本源的な力を、20余年箕面の森を歩いてきて実感として理解する
ベートーベンのその音楽の創造力と生きるエネルギーを与え続けていたのはやはり無言の自然・森の力であろうと想像する
私は今、バーデンの森や田園の自然の中にいる喜びを表現したというベートーベンの交響曲6番「田園」を聴きながら至福の中に浸る
*写真は全て千里南公園の散歩道から 🤗