みなさんこんにちは! スタッフの田沢五月です。
『東北スーツ物語』では、「へっちょはいだら へっちょこだんご」(岩手)を書きました。
「へっちょこだんご」は甘い小豆の汁に、真ん中がくぼんだお団子が入ったおやつです。
今回は岩手の県北、二戸市を舞台に書きましたが、青森県や私の故郷である岩手の沿岸北部でも、以前はよく食べられていました。
子どもの頃、明治生まれの祖母といっしょによく作りました。手のひらで転がして丸め、中央を指でへこませた団子が、まな板の上に並びます。大きいものや小さいもの、いびつなものも……たくさんのおへそが並ぶと、楽しくて、くすくす笑ってしまいました。味よりもその光景が印象に残っています。
今では作る家庭は少なくなりましたが、二戸地区では、産直で必ずのように「へっちょこだんご」を売っています。女性たちが故郷の味を守り続けているそうです。
二戸といえば、「へっちょこだんご」と共に頭に浮かぶのが浄法寺塗(じょうぼうじぬり)です。
漆器は日本が誇る伝統工芸品ですが、国内各地で使用される漆のほとんどが輸入に頼らざるをえない状況で、国産漆はわずか5%といいます。そしてその7割が二戸市で生産され、国宝の修復などにも利用されています。 小学生も加わって、漆の木を育てる活動も行われています。
古くから伝えられてきた漆塗りの技を途絶えさせたくないとの思いも込めてこのお話を書きました。
えっ? 「へっちょはいだら」ってどんな意味かって?
それは……お話を読んでいただければ幸いです。