ポンペイには気候変動問題に対して、Pohnpei Climate Change Outreach Committee(気候変動問題対策委員会)なるものがある。これは主に教育系機関、環境系の行政、NGO、NPOそして各国大使館(アメリカ、日本、オーストラリア)などが組織してできたもので、先日のアースデイもこの委員会が母体となっている。
今回、オーストラリア大使館が予算をつけ、ポンペイの10の集落においてワークショップを開催することになった。これは簡単に言うと各集落を訪問し、気候変動によって起こっている問題を周知し、それに対してこの集落ではどう対策をしていくかを考えるものである。今回、委員会を代表して、EPA、International Organization Migration、Conservation Society of Pohnpei、その他2団体のスタッフが集落を訪問した。
5月10、11日、一泊二日で集落サラプックで行われたものにカウンターパートとともに参加をした。
サラプックはポンペイでも最も山奥に位置する集落で、中心地コロニアからも車で1時間半ほどかかり、直前のアクセスロードは四駆でなければ登るのが難しいほど悪路である。ポンペイ最高峰ナーナラウトへの登山口でもある。村人は160人余りでほとんどの人が農業に携わり、そのほか裁縫、公務員などで生計を立ており、半自給自足といった感じだ。ワークショップは小学校に隣接する集会所で行われた。
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集会所。
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村唯一のアクセスロード。
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ポンペイではお決まりの村長、お偉方のスピーチがあり、2時過ぎよりワークショップが始まった。まず、ここで起こった災害の歴史をタイムラインに書き込んでいく。一番古いもので1900年頃から。これにより、災害の種類、頻度の変化を可視化していく。定かではないが、これにより災害の質、量の変化を認識するのが目的のようだ。これについては近い年代ほど、人々の記憶、言い伝えも残っていることが多いだろうから、量の変化を確認するというのは少し疑問が残る。
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次に村の地図を村人に描いてもらう。この目的ははっきりわからなかったが、村の主要な建物、重要なポイントを確認していた。グループで話あったのちに、村人がプレゼンをした。
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村の地図をプレゼンする副村長。
初日の最後は気候変動の構造をスタッフが説明。温室効果ガスの仕組みから、エルニーニョの仕組み(太平洋の島国なので、理解が重要なのだと思われる)、そして、これらがこの村にどのような結果をもたらすのかという話。
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二日目、まず初めにカウンターパートがポンペイの河川の汚染状況に関する最新のデータを説明。近年ポンペイは人口の増加に伴い、生活排水による汚染、そして豚のし尿による汚染がはなはだしくなっており、問題となっていている。特に島の南部では、上水道はなく川の水が生活用水であるため、その影響は大きい。
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プレゼンをするカウンターパート。
最後のプログラムはこれらの現状を踏まえて、この集落では何が問題で今後どういった対策が必要なのかをアクションプランとしてまとめ挙げる。これはスタッフは司会、進行を務めるのみで村人が議論し、答えを出していく。
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この点、開発協力の形としてこのような方法がとられていることは驚きだった。スタッフもポンペイ人であり、実際に答えを出しているのも現地の人。大国が目に見えてわかりやすい資金が物を言わすような開発協力をしているのとは違う。
ワークショップ終了後に、この驚きをスタッフに伝えると、スタッフも「以前はスタッフが答えを与えるようなことをしていた。けれどそれでは効果的ではないということに気づき、今回新しい方法に挑戦している」のだという。住民参加型の開発協力が現在の世界のトレンドではあるが、それをここポンペイで目の当たりにすることができたのは大きな学びになった。何より、(少し上から目線かもしれないが)ポンペイ人自身が自立的に未来を見据えて行動をしているということが実感できて、個人的にすごく嬉しかった。
村人が導いた重点項目は、水の確保、森林伐採、公衆衛生(下水、豚のし尿の管理)。
スタッフも今後フォローアップを行っていくという。
彼らの自律的な発展を願う。
24年度2次隊 浜川
今回、オーストラリア大使館が予算をつけ、ポンペイの10の集落においてワークショップを開催することになった。これは簡単に言うと各集落を訪問し、気候変動によって起こっている問題を周知し、それに対してこの集落ではどう対策をしていくかを考えるものである。今回、委員会を代表して、EPA、International Organization Migration、Conservation Society of Pohnpei、その他2団体のスタッフが集落を訪問した。
5月10、11日、一泊二日で集落サラプックで行われたものにカウンターパートとともに参加をした。
サラプックはポンペイでも最も山奥に位置する集落で、中心地コロニアからも車で1時間半ほどかかり、直前のアクセスロードは四駆でなければ登るのが難しいほど悪路である。ポンペイ最高峰ナーナラウトへの登山口でもある。村人は160人余りでほとんどの人が農業に携わり、そのほか裁縫、公務員などで生計を立ており、半自給自足といった感じだ。ワークショップは小学校に隣接する集会所で行われた。
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集会所。
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村唯一のアクセスロード。
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ポンペイではお決まりの村長、お偉方のスピーチがあり、2時過ぎよりワークショップが始まった。まず、ここで起こった災害の歴史をタイムラインに書き込んでいく。一番古いもので1900年頃から。これにより、災害の種類、頻度の変化を可視化していく。定かではないが、これにより災害の質、量の変化を認識するのが目的のようだ。これについては近い年代ほど、人々の記憶、言い伝えも残っていることが多いだろうから、量の変化を確認するというのは少し疑問が残る。
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次に村の地図を村人に描いてもらう。この目的ははっきりわからなかったが、村の主要な建物、重要なポイントを確認していた。グループで話あったのちに、村人がプレゼンをした。
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村の地図をプレゼンする副村長。
初日の最後は気候変動の構造をスタッフが説明。温室効果ガスの仕組みから、エルニーニョの仕組み(太平洋の島国なので、理解が重要なのだと思われる)、そして、これらがこの村にどのような結果をもたらすのかという話。
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二日目、まず初めにカウンターパートがポンペイの河川の汚染状況に関する最新のデータを説明。近年ポンペイは人口の増加に伴い、生活排水による汚染、そして豚のし尿による汚染がはなはだしくなっており、問題となっていている。特に島の南部では、上水道はなく川の水が生活用水であるため、その影響は大きい。
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プレゼンをするカウンターパート。
最後のプログラムはこれらの現状を踏まえて、この集落では何が問題で今後どういった対策が必要なのかをアクションプランとしてまとめ挙げる。これはスタッフは司会、進行を務めるのみで村人が議論し、答えを出していく。
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この点、開発協力の形としてこのような方法がとられていることは驚きだった。スタッフもポンペイ人であり、実際に答えを出しているのも現地の人。大国が目に見えてわかりやすい資金が物を言わすような開発協力をしているのとは違う。
ワークショップ終了後に、この驚きをスタッフに伝えると、スタッフも「以前はスタッフが答えを与えるようなことをしていた。けれどそれでは効果的ではないということに気づき、今回新しい方法に挑戦している」のだという。住民参加型の開発協力が現在の世界のトレンドではあるが、それをここポンペイで目の当たりにすることができたのは大きな学びになった。何より、(少し上から目線かもしれないが)ポンペイ人自身が自立的に未来を見据えて行動をしているということが実感できて、個人的にすごく嬉しかった。
村人が導いた重点項目は、水の確保、森林伐採、公衆衛生(下水、豚のし尿の管理)。
スタッフも今後フォローアップを行っていくという。
彼らの自律的な発展を願う。
24年度2次隊 浜川