京都駅ビル2階の観光案内所で、いつも『京ごよみ』をもらってくる。これは、京都市産業観光局が企画し、京都観光推進協議会が毎月発行しているものだ。16ページという薄さだが、情報満載。「特集」「イベント」「祭事記」「美術展」「劇場」「定期観光バス」など、その月の情報が網羅され、これを繰りながら、どこに行こうかと考えるのが楽しい。
さて、今日は、その冊子で見つけた、建仁寺の山内塔頭・両足院の、半夏生の庭園特別公開へ出かけた。
祇園・花見小路通に面した門から入る。
写真からも分かる通り、寺紋は、五三の桐。
両足院の入り口。
寺の名は、もと知足院といい、室町時代に改称したらしい。拝観料を払ったときに渡されたパンフレットには 「仏の別号『両足尊』にちなんで」とあった。また、ご住職による解説では、「両足」とは、徳と慈悲、あるいは知恵と慈悲とのこと。
門をくぐっただけで、期待が持てる。
やはり、禅寺のお庭はいい。
入り口から真正面なので、明るくなりすぎないようにという配慮だろうか。
上の写真は、お茶室から見たお庭。お茶室では、両足院寺紋の「月に星」の焼印を押したお饅頭と、お抹茶を頂いた。
お饅頭と言えば、ここ両足院こそが、饅頭始祖の寺なのだとか。元で修行した当寺開山・龍山禅師 が、帰国する際に連れて来た林浄因、彼が日本で初めて饅頭を作ったという。中国のマントウは肉餡だったが、僧のために、小豆で餡を作ったのだそうだ。
林浄因が饅頭を作ったその地は奈良らしいが、林家次男が店を出し、代々居を構えたのが京であった。今も、六角堂の西、中京区烏丸通三条下ルに饅頭屋町という地名が残る。
両足院開山の、龍山徳見は、下総の千葉氏一族である。その千葉氏の家紋が、この「月に星」。
それが、寺紋となり、飾り瓦にも使われている。
「月に星」は、上を向いた三日月の上部に星、という意匠もある。
家紋サイトで調べた限りでは、こちらの方が古い意匠らしい。
ただ、新しく葺き替えた飾り瓦は、「三つ巴」になっていた。「最近は、どこもそうね」と、寺の庶務担当の方。残念な。
これが、今日の眼目たる半夏生。白く花のように見えるのは葉っぱで、トラノオのような薄黄色の部分が花。満開というほどではないが、充分。
いいお庭だった。静かで、感じよくて。傾斜のある池泉回遊式庭園。苔はしっかり緑。丈の短い笹の群生も明るい緑で。
重厚で、美しい建物だった。全ての部屋が格天井なのも、珍しい。
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