散歩
ふしぎ
岩田 有史
雲が白いことも
風が音をたててふいてくることも
ささの葉が青いことも
犬が犬で
猫が猫で
あることも
不思議でたまらない
10歳のこの少年に眼に映った不思議は
永遠に また誰にとっても不思議である。
ただ 世なれたおとなだけは 無関心に通りすぎていく。
人間が不思議という場合
あり得ぬことが(人間の頭で考えて)あることを
不思議というのであるが ・・・
真実の不思議は 平凡な当たり前の事実にあるのではないか。
これを 妙ということばで讃嘆する。
存在するものはすべて 妙というより他はない。
妙と思われるのは
こちらの頭がぼけているか 何かにのぼせているからであろう。
私たちはあまりにも代用品の豊富な文化時代に生きているために
人間さえ代用品がきくと思いちがいして
・・・ 簡単にひき殺している
生きている人間よりも
・・・ そのポストの方が重要視されている。
静かに思いをひそめて
白い雲 青い笹 犬や猫の存在の不思議に
・・・ 素直におどろきたい。
そこに世界は ・・・ 無限の深さをもってくる。