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散歩
原点
宮沢 章二
鳥が鳥である 原点
・・・ それは つばさを持ったこと
魚が魚である 原点
・・・ それは 水中に生まれたこと
< おれはおれの原点について
一度でも考えてみたことがあるか ・・・ >
原点というのは
鳥なら鳥の本質 魚なら魚をたりたたしめているもの
これをとったら鳥でない 魚でない
・・・ そういうものをさすのだろう。
これをとりさったら人間でなくなるもの
サァ こんなことを私たちは考えたことがあるだろうか。
妙なわなに足がひっかかったものだ。
切実な問題だとは思わないけれど
なんだか足にまつわりついて離れない。
ふり切ったつもりでいても
いつの間にかへばりついている そういう問題。
切実でないといったけれど
実は人間にとって もっとも大切な問題。
心の内面のことだから
かすかだから 「 カッコいい 」 ことほど気にならぬ問題。
えらい大げさなことを言いだしたが 君にこたえられるのかい。
そうですね これがなかったら人間でなくなるものといえば
・・・ 宗教心でしょうね。
宗教じゃない。
人間でさえあればだれでもの胸の一番奥にひそんでいて
・・・ それゆえに忘れられている宗教心。
これから ・・・
恥を知る心
人を傷(いた)む心
人の苦しみに手を貸す心が流れ出てくる。
崇高な行為 尊いはたらきの源泉となる心。
この心があってはじめて 山も川も花も鳥も美しく
人間に生まれてきてよかったと 生き甲斐を感ずるのでしょう。
生みつけられた人間が 「 もう一度生まれる 」 のです。
科学技術文化の混迷の中で
・・・ みんなが探しているのは これでしょうね。