年間被ばく線量 (平常時 一年間に浴びても問題ない放射線量) = 1ミリシーベルト。
「国際放射線防護委員会」(ICRP)と国内の法律に定められたものです。
ところが 今回の福島原発事故が起きると ・・・ 政府は この基準を「20ミリシーベル」に引き上げました。
年間被ばく線量 (緊急時 一年間に浴びても問題ない放射線量) = 20ミリシーベルト。
引き上げたのは なぜか ・・・ それは ICRPが「緊急事故後の復旧時は1~20ミリシーベルトでもよい」といっていることを受け、原発事故の復旧が長期化しているので 健康に影響が及ばない範囲で、基準を緩めようと ・・・ 政府は判断したのです。
しかし、これはオカシナ話です。
緊急事故だからといって、われわれの放射線に対する防衛能力が上がることなどあるでしょうかね。
1ミリシーベルトを20ミリシーベルトに引き上げるということは、われわれ住民たちの命を危険にさらす確率を拡大させることですよネ~。
さて、政府や自治体が発表している放射線量とは 汚染された塵がフワフワと飛んでいる「空間線量」です。塵が落ちれば、落ちた先が高くなるのは理屈通りです。
被ばく放射線量 = 外部被ばく + 内部被ばく ・・・ なのですが
政府や(御用)学者がいっている「1年間に100ミリシーベルト浴びても 問題ない」 ・・・ というのは すべて「外部被ばく」のこと ・・・ です。
つまり 身体の表面に放射能汚染物質がついたり、大気中を漂う放射能汚染物質が発する放射線に晒された被ばくのことで、これはそれほど深刻ではなく、花粉や黄砂と同じなので布で拭いたり、シャワーを浴びたり、お風呂に入れば除去できるものなのです。
実は それより問題なのは「内部被ばく」 ・・・ 放射能汚染物質が呼吸や食物によって身体に入ることです。
ICRPは 「放射線量」を計算するときには、外部被ばくだけではなく「外部放射線+内部に取り込んだもの」の合計で出すように勧告しています。
しかし、政府や東電は このような勧告は一切考慮していません。
政府に「われわれ周辺住民を被ばくから守る」という意識がないためではないでしょうか。
例えば、先日の私の一時帰宅で記録された放射線量(1時間)=1マイクロシーベルトを使ってみます。
すると、政府は 次のような計算をするはずです。つまり
年間被ばく線量 : 1マイクロシーベルト(1時間) × 24(1日) × 365(1年)
= 8760マイクロシーベルト = 約 8.8ミリシーベルト
「年間20ミリシーベルト」を掲げる政府からすれば ・・・ 「人体にはまだ影響がない」ということになります。
しかし しかし です ・・・
放射能汚染というのは その場所を等しく汚染します
大気中の放射線量があるということは、大気中に漂う花粉や黄砂のような放射能汚染物質もほぼ同じ線量があるということなので、これが呼吸を介して身体の中に入ります。
そして、その地域にある土壌が汚れ、水が汚れ、野菜が汚れます。
つまり、この地域で1時間過ごした放射線量というのは
(大気) 1マイクロシーベルト +
(空気中の汚染物質が呼吸で体内に入る) 1マイクロシーベルト +
(食品や水を介して身体に入る) 1マイクロシーベルト
= 3マイクロシーベルト ・・・ 「3倍」です。
これで年間被ばく線量を計算すると
年間被ばく線量 : 3マイクロシーベルト(1時間) × 24(1日) × 365(1年)
= 26280マイクロシーベルト = 約 26ミリシーベルト
アレレ~ ・・・
政府が引き上げた「年間被ばく線量」すらも ゆうに超えてしまうのですが ・・・ 。
もしかすると ・・・ 避難対象である半径20km圏外にお住まいの方たちの中ですら、
年間被ばく線量が20ミリシーベルトに近づいている方もおられるのでは ・・・ と心配です。