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峠旅 天生峠~牛首峠~二ツ屋峠~楢峠へ!!その1

2007-10-12 21:46:39 | Weblog
《峠旅 天生峠~牛首峠~二ツ屋峠~楢峠へ!!その1》

 奥飛騨の旧河合村天生(あもう)、越中最南部の利賀村水無は、とても辺鄙な山間の地である。

 そこにある天生峠、牛首峠、二ツ屋峠、楢峠を一日で越えようというのが今回のプラン。ダート区間も多く、トータルの標高差も半端ではない。現地情報も乏しく、一部は高岡のサイクリングクラブさんより情報をいただいた。

 東海北陸自動車道を清見インターで降り、小鳥川沿いに北上をする。下小鳥ダムの先、国道360号に出会うところにクルマを停めた。

 ここより峠旅の開始、ブルーに塗られた橋を渡って天生への上りに入る。行き成りの九十九折の坂は、まだ目の覚めぬ脚には応えた。

 まだ紅葉には早い谷を延々と上ってゆく。天候はやや曇り、夏の暑さが嘘のようで、快適にペダルを漕ぐ。

 実は以前、この道路の路肩で小熊を見たことがある。そのことは仲間に内緒であるが、この地域に熊が多いことは確実であった。

 黙々と、ただ黙々と上りつめたところに赤い三角屋根の建物が見えてきた。ここが天生峠(1290m)、泉鏡花の「高野聖」の舞台にもなったところである。峠一帯は高層湿原で、春には水芭蕉の花が咲くという。

 苦しい上りの後は至福の下り。ウィンドブレーカーを着こむが、それでも身体が冷え込むくらい寒かった。白川郷が見下ろせる位置までくると、谷の向こうに白山連峰がドカンと眼前に現れ、思わず自転車を停めた。

 下りきったところに合掌造りの農家があった。庭先の水田では稲刈りの真っ最中で、はさ掛けされた稲と合掌造りの家との組み合わせが美しかった。1930年代、ここを訪れたブルーノ・タウトは合掌造りを絶賛したという。

 白川郷は20年ぶりという仲間のために、荻町の合掌集落を訪れる。ユネスコの世界遺産にも登録されたせいか、観光客でにぎわっていた。凄いということは分かるが、少し離れたところにポツンとある合掌家屋のほうが感動できるように思う。

 島の集落付近より牛首峠への上りに入る。記憶にある地図では2本のルートがあり、地元の方に確認をするが要を得ない。牛首谷の旧道を上がってみるが、数キロ行ったところで道は藪の中へ没していた。

 気を取り直し、もう一つの牛首林道にルートを取った。クルマの通らない路上で質素なランチを楽しみ、意を決して林道を上がっていった。道はすぐに未舗装となった。

 多少、路面は荒れているものの、タイヤはグリップしてくれて快調?に上へ、上へと上がっていく。ときより振り返ると白山連峰が大きく構えていた。ジグザグを描くのは白山スーパー林道、その上部が三方岩岳であろう。

 陽が傾きはじめ、路肩のススキの穂がシルエットになってきた。秋を感じさせる風景である。道が平坦になり始めると峠は近い。最後の力を振り絞ってペダルを漕ぐ。

 「牛首線」の石碑が建つところが牛首峠(1075m)であった。道中で見つけたアケビをほおばり、後続の仲間を待った。まさしく峠旅、人気のない岐阜と富山の県堺をまたがる峠は静かそのものであった。