このシリーズの始めに国民、都道府県民、市長村民のための医療と書きました。その医療とは何なのでしょうか?どうやって見つけるのでしょうか?ヒントは数日前に書きました。上手くいっていない、軟弱な医療システムに目をつける。しかし日本の方から耳にする言葉でニーズがあります。ニーズがあるかどうか?ここを話す人が多いと思います。
ニーズって何なのでしょうか?日本の方が口にするのは求められているかどうか?この傾向があるのはどうしてなのでしょうか?診療看護師の意識調査を読んで思ったことは以前書きました。APNが必要とされているか?と言う論議自体がおかしいのです。APNは新職種。APNについて知らない人、見たことも経験したことない人に、OOする人ですから、と説明したところで受け入れられる、と思うことがそもそも間違いなのです。
こう言うと、ええ?必要とされていなければ、必要のない職業なのではないでしょうか?と、、、日本の方は考えるようです。
明治維新後に外遊へ出かけた政治家たちは海外で車や鉄道を見て驚きましたよね。そしてその有効性を理解し、日本へ同じものを作ると躍起になった。外国ではじめてのものを体験したからその価値を知り得たのです。逆に車や鉄道を見たことも聞いたこともない外国へ行かなかった日本人はその重要性を理解するまでに時間がかかったはずです。鉄道ができて経験して初めて、その良さを知ったと思います。もし、鉄道を作る前に鉄道を必要だと思いますか?と国民にアンケートを取っていたら、おそらく必要ない、と答えた人が多かったはず。何故なら、それまでに慣れ親しんだ、馬や籠やそして自身の足で十分な生活を送っていたから。もっと早く目的地へ着けると説明されても理解できた人は少数派だったのではないでしょうか?明治の産業革命は既存していた概念を大きく変えるものだったと思います。変わる前に、変わった後の自分への影響や捉え方の変化、風習や文化への変化を想像できた人がいたのでしょうか?
人間慣れ親しんだものを好み、新しいものを許容するのに時間がかかるのは常です。だから新しいものを持込時に経験をしていない人に必要性を聞くなんて意味がないことなんですよ。聞けば拒絶されるのは当然なんです。だから悪いことは言いません。APNのニーズ云々の視点は捨てて、日本の医療がうまく行っていないところや軟弱なところを注目していきましょう。私が言うニーズはこれなんです。他の言い方をすればギャップ。対象者である国民が認識していない不公平性による不利益を解消すること。それをできるのが看護分野ではAPNなんです。「このOOのケアモデル導入により△△の部分が強化され、XXで□□の成り行きになる人が減り、医療費が削減できる」こんな感じのビジョンステイトメントが言えるようになりましょうね。
続く
冒頭写真: 久しぶりに仕事終わりに先輩NPと一杯。保健機構の中枢オフィスが入っているビルの前で〜