当方は、憲法について特に詳しく学んだ訳ではない。だから以下の記述は一般論であり、当方の意見は、偏見や誤解・曲解が多いと思われる点も多々あるだろうが、その点についての評価は、読んで頂く諸氏の良識に委ねたい。
さて、憲法問題について考える場合の一般的スタンスは、「改正」か「加憲」か「擁護」の三つである。「加憲」は「改正」に繋がるので、実質的には「改正の要否」のいずれの立場に近いかにより、人夫々の憲法観は変わる。背景には、その人がどんな政治的信条や感覚の人かにより、「憲法改正の要否」に関する関心の度合いも大きく異なってくるのだろう。
これ迄の世論調査の結果を観ると、改正賛成と反対が拮抗している。例えば、H26.5.3日の調査結果(読売新聞)では、憲法改正に賛成「42%」反対「41%」となっている。質問の項目や仕方によって結果が異なる。戦争放棄を定めた9条の改正に賛成か反対か、憲法改正に関する手続きを定めた96条の改正に賛成か反対かとの問いに対しては、いずれも反対の世論が多い傾向が観られる。
ところで、当方は、改正賛成派の爺である。何故改正が望ましいか。いろいろあるが、次の4点について略記する。
①憲法制定約70年、この間世界情勢は、日本の憲法「前文」に謳われているような理想的な情勢とは随分様変わりしている。今後も日本は、「・・平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した・・」等と云う純粋な決意だけでは、厳しい国際環境の中で、この国と民の平和と安全を維持出来る状況ではなくなっていること。
②戦争放棄・戦力不保持等を定めた9条の条文内容と、現実の日本の防衛体制やその実態との関係、更にはその間の矛盾・乖離が大ありである。最近は一部の野党を除き、「自衛隊は憲法違反」等と正面から論陣を張る論客も影を潜めている。しかし、現実はもはや「憲法解釈」だけで、そうした問題に対応することは、もう限界に来ているように当方には思えてならないこと。
③憲法は不磨の大典だから改正のハードルは高い方がいいとの意見もある。しかし、憲法の絶対不可侵性を盾にして、時代の要請上真に必要な改正までも封殺するような条文はやはり見直すべきであること。
④現憲法は決して自主的に制定された憲法ではないため、前記のような憲法上の諸矛盾が顕著になっている。だからこうした諸点について全面的に見直す理由と必要性があること。以上が、当方が「憲法改正が望ましい」と考える主な理由である。
④項に関し、若干補足する。改正反対側の識者等は、現憲法は、押しつけ憲法ではなく、自主的に起案制定されたものであるやに強弁している。しかし、敗戦直後の完全な占領統治下で、占領軍の干渉等を全く受けずに、現行憲法が制定されたとは、常識的に考えても理解出来る話ではない。この点について、当方が学生の頃、憲法の講義担当の教授は、「押しつけ憲法」であることを認めたうえで、今で云う「憲法擁護論者」だったことを大変懐かしく思い出した。
なお、最近読んだ「なぜ、基地と原発を止められないか」戦後70年の謎を解く(矢部宏治著)の中にも、現憲法の制定に関して次のような記述があったので、要点を転記しておく。
「昭21年2月4日から12日にかけ、GHQ民生局次長ケーディ大佐を執筆責任者とし、25人の軍人達が11の章毎に分かれて書き上げ、この草案が日本側に提案されて制定されたものである・・・」憲法制定に関するこうした記録は他にもあるが、割愛し、次回からは当方が現憲法について特におかしいと思っている点を取り上げたい。
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