<画像出典元:http://www.imdb.com/title/>
ベン・ウィショー出演の映画を観た。
2014年イギリス製作、監督: ホン・カウ
映画『追憶と、踊りながら』予告編
<moviolaeigaさんよりお借りしました>
息子の真実を知らない母。
真実を隠し続けようとする恋人。
悲しみが二人を分かち、そして二人を結びつける。
初老を迎えたカンボジア系中国人のジュン。
ロンドンの介護ホームでひとり暮らしている。
英語もできない彼女の唯一の楽しみは、息子のカイが面会に来る時間だった。
優しく美しく成長した息子のカイ。
言葉のわからない彼女にとって、
息子のカイだけが、ロンドンと彼女をつなぐ存在だった。
ジュンの気がかりは息子が友達に優しすぎること。
なぜカイは、友達のリチャードと暮らすのか。
そのために自分をこんなホームに入れるなんて。大切なのは家族なのに。
そんな文句をカイに言うが、彼は返事をはぐらかし、
明日のディナーを自分の家で、とジュンを誘う。
<引用元:https://www.amazon.co.jp>
<画像出典元:https://www.amazon.co.jp>
良質な短編小説を読み終えたような充実感。
淡々と抒情的に物語は静かに進んで行きます。
母が息子を愛し、彼の親友に嫉妬する。
息子の恋人(リチャード)は、
母親の存在が大きくて重荷を背負う彼(カイ)を気遣う。
それぞれの想いがすれ違い、
ーーーそして、愛するものを通じて交差する。
リチャードは、亡き恋人の母を助けたいという一心で
中華系の友人ヴァンに通訳を頼む。
頑ななジュンの心を開こうとあれやこれやと
リチャードもヴァンも忍耐強く、ジュンと向き合う。
母ジュンに思いを寄せる同じ施設の老人アラン。
そんな2人をくっつけようとするリチャード&ヴァン。
ヴァンが通訳で2人の気持ちの掛け渡し、
リチャードが料理の腕をふるってデートさせたりする。
ーーーだが、
少しずつお互いが分かるようになると、
気持ちのズレが生じて離れて行ってしまうだった。
中国語の字幕が出ないので、
ヴァンの通訳を介して視聴者も理解するのでブランクが生じる。
それを退屈ととるかどうかは、感性の問題。
個人的には、その間が作品の流れや心の動きに合っていて
絶妙な空気感を生み出していると思う。
細部まで考え尽くされた演出なのかなと思ってみたり。
リチャードとヴァンとの関係性も実にいい!
正直だし、お互いを思いやる気持ちがほっこりする。
時代背景&文化の知識があったら、もっと興味深かったろうなぁと。
それがちょっと残念。
色々と勉強しなければ!!!
作品全体を漂う色々な香りの表現。
花の香り、母の香り。
ーーーそして、亡きカイの香り。
リチャードは、カイの香りをまとい彼を感じる。
切ない。
そんな彼から息子の香りを感じ取る母。
画面から香り立つようだ。
香りも作品の重要な要素になっている。
ーーーそして、なんと言っても
リチャード役のベン様がとにかく素晴らしい!
彼がいなかったら、この作品は成功しなかったと言っても過言ではない!
微妙な心の揺れを彼、特有の繊細な演技で作品の質を上げている。
華奢な体から発せられる圧倒的な存在感。
ーーーしみじみと心に響く秀作だ。
<画像出典元:http://www.imdb.com/title/>
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます