【氷と寺田寅彦】岩波文庫で5冊ある『寺田寅彦随筆集』を「蔵書目録」に入力していて、「自然界の縞模様」という随筆があるのに気付いた。入力の方式を変えて、「寺田寅彦随筆集(全5冊)」ではなく、各冊を独立項目とし、「内容」欄に主な随筆名を記載することにした。それだと次回から実際に本を手に取らなくても、目録だけで内容の見当がつく。新方式のため気づいたのである。
これは昭和8(1933)年2月、岩波の雑誌「科学」に掲載された随筆で、自然界に認められる規則性のあるパターンを論じている。
そのなかに、「池の表面の氷結した上に適度の降雪があった時に、その面に亀甲形の模様ができる、…この亀甲形の中心にできる小さな穴から四方に放射して<ひとで>形の模様ができる。>とあり、わが意をえた感じがした。
寅彦も雪だけでなく、氷の表面に六角形の模様ができることを観察していたのだ。
霜柱の最小単位は写真1のように、直径1ミリほどの六角柱である。これが寄り集まってふとい霜柱を形成する。この太いのが小石を押し上げたり、岩を砕いたり、草を引き抜いたりする。実際、霜柱が溶けた後の地面は、まるでトルコのカッパドキア地方のような景観を呈している。(添付2)
寺田寅彦もその弟子の中谷宇吉郎(「雪」、岩波文庫)も、なぜ雪や氷が六角形になるのか、その説明に成功していない。
それは当時は複雑系の概念もなく、オートポイエーシスとか創発という考え方がなかったからである。
雪は高々度の空気中で、小さなホコリを核としてまず「氷晶」ができる。これが六角形で、ついでこの角を起点に霜柱が成長する。それが雪の結晶である。成長するのは水分子が熱エネルギーを放出して、より安定な状態になろうとするからで、この分子運動の性質は「熱力学第二法則」にかなっている。
結局のところ、霜柱の形成と雪の結晶の生成は、物理化学的には同じ現象なのである。
これは昭和8(1933)年2月、岩波の雑誌「科学」に掲載された随筆で、自然界に認められる規則性のあるパターンを論じている。
そのなかに、「池の表面の氷結した上に適度の降雪があった時に、その面に亀甲形の模様ができる、…この亀甲形の中心にできる小さな穴から四方に放射して<ひとで>形の模様ができる。>とあり、わが意をえた感じがした。
寅彦も雪だけでなく、氷の表面に六角形の模様ができることを観察していたのだ。
霜柱の最小単位は写真1のように、直径1ミリほどの六角柱である。これが寄り集まってふとい霜柱を形成する。この太いのが小石を押し上げたり、岩を砕いたり、草を引き抜いたりする。実際、霜柱が溶けた後の地面は、まるでトルコのカッパドキア地方のような景観を呈している。(添付2)
寺田寅彦もその弟子の中谷宇吉郎(「雪」、岩波文庫)も、なぜ雪や氷が六角形になるのか、その説明に成功していない。
それは当時は複雑系の概念もなく、オートポイエーシスとか創発という考え方がなかったからである。
雪は高々度の空気中で、小さなホコリを核としてまず「氷晶」ができる。これが六角形で、ついでこの角を起点に霜柱が成長する。それが雪の結晶である。成長するのは水分子が熱エネルギーを放出して、より安定な状態になろうとするからで、この分子運動の性質は「熱力学第二法則」にかなっている。
結局のところ、霜柱の形成と雪の結晶の生成は、物理化学的には同じ現象なのである。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます