ある宇和島市議会議員のトレーニング

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【氷と寺田寅彦】難波先生より

2013-02-14 12:13:29 | 難波紘二先生
【氷と寺田寅彦】岩波文庫で5冊ある『寺田寅彦随筆集』を「蔵書目録」に入力していて、「自然界の縞模様」という随筆があるのに気付いた。入力の方式を変えて、「寺田寅彦随筆集(全5冊)」ではなく、各冊を独立項目とし、「内容」欄に主な随筆名を記載することにした。それだと次回から実際に本を手に取らなくても、目録だけで内容の見当がつく。新方式のため気づいたのである。


 これは昭和8(1933)年2月、岩波の雑誌「科学」に掲載された随筆で、自然界に認められる規則性のあるパターンを論じている。
そのなかに、「池の表面の氷結した上に適度の降雪があった時に、その面に亀甲形の模様ができる、…この亀甲形の中心にできる小さな穴から四方に放射して<ひとで>形の模様ができる。>とあり、わが意をえた感じがした。
 寅彦も雪だけでなく、氷の表面に六角形の模様ができることを観察していたのだ。


 霜柱の最小単位は写真1のように、直径1ミリほどの六角柱である。これが寄り集まってふとい霜柱を形成する。この太いのが小石を押し上げたり、岩を砕いたり、草を引き抜いたりする。実際、霜柱が溶けた後の地面は、まるでトルコのカッパドキア地方のような景観を呈している。(添付2)


 寺田寅彦もその弟子の中谷宇吉郎(「雪」、岩波文庫)も、なぜ雪や氷が六角形になるのか、その説明に成功していない。
それは当時は複雑系の概念もなく、オートポイエーシスとか創発という考え方がなかったからである。


 雪は高々度の空気中で、小さなホコリを核としてまず「氷晶」ができる。これが六角形で、ついでこの角を起点に霜柱が成長する。それが雪の結晶である。成長するのは水分子が熱エネルギーを放出して、より安定な状態になろうとするからで、この分子運動の性質は「熱力学第二法則」にかなっている。


 結局のところ、霜柱の形成と雪の結晶の生成は、物理化学的には同じ現象なのである。
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