ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【睡魔】難波先生より

2012-11-10 15:15:47 | 難波紘二先生
【睡魔】に襲われた。最近は、画面に向かってずっと文章を書いているから、右肩が凝って仕方がない。指は左右同じようにキーボードを叩いているのに、なぜ右肩だけが凝るのであろうか?
 そう思って「ローマ字ひらかな入力」のキーボードをよく見ると、「右偏重」になっている。左半分には日本語入力では使わないX、Q、Cの3キーがある。右側のキーは「_」を除いてすべて使うキーで、しかも一番使用頻度の高い「リターンキー」がある。
 リターンキーは使用頻度が高いだけでなく、押す力も強い。やはり、右肩が凝るわけだ。

 頭も草臥れ、体も草臥れた状態で、「新明解語源辞典」(三省堂、2011)という辞書を「読み」始めた。編者の小松寿雄・鈴木英夫のうち、後者にユニークな日本語論があること、辞書の「新明解」シリーズはユニークな説明で知られているから、先日書店で見つけて買ってきた。

 この辞書は1ページ4~5項目が、大きな字で詳しく説明してあり、「読む辞書」としても十分使える。いたずらに収録語数の多さを誇る辞書があるが、あれはよくない。25万語を収録したと称する小学館「日本語大辞典」は重くて滅多に利用しない。
 辞書を引く目的は、1)「そうつ病」などのように、漢字が分からない場合、2)言葉の意味がわからない場合、3)文字が読めない場合、4)言葉を別の言い方、用語に変えたい場合、が主なものだろう。

 それぞれに専用の辞書があるが、日常的に使用する言葉はせいぜい5,000語だから、私はもっぱら岩波の「現代用字辞典」を長らく愛用してきた。細長い新書判よりちょっと大きいサイズで、厚手のビニール表紙になっているから、堅牢で汚れにくい。
 発音通りに引くと、対応する漢字が書いてあり、用例が載っている。用例を読めばその漢字熟語の意味もわかる。
 巻末には「常用漢字一覧」、「教育漢字学年別一覧」、「歴史的仮名づかい早見表」なども載っている。
 便利だから、自宅と仕事場にそれぞれ置いてある。

 漢和辞典はめったに利用しなくなった。ATOKの「手書き文字入力」で、わからない漢字を書くと「文字情報」が出て、音と訓をを表示してくれるから、辞典がわりに利用している。これで熟語が出るようになると、漢和辞典は不要になるだろう。
 私はものごとの「オリジン(起源)」のこだわる方だから、語源には興味があるが、英語やフランス語がラテン語→ギリシア語と語源を遡れるのに対して、日本語の語源については国語学者の方法論に疑問があり、「語源辞典」というものにあまり興味がなかった。

 「あ」から始めて、「青線」、「青大将」、「青田買い」まで読んで、つまらないので居眠りしてしまった。右肩の疲労感が頭に上るような感じで、椅子に坐ったまま、すうっと眠りにおちた。

 夢を見た。これは寝入りばなに意識レベルが下がっていくとき、レム睡眠に到達したときに起こる現象であり、人によっては幻覚や明晰夢(夢をみているという自覚のある夢)を見ることがある。寺田寅彦の「柿の種」を読むと、しばしば「入眠時幻覚」におそわれていることがわかる。

 で、机の前に坐って見た夢は、本を探している夢だった。はじめ紙本を探していて、途中から「いやパソコンの中にあった」と気がついたが、目の前のパソコンにはない。隣のパソコンにもない。奥の大型収納棚に重ねてある何台かの古いノートパソコンにもない。
 そのうち、「いや、フロッピーディスクか、MOディスクの中だったか…?」と思えてきた。
 夢でもこんなややこしい夢になると大変である。これは「悪夢(ナイトメア)」にちかい明晰夢である。

 FDやMOの情報はコピーしたまま、HDに写し換えていないから、山ほどストックがある。HDに移していれば、「ファイル検索」ですぐに目的のものが探せるのだが、「これはFDドライブとMOドライブをパソコンに接続して、それらしいディスクを探すか、それとも一挙に全ディスクをHDにコピーして、その後探すかどっちかだな…。どっちが早いだろう?」と考えはじめたら、ひょいと目が覚めた。

 目の前には「語源辞典」が開いたままになっている。卓上の時計を見ると1時間は経っていない。
 「これが邯鄲夢の枕だな…」と思った。「黄梁一炊の夢」ともいう。おかげで頭がすっきりした。

 ところが、この辞典「日本的表現の語源辞典」であって、中国由来の言葉とか、西洋・中東由来の言葉は収録されていないという、欠陥辞典であることを夢の後で、「邯鄲」とか「黄梁」を引いてみて発見した。「アルカリ」も、「謝肉祭」も載っていない。まあ、収録語数5,000個程度だから仕方ないか。夢はそれを発見するために見たのかもしれない。
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